時間の歪がもたらす絆(#4)
とある日、午後の授業が早く終わり残りの時間はホームルームになった。授業担当がユカリのクラス担任だった事、卒業間近で就職組が半数を占めてたからだ。担任は就職面接の際大事な事やマナー等の再確認の為時間を取った。
しかし終わり頃に担任の口からこんな発言が飛び出した。
『母子家庭の奴は就職不利だからな』
確かにそれはあるかも知れないがそれは子供にどうにかできることではないし、人を指導する役職の人が発する言葉としてはかなり不適切だ。ユカリはその言葉にカチンと来た。しかし他の生徒は黙ってる。不適切な言葉を発し続ける担任の話を遮るかのようにユカリは右手を上げ席を立ちその場で起立した。
『確かに母子家庭の子供は就職には不利かも知れません。けどそんな事を言うのはいくら何でも失礼だし言葉の暴力だと思います、先生だからといって何でも言っていいことにはならないはずです!』
突然の発言に担任は逆ギレした。
『何だと!?そんな歯向かうならお前の卒業証書破いてやるからな!』
こともあろうことか担任はユカリを脅した。『謝るなら今だぞ!』
しかしユカリは担任の脅しには屈せず『破れるものなら破いてみろ!』と強気に出た。
この対決にクラスメイトは震え上がった。
ホームルームが終わり放課後になった。担任が職員室に戻ったと同時にユカリに不良が数名やってきた。いかにも悪そうな感じのなりだ。
彼らはユカリに近づきこう言った。
『アイツ、マジだぞ!謝るなら今のうちだ』
不良達はユカリを脅しに来たのではなく担任の迫力にビビってしまったことと本気でユカリの心配をしわざわざ忠告しにきたのだ。
彼らの一部に片親の人もいる。ユカリがスパッと言ってくれた事は感謝してるものの反発したせいでユカリの就職に影響が出ては辛いというのだ。
『ありがとう、でもあんな事言われたら辛いし。それに就職は自力でどうにかやるから大丈夫だよ』
笑顔でそう言うと、とにかく大丈夫だからと強く言って不良達はと別れた。
その後担任はユカリに事あるごとに謝らないと卒業証書を破り捨てるぞと脅してきたがそれに屈することはなかった。
ある日ユカリが昼休み教室で読書をしていると、先日の不良が血相を変えて教室の扉を勢いよく開け『おい!お前の卒業証書本気で破る気だ、止めたほうがいい!!』ユカリに向かって叫んできた。そしてもう一人の不良がユカリの手を引き職員室までやってきた。
先程の不良が言った通り担任は何か破ろうとしていた。よく見るとユカリの卒業証書だ。
『謝るならこれが最後だ!』
担任はユカリに向かって叫んできた。
ユカリの答えは決まってる『勝手に破れば?』
その言葉通り担任の手にあったユカリの卒業証書はビリビリに破かれた。
職員室にやってきた不良やクラスメイトは青ざめた顔をしてその場に立ち尽くしていた。
破られた卒業証書を目にしても動じることなくユカリは職員室を後にした。
その後ユカリは担任と一切口をきくことはなかったし担任もユカリに話しかけることはなかった。
クラスメイトや不良はユカリが不憫すぎてかける言葉が見つからなかった。
卒業式2週間前になった日のこと。いきなり教頭先生に呼ばれた。
恐る恐る教頭に呼ばれた生徒指導室に行った。
そこには担任と教頭がいた。こりゃ先日派手にやったから退学か?!
最悪の事態を想定し二人の前に向かい合わせで座った。
「担任から聞きました。先日担任と言い争いをしたと」
「はい、間違いありません。退学なら素直に受け入れます」高い学費を払ってくれた親には申し訳ないが自分の責任だ。
To Be Continued(不定期連載)