ここ数年は自宅にいる時間が長くなったせいか、
離婚のご相談が更に増えました。
その中でも、50代以上のいわゆる熟年夫婦が増えています。
厚生労働省の調べでは、20年以上連れ添った夫婦の
熟年離婚がどんどん増えているようです。
子供も巣立ち、介護まではまだ時間があり
ひとりの時間がやっと出来た今。
ご主人の定年が近づいてきて、
「この人と1日中一緒に過ごすのか・・・」
ふと立ち止まって結婚生活を見直してみたら、
楽しかった思い出も、感謝の言葉も無かった。
心が通じるような深い会話もしてきていない。
そんな人とこれからも一緒にいたいのかしら?
と疑問に思ってしまう人が増えているようです。
特に私の心に残っているご相談をいくつか
ご紹介したいと思います。
●「2人で何を話せばいいの?」
仕事優先で、平日はもちろん休日も家にいないご主人と
家で黙々と家事や育児をこなしてきた奥様。
お互いに最小限の会話を交わし、夫婦というよりは
たまに見かける同居人のような関係に。
でも、ご主人があと数年で定年という歳になり、
2人きりで生活することに不安を覚え始めました。
「価値観の違いは最初からありましたが、
主人の仕事は安定しているし、真面目だし、
顔を合わせるのは少しだけだから
まぁ大丈夫かなと思って結婚しました。」
でも、子供も成人した今。
ご主人と毎日2人きりになる生活を考えたら
お互いの嫌なところばかり目に付きそうで、
考えただけで気分が滅入ってしまうと奥様は言います。
「もう愛も感じないし、でも友人と言える程
仲良くもなくて。2人で何を話せばいいのか・・・
もう離婚するほうが楽かもと思えてきました。」
●「私のことを全く分かっていない」
「故郷へ帰って夫婦水入らずでゆっくりしないか」と
定年間近のご主人から言われた奥様。
奥様には縁もゆかりもない、ご主人の故郷です。
住み慣れた土地を離れ、知り合いもいない土地で
60歳からやり直すなんて、ゆっくり出来るとは思えません。
奥様の否定的な反応を見たご主人は怒り出し、
「お前は黙ってついて来ればいいんだ」と
故郷の不動産を探し出しました。
「女は3歩下がって男の後をついて来いという人ですから。
私のことを全く分かっていないし、分かろうともしない。
ただ自分の言う事を聞いて、大人しくしていろと思っている。
自分の思うように生きたいと強く思うようになりました。
離婚して、残りの人生を楽しく生きたいだけなんです。」
●「この人の世話なんてしたくない」
モラハラ気質のご主人の言動にずっと耐えてきた奥様。
「俺が稼いでいるからお前は生活出来ているんだぞ」
「お前は本当に何も出来ないな」
何を言われても、子供のために受け止めてきました。
そんな中、ご主人が脳梗塞で倒れたのです。
命に別状はなかったものの、半身にマヒが残り
トイレやお風呂に介助が必要になりました。
「今まで面倒みてやったんだから、お前が俺の世話を
するのは当然だ」と変わらず傲慢なご主人。
家から仕事をし始めましたが、椅子を直せ、お茶を淹れろ、
トイレに連れていけと奥様が息つく暇もありません。
来年、お子様が高校を卒業するタイミングで離婚を
考えているそうです。
「確かに金銭的にはサポートしてもらいましたが、
私も家事や育児でサポートしましたから、立場は同等です。
お互いを尊重し、感謝してくれる人なら喜んで介護します。
でも、ずっと暴言を吐くような人の世話なんてしたくない。
離婚して人生をやり直したいのです。」
●離婚を考える前に
3つのご相談に共通していることは、お2人の間に
全く会話が無かったことです。
他愛のない会話が出来なくなると、気軽に気持ちを
伝えられなくなりギクシャクしてきます。
そこにまだ愛があるのなら、とことん話しましょう。
まだ間に合うと思えるのなら、とことん話しましょう。
感情的になっても良いのですが、ケンカ腰になったり
相手だけを責めないように注意して。
話したいことを事前に書き出しておくと良いかも知れません。
真剣に捉えてくれないご主人には、努力しないと
即離婚になることを伝えましょう。
奥様の真剣さを毅然な態度で伝えるのです。
シニア世代の男性は、口数が少ないのが男らしいとか
女は黙って付いてくるものだといった古い考えが染み付いて
奥様に素直な気持ちを伝えることが難しいようです。
2人だけでゆっくりできる時間を作って、
自然な会話を楽しめるようにしていきましょう。
●離婚に踏み切るなら
浮気やモラハラはもちろん、浪費癖や酒乱、潔癖症など
自分が許せない理由を書き出し、証拠を集めておきましょう。
どんなに小さなものでも保管して。証拠は多ければ多いほど良いです。
離婚の交渉は、NPO団体や弁護士に間に入ってもらう方が無難です。
今は人生100年時代です。離婚して第二の人生を歩むのも
決して悪いことではありません。
もう十分がんばってきたのですから、これからは自分のために
どうやって人生を送っていきたいのかじっくり考えて。
決心がつかなかったり、不安がある場合は
お気軽にご相談くださいませ。