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会場を、TapRoomにしよう。 ~オリエン会場でビールを振る舞う話~

この記事は、オリエンティア Advent Calendar 2020のいち記事として、オリエンテーリングの大会会場に樽生クラフトビールを持ち込んで参加者に振る舞っていた人がその裏側(?)を書く記事です。
なんだか他の皆様が真面目に、それはもう熱を込めてオリエンテーリングを語っているなか正直浮き散らかしている気もしますが、オリエンテーリングを走る側だけではなく、提供する側として色々面白いことをしたいなぁして欲しいなぁと思い、こんな記事を書いています。
オリエンテーリングで書くことがなかった、とも言います。

筆者はOLK36期/2013入学、せーりんこと大西と申します。フットでは学生エリートにかすりもしなかった程度ですが、トレイルOで世界選手権に出ていたり、近年は運営側として計セン担当をやっていることも間々あります。
今オリエンティアの中で二番目にクラフトビールを飲んでいる人間です。
たぶん。

別記事ですが、東京のおいしいクラフトビール屋さんまとめも書いてたりします。しおや4daysで筆者とクラフトビールを飲んだ人も飲んでない人も、是非筆者の推しのお店に行ってみてください。

ことのはじまり

それは2020年7月のしおや4daysに向けた運営準備中のことでした。
しおや4daysのコンセプトは"O-ringen"であり、"キャンプ×オリエンテーリング"であり、"お祭り"であり、単なる4日間のオリエンテーリングイベントを超えた楽しさを提供することが求められていました(たぶん)。

フェスに必要なのは何か。そう、酒です。
筆者と実行委員長かつビール好きの坂野氏、あと冨山氏は、ちらほらと営業再開し始めたクラフトビール専門店で飲みかわしながら、あることを構想していました。

「これ、大会の夜あったら盛り上がるんじゃね?」
「というか、俺らが樽で飲みたくね?」

調達しよう!

さて、やることは決まりましたがどうやるのか。
樽生でクラフトビールを出すためには、当たり前ながら樽のクラフトビール(ケグ)と、それを注ぐためのサーバーが必要です。

ビールサーバーは色んな所でレンタルできます。ネットでも探せますし、意外とそのへんの酒屋さん(カクヤスとか)でも借りることが出来ます*。
今回はビールサーバードットコム様にお世話になりました。1週間5,000円、ミニガスもつけてくれる**とコスパ・利便性とも最高です。
外で飲むなら氷冷式にしましょう。球場で売り子さんが背負ってるタイプもたいへん魅力的ですが、アレからおいしいビールは出ません。

ケグは飲食店向けに販売があるのは自明ながら、個人に対して売ってくれるかどうかは完全にブルワリーに依ります。とりあえず好きなとこに問い合わせてみましょう。ブルワリーからすればケグを発送するだけなので、超絶人気ケグでもなければ快諾いただけるんじゃないかと思います。
今回は実行委員長の強い希望により、ろまんちっく村ブルワリー様から15Lケグ x 2本を購入しました。王道のゴールデンエールとSession IPAです。1本2万円くらいだったので、普通にお店で飲むのと比べると大体半額くらい!

*...酒屋さんの場合は樽もそこで買うことが前提になってる場合も多いです。クラフトビール樽を売ってるお店だったら問題ないな!
**...有償です

開栓しよう…?!

業者と連絡しお金を支払ったら、あとは上記が届くのを待つだけ。
届いた15L x 2本の業者みたいなサイズのビール樽はクール便にもかかわらず冷蔵庫に到底入るはずもなく、クソ暑いヤマカワハウスの作業部屋をひんやりさせており皆に喜ばれていました。

あとは氷をサーバーに入れてケグとサーバーをつなぎ、ビールを抽出するだけ…だったのですが、まさかの事件発生。
実はディスペンサー(樽とサーバーを繋いでビールを取り出す器具)と樽自身には「アサヒタイプ」「キリンタイプ」の2種類が存在し、互換性がありません。にもかかわらずサーバーについているのはアサヒのディスペンサー、届いたのはキリンの樽。
そこまで読んでブルワリーにキリンのディスペンサーを送ってもらったにも関わらず、付け替えできないせいで無用の長物となってしまったのでした。どうやってもビールがケグから取り出せないという事態に、坂野氏は「せーりん大粗相でしょ!」とブチ切れ、東京でミーティング中の筆者は激しく動揺。

坂「ビール用のホースとガス用のホースが外せないから繋ぎ直せない…」
筆「えっなんで…ホース切れないかな…?」
坂「切ってどう繋ぎ直す…?ホース買うか?」
筆「矢板のカインズとか行って買おうよ」
坂「いやでも工具要りそうな…」

とか言ってましたが結局外し方の問題でした。
皆様もディスペンサーの罠と取り扱い方法には十分ご注意ください。

飲もう!

という訳で無事ビールの抽出に成功。ナイトOを終え休養村に宿泊するオリエンティアたちに、ビールを振る舞うことが出来ました。
当初は筆者の知り合いだけで細々になるかと思われましたがそんなこともなく、連日連夜たくさんの方に来ていただけました。皆オリエンティアという身内ゆえか、
・Linepayで10回くらい送金してくる人
・気づいたら送金してあって勝手に注いでる人
・いつの間にか代わりに集金・ビール抽出をやってる人
などなどやりたい放題な場になっていました。
初日には一晩で一樽空くくらい色々なオリエンティアにお楽しみいただけたようです。「こういうのすごく良い、楽しかった」「めっちゃ美味しかった、またやってよ」等とのお言葉をいただき、ありがとうございました。

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オリエンテーリングに足りなかったものを、クラフトビールが作り出す

無理やりまとめにかかる項です。

1. 人の集まる場所、"フェス感"を作り出す
大昔にOMM Liteのお手伝いに行った時、たぶん初対面の参加者たちが焚き火を囲いながら酒を飲み交わし談笑しているのを見て、「こういうのいいな、オリエンでもできないかな」とずっと思っていました。ただ多くの人が同じ場所にいるのではなく、特定のひとつのものを囲んでにぎわうことは、参加者間の交流の促進・非日常感の醸成・"フェス"の空気づくりの醸成に極めて重要です。
でもオリエンテーリングって何故か、人はたくさんいるのにトレイルランやスカイラン、OMMとかと比べて"フェスっぽくない"と言われがちですよね。まぁそれはそれで別にいいのかもしれませんが、やっぱり盛り上がった方がいいのは確実です。

そんな折に今回「樽生クラフトビール」をやってみると、極めて"フェスっぽさ"の醸成に貢献できる代物だと感じられました。
・日常では飲むことのないモノ・味わい
・日常では体験できない「サーバーからビールを注ぐ」
・サーバー式なので、絶対その場所に集まらないといけない
・食品/物品と違って何回も買えるものなので、滞留を促進できる
・アルコール!
これらを備えることで、休養村にはたくさんの人が同じビールを手にしながら談笑し、あたかもビアフェスの一部分のような空気感を作ることが出来ていたと思います。ただ宿で4人くらいで飲むのと比べたら、圧倒的に満足度が高かったことでしょう。
(このご時世に集まっていいのかは別として、ですが)

また上記のような空気感からか、宿泊者間でのコミュニケーションも捗ります。旧知の友人、クラブメンバーはもちろんのこと、「Lap centerでよく名前見るけど…」「いつも会場いるのは知ってるけど…」って人と話すチャンスにもなっていたのではないでしょうか。

クラフトビールは、"フェスっぽくない"オリエンテーリングを変える、ひとつの打ち手になりそうです。

2. 宿泊斡旋の価値を作り出す
宿泊斡旋自体は様々な大会で見かけますが、結局のところ宿探しの手間が省ける程度で、参加者にプラスのメリットがあるわけではありません。「折角だし自分でいい宿探して泊まるわ」という人はかなり多いのではと見立てています。
宿泊斡旋には、宿泊斡旋にしたくなる理由が不足しているのです。

その点、今回のように運営主体(なにかを主催している訳ではありませんが)でイベントを開催することは、宿泊斡旋を選ぶインセンティブになります。あくまで友人談なので差し引く必要はありますが「クラフトビール売るなら宿泊斡旋にするわ」という声もちらっと聞いています。
「オリエンと宿、それだけ」から一段進化した大会になるのは、皆にとって幸福なことのはずです。

3. 運営者の楽しさを作り出す
オリエンテーリング界の七不思議のひとつに、こんなものがあります。
  -「人件費は無料」

試走が出来るからって運営に参加したし、確かに試走もできるけど、毎回試走ではなく謎の肉体労働や内職もしっかり発生し、平日もちまちまと作業は要求され、丸一日休みを割いても日当は雀の涙。当日は事故や不成立がないかひやひやしながら1日を過ごす…というのはどこでもあることです。
やりがい搾取の典型といって差し支えありませんでしょう(注: こんなこと言っている筆者は運営が好きです)

そこに「現物支給」があるだけでどれだけ嬉しいことか!
ビールサーバーがあるだけで、「つかれた」「ねむい」「作業ある…寝れん…」とどんよりしがちな運営宿は一転、ちゃっかり売り物のビール飲んでる若々しい売り子バイトのような雰囲気を取り戻していきました。
「しんどかったけどビールがあるから楽しかった」等と言う運営者も散在。O-tower管理人をして「影の立役者」とかそんな話をしていたので、きっと本当にそうだったんでしょう。
実際、お小遣い程度の日当をもらうくらいなら運営が楽しくなるような現物支給のほうが喜ばれるのではないかと思います。
どうせ日当目当てで運営してる人なんて誰もいませんから。

そんなわけで、運営者の皆様はびみょーな金額の日当なんかやめて、お酒なりおいしめの食事に行くなりの現物支給に切り替えることをお勧めさせていただきます。特に参加者にも振る舞えるものならスケールも利いて一石二鳥。運営支出を減らしながら運営満足度を上げる、メリットしかない施策ですので、ぜひご検討ください。

なお今回は主催たる坂野氏の厚意で、運営者はビール飲み放題とさせてもらいました。最高!

でも課題もある…
・ビールサーバーを自分で買おうと思うと高いし、運ぶのが大変。車が必要
・でもドライバー(自分含む)は泊まらない限り飲めない。そもそも宿泊斡旋があるタイプの大会じゃないとあまり意味がない
・ケグは基本10~15Lなので、一晩1本くらいが限界。色々は飲めない
・事業化には食品衛生法に基づく保健所等とのやりとりが必要。たぶん。

ということで、来年サービス提供開始のビールの縁側に注目中。
そのほかにも解決策募集中です。

今後

…と徒然なるままに書いてみましたが、単純な話、樽生クラフトビールは種類もたくさんあるし、缶瓶より美味しいです。またビールサーバーがあると注ぐのに盛り上がるし特別感もあるしで、飲み会が1段階楽しくなります。
"人は沢山いるのにフェスっぽくない"オリエンテーリングに、"フェスっぽい"、満足できる、帰って思い出になる空気感を付加してくれます。

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そして個人的な話だけど、クラフトビールを飲んだことない人々においしさを広めることができるので、今後もやっていきたいと思います
冬はちょっと厳しいかもしれないけど。

ということで、宿泊斡旋のある大会、募集中です。
運営にお呼びいただければついでに計センもします。
余裕があればトレイルOもやりましょう。

次は5月くらいな気がしますね!(予告)

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