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誕生日SS!! 早乙女 紫音【2020】
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授業終わりのチャイムが鳴った。
今日はいつになくこの時を待ちわびていた。
数日前、翠から
『6/2の放課後は部活が休みになったから、
一緒に新しくできた猫カフェに行こう。』
そう連絡があったのだ。
「起立、礼!」
「あ、ありがとうございました。」
挨拶の号令に慌てて我に返り挨拶をすると、
「紫音ー!早く行こ!」
と、翠が息を切らしながらやってきた。
私よりも今日を楽しみにしていたような
翠に思わず笑いながらも、
「うん。早く行こう!」
そう言って私達は、教室をあとにした。
猫カフェは学校を出て少し行った所に
あるためすぐに着いた。
お店を入ってすぐのところには
お店の猫たちについての紹介や、
このお店のルールについて記されている
紙がたくさん貼ってある。
「ここの猫たちは座っていると膝に
乗ってくるんだって。紫音、楽しみだね!」
「そうだね。」
初めてのため説明をうけた後、
少し座っていると本当に猫たちが膝へと登ってきた。
「紫音!本当に乗ってきた!私初めてだよ!」
「本当に。可愛いしいつまでもいたくなっちゃうね。」
楽しく会話をしながらたっぷり
1時間猫たちと触れ合った。
「もう終わり…か。また来たいね紫音」
「そうね。今度は声劇部のみんなも誘いたいね。」
「だね!ところで、ちょっと疲れたし、
公園によって行かない?」
「お天気もいいし、日向ぼっこしましょ。
今日は疲れたからそのまま寝ちゃいそうだけど。」
「起こしてあげるから大丈夫だよ!」
そう会話をしながらいつもの
公園と向かうことにした。
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公園についてからは、まったりとそれぞれの
時間を過ごした。紫音はウトウトしているようだ。
(これは、もうすぐ寝るかな。)
そう思いながらチラチラと紫音の方を伺っていた。
寝たなと思ったタイミングで
「紫音」
そう、小さな声で呼んでみた。
反応は無い。ニヤニヤが抑えきれなかった。
「みんなを呼ぶなら今だ」
そう呟きながら少し紫音から離れ
部員のみんなに急いで連絡をとった。
『みんな、準備は出来てる?
いつもの公園にいるから急いできて!』
みんなが集まる前に紫音が起きてしまわないか
不安だったがそんなことは無駄な
心配だったようでみんな無事に合流した。
「翠先輩!まだ起きないから
これ、紫音先輩に被せよ!」
「こっちのシールも貼り付けましょ!」
綺衣と茜が小さな声でそう言いながら
パーティー用のコーンハットと
キラキラとしたシールを出してきた。
「楽しそう!いいね!」
みんなで紫音にシールを貼り付けたり、
コーンハットをかぶせたりしたが
紫音はなかなか起きない。
「紫音!そろそろ日が暮れるよ!起きて!」
そう言って紫音を起こした。
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「紫音!そろそろ日が暮れるよ!起きて!」
翠の声が聞こえてきた。
「もう、そんな時間……?」
そう呟きながら目を開けると
自分の周りには部員のみんながいた。
驚きで口を開けたまま固まっていると
綺衣が口を開いた。
「せーの!」
「「「紫音先輩、お誕生日おめでとうございます!」」」
「紫音、誕生日おめでとう!」
寝ぼけてまだ状況を理解しきれない紫音に、
「これプレゼントです!」
そう言って葵が何かを出してきた。
よく見ると、猫のマグカップやペンといった
猫好きの紫音にはたまらないプレゼントだった。
「びっくりしたでしょ?
みんなで密かに準備してたんだ。」
「びっくりしたよ。自分でも忘れていたのに……
みんな、ありがとう」
自分でも忘れていた誕生日に突然のサプライズで
涙が出そうになりながらゆっくり笑った。
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台本制作:龍崎翔葉
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絵:いぬころりん
@inucoro_094 / users/7972705