必要なのはCDに対する愛情。(ジュエルケース編)

CDが売れない!という声が叫ばれてから、もう何年もたちます。
音楽という娯楽の在り方が以前とは変わった時代…。もはやCDはアーティストマーチの一つでしかないのかもしれません。
そりゃあ、場所はとるし、一度開いて歌詞カードみたらあとはもう見ないし、曲をPCへ取り込むのが面倒くさすぎる…等。その気持ちは痛いほどわかります。

ぶっちゃけてしまえば、お気に入りのバンドやアルバムでない限り、二度目を開くのは数年先、もしかすると今後ずっと開かないかもしれません。
でも、音という、3次元的な形として定義できない芸術を「所有」した感覚が最も強いのは、やっぱりCDじゃないでしょうか。

ジャケットや裏表紙のアートワーク。
なかなか破れないシュリンク。
ケースを開くまでのじれったさ。
開いた瞬間に鼻腔をくすぐるインクの香り。
そして目に飛び込むCDレーベル面。

これらは皆、デジタル版やサブスクリプションサービスでは味わうことのできない、CDを買った人のみの特権だと思うのです。
主役はCD。これは間違いありません。
そして、その主役を時にハードに、時にソフトに保護するケースにも、実に多くの種類があるのをご存知でしょうか。
容れ物好きな僕にとって、このケースは時としてCD以上に重要な物になる事もあります。

本記事ではそんなバリエーション豊かなCDケースの中でもジュエルケースについて、独断と偏見によって雑多に書かれています。
ニッチな記事になっていますが、残念ながらそれは仕様です。
5段階評価の星印は、ケースに対しての評価です。
強度は、ディスクを保管する上での耐久性、満足度は、購買欲をどれだけ満たせるかを示します。
単純に、どんなケースでもパッケージとしては愛おしいものですが、あえて言うならば、という5段階評価になります。

No. 1 10mm厚ジュエルケース

全ての基本形。最終的に帰結する形態。
現在までに数多のマイナーチェンジが行われ、全てを追うことはもはや不可能。
全ジュエルケースに共通するが、傷やヒビが入りやすく、特に輸入盤の場合は破損込みの商品だと考えた方が精神衛生上良い。
一時期、紙スリーブという名の別ジャケットが流行していたが、現在はCD売上不振、経費削減の影響かあまり見られない。

シンプルなものから、特殊な加工がされたものまであり、お得感の高い仕様と言える。
しかし、スリーブのサイズがジャストの場合は外しにくく、緩い場合は「持つだけでCD発射装置」に早変わりする。
強 度:★★★☆☆
希少度:☆☆☆☆☆
満足度:★★☆☆☆
安心感:★★★★☆


No. 2 17mm厚ジュエルケース

1枚収納用のジュエルケースとしては最厚級。
ディスク収納は1〜2枚。
ディスク収納枚数1枚の場合は、歌詞カードや背表紙、特典のステッカーなどが容易に保管できる、驚異の収容力を持つ。
その反面、No.1などのケースよりも表面カバーの強度に難があり、よく割れる。

収納枚数が2枚になっても収納力は健全であり、かつ表面の強度もやや上昇するという特徴を持つ。
強 度:★★☆☆☆
希少度:★★☆☆☆
満足度:★★★☆☆
収納力:★★★★★


No. 3 12.4mm厚ジュエルケース

No.1のケースに中トビラが一枚追加され、2枚のディスクを収納できる。
初回盤や限定盤ではもはや常連で、ああ俺はついに買ってやったんだ…という多幸感に浸ることができる。
中トビラのヒンジ部やディスク固定用のツメには、構造上欠陥があるとしか思えない頻度でトラブルが多い。中古ならまだしも、新品でも起こるので余計にタチが悪い。
中トビラと裏表紙との間にも若干のスペースがあり、背表紙や厚みのない特典の収納が可能。
初回・限定盤としての特性上、歌詞カード等に厚みが出ることが多く、ケース表の保管部位には収まりきらないことがある。
強 度:★★☆☆☆
希少度:★☆☆☆☆
満足度:★★★★☆
破損度:★★★★☆


No.4 24mm厚マルチCDケース

2〜3枚組のサントラやベスト等で用いられ、ジュエルケース界では最厚級。
中トビラ方式ではなく、中トビラを中心に表と裏にカバー開く構造になっている。
ディスク固定用のツメに欠陥があるのか、全損していることが少なくない(当然ディスクは固定されず、記録面にすり傷がつきやすい)。

ディスクを取り出すためにツメを押したその瞬間、ポキポキと折れ、ケースの奥側に押しやられていく時の絶望感とやり場のない怒りたるや、筆舌に尽くしがたいものがある。
場所を取る割に、付属品の収納力は低く、ディスク保管力にも疑問が残る超問題児。
強 度:★☆☆☆☆
希少度:★★☆☆☆
満足度:★☆☆☆☆
存在感:★★★★★


No.5 Super Jewel Box

2009年頃、彗星の如く現れたジュエルケース界のニューフェイス。
通常、左右にある背表紙がなんと上下にも設定することができるため、陳列方法を問わない作りになっている。
使用感は最悪で、その最たるものは歌詞カードを縦方向に取り出す点。取り出しがスムーズにできず、またほぼ確実に歌詞カードが痛む。
日本国内流通数は少なく、ケース破損時の替えを入手しづらいという最大の難点を持つ。
強 度:★★★☆☆
希少度:★★★★★
満足度:★★★☆☆
中二度:★★★★★


No.6 6.5mm厚ジュエルケース

その昔、シングルのリリースはCDで!という時代が存在した。現在はCDが特典になっている場合等に、ごく稀にその姿を捉えることができる。
絶滅危惧種に指定されており、無闇な乱獲は禁止されているとかなんとか。
裏ジャケットをCDレーベル面で補うというトリッキーな仕様。当然、ケースを開いた瞬間は、ディスクの記録面が表になっている。記録面と付属品は常に接触するため、生傷が絶えない。
余分なスペースは一切無いため、ケースの強度は意外にも高い。
強 度:★★★★☆
希少度:★★★★★
満足度:★☆☆☆☆
懐古度:★★★★★

いかがだったでしょうか。
寝ても覚めてもCDが好きな人間の持っている物の中から、一部ではありますがご紹介しました。
今まで多くの方が同じような文章を書かれていると思いますし、CDを買ってくれ!などと言うつもりは毛頭ありません。
「CDって、諸々あるけど、良いよね!」
と思っていただけたら嬉しいです。

それでは次(があれば)、デジパック・紙ジャケット編でお会いしましょう。

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