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『真夏。休薬期間中。144日目』
ふむ、わりと綺麗な控室に案内された。ただいま、八時半だ。「PET検査は待ち時間が多く。ほぼ寝ているだけなので、御安心ください」との説明があった。まず、糖と放射線を注射するらしい。そのあと休憩がある。PET検査自体は20分程で終わるらしい。でも、放射能をあびる事もあり、休憩時間をちょこちょこ設ける仕組みになっている。思いのほか、ゆったりとした広い病院だった。病院内にゆとりを感じる。リゾートホテルみたいだ。
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さて、十一時半にはすべて終わった。新しい検査はワクワクする。そんな境地に達している。
放射線は一日くらいは身体に残るそうだ。私と触れる他者が被爆する可能性もあるそうだ。CTやMRIとは放射線の量が違うのかも知れない。「幼児が家にいますか?」と、数回聞かれたので幼児のいる家庭は特別な注意が必要なのだろう。
そして、PET検査棟は隔離部屋がいくつもある。そこで、待機を命じられる。そこまで、万全に施設を造らないとPET検査は出来ないのだろう。PET検査を導入するとなると施設の広さが必要になる。学校の教室が二つか三つ、そのくらいの広さが必要だ。
だから、私はいま、高崎の病院にいる。通路も広い。施設も新しい。混んでもいない。エアコンの効きもいい。
これでひと段落だ。抗がん剤から逃げられる毎日は充実している。こんなに気分のよいものなのか。私は晴れ晴れした気分だ。
いちばんつらいのは『梅雨+抗がん剤+副作用』だ。あの状態には戻りたくはない。生きている意味を見いだせない。あの頃の私はただの泥だった。いまの私はただのお日様だ。それほど違うのだ。
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