「メイクドラマ」へ巨人のエースが帰ってきた。菅野投手が今季初先発。5回2失点で初勝利。逆転Ⅴへ反撃開始だ
巨人のエースが帰ってきた、開幕直前の3月に右ひじの張りで離脱していた菅野智之投手(33)だ。セリーグで4位と低迷するチームが逆転Ⅴを果たすには、エースの復帰は絶対条件ともいえた。エースがマウンドに戻り、チームも勇気づけられた。お帰りなさいませ、菅野投手。
11日に福岡で行われたソフトバンク戦。菅野投手にとって、2カ月半遅れの「開幕」となった。
エース不在の間、巨人はもがき続けた。58試合を29勝29敗。貯金なしの生活を送っていたのだ。セリーグBクラスの4位。首位阪神に7.5ゲーム差を追っている状況だった。
菅野投手の立ち上がり。先頭打者に粘られたが、10球目の外角高めのスライダーで空振り三振に斬って取る。2番打者にセンター前へ運ばれヒット。続く打者を空振り三振に抑えた。2死に。
ここで4番柳田悠岐選手を迎えた。132キロのスライダーをボテボテのショートゴロ。一塁の判定はきわどく「セーフ」。ここで巨人側がリクエスト、判定が覆ってアウトになった。初回を「0」に抑えたのは大きい。
三回には二死満塁のピンチを迎えた。ここで5番打者に124キロのカーブ。痛烈な当たりとなったが、サード正面で危機を脱出した。
0-0の均衡が破られたのが四回だった。菅野投手は2死二、三塁から147キロの直球をレフト前へ運ばれた。2点を先取される。
しかし巨人打線が黙っていない。待望のエース復帰。それなのに見殺しにしていいわけがない。直後の五回表。丸佳浩選手がライトボール際へ弾丸ライナーのソロを放った。巨人反撃の号砲だ。
2本のヒットと1四球で1死満塁のビッグチャンスを作った。ここで3番の秋広優人選手。一、二塁間を抜けるタイムリーで同点に追いついた。さらに4番岡本和真選手がセンターへ犠牲フライを放って、逆転に成功した。
勝ち越してもらった菅野投手は五回のマウンドにも立った。相手のクリーンアップを迎えたが、菅野投手の気迫がみなぎった。3番、4番と連続してセンターフライに打ち取る。そして5番打者柳町達選手にはフォークで空振り三振に。三者凡退に抑えた。
菅野投手は5回2失点。93球を投げ4安打4四死球と苦しみながらも、ゲームを作った。今季初先発で初勝利を挙げた。
菅野投手は「内容的には良くなかったけど、球数も投げられたし抑えることができて良かった」と振り返った。そして味方打線への感謝も続けた。「野手が逆転してくれたので、次は野球に案返しできるように頑張りたい」
エースの投球と打線がガッチリかみ合って、つかんだ勝利。巨人は5月26日以来の貯金生活に入った。これで勢いに乗っていきたい。
エースが復帰し、「メイクドラマ」の土台が作られた。逆転Ⅴへ巨人の反撃が始まった。