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花咲かせ地域彩る高校生~美濃加茂アジサイ倶楽部~ 前編

はじめに

 日本青年館note高校生記者で学生団体CRENECTIONの池田です。今回は日本青年館が主催する「全国まちづくり若者サミット2022」での登壇で、多くの注目を集めた岐阜県立加茂農林高等学校美濃加茂アジサイ倶楽部で活動されている4名の学生の方に取材させて頂きました。
 ■話し手
  本川 亜依さん(加茂農林高3年)
  神戸 彩野さん(加茂農林高3年)
  倉澤 菜月さん(加茂農林高3年)
  清水 愛菜さん(加茂農林高3年)
  中島 充雅先生 (加茂農林高教諭)
 ■聞き手
  池田明日香(学生団体CRENECTION)
  城田  空(学生団体CRENECTION)
  田中  潮(一般財団法人日本青年館)

 美濃加茂アジサイ倶楽部とは、岐阜県美濃加茂市の加茂農林高校の生徒たちの活動です。地域の人と協働してスタートした美濃加茂市アジサイロードプロジェクトをはじめ、プリザーブドフラワーの生産やハーバリウムボトル制作、美濃加茂焼きそばアジサイロード Ver の商品化、さらに演劇などを通じてその成果を広めています。アジサイ倶楽部の活動の詳細は以下プレゼン資料をご覧ください。
 加茂農林高校アジサイ倶楽部プレゼン資料

「あじさいを一緒に植えて」の一言がきっかけ

―――まず、この活動がはじまったいきさつを教えてください。
本川さん:活動を始めたきっかけは、美濃加茂市の金谷地区老人会の会長である小森誠治さんが加茂農林に来訪した際、獣害の拡大や耕作放棄地の拡大などの問題が起きていることを知ったことです。それらの問題を解決するため「あじさいを一緒に植えてくれませんか」という一言から、活動がスタートしました。
神戸さん:アジサイの花を植えた理由としては、まず美濃加茂市の花であること。それから、加茂農林高校5学科すべての学科を一枚の花びらとなぞらえ、その花びらが集まって大きな花になるという意味を込めています。

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―――獣害の拡大や耕作放棄地拡大など、美濃加茂市地域の課題解決のために加茂農林高等学校の生徒と金谷老人会の協働によって活動しているという点が特徴的ですね。写真からも活動を通して地域の人との絆が深まっていると分かります。アジサイの花を選んだ理由もとても素敵です。アジサイロードに咲いているアジサイにはたくさんの愛と想いが込められていることでしょう。
ところで、全国の農業高校で学ぶ生徒は全体の3%。非常に貴重な皆さんです。なぜ、農業高校をえらんだのですか。
神戸さん:私はもともと動物が好きで入学しました。花も動物も生き物という共通点があり、園芸流通科に進学しました。
本川さん:小学6年生の時に農林に行くと決めました。知人が通っていた姿を見て楽しそうと感じたことも理由の一つです。
倉澤さん:もともと花に興味があり、中学生の頃からずっと行きたいと考えていたため勉学に励み進学しました。
清水さん:父が農林生の卒業生でもあり、自分もそのような道に進学したいと考えました。

いろいろな人と支えあって生きていることを実感

―――幼い頃からの興味や身近な人の影響など、農業高校に入学を決める際にも様々な理由があることが分かりました。地域全体でも加茂農林高等学校さんのように工業、商業、農業など専門系、職業系の学校が多くあるそうです。
 さて、そろそろ本題に入っていきましょう。皆さんがあじさいロードの活動を通じて一番学んだことはどんなことですか。
本川さん:コミュニケーションが大切であると学びました。もともと人見知りだったのですが、周りの人の話を聞いて活動に活かすことが徐々にできるようになりました。また、地域の人が一緒に活動したいと思ってくれていることを知ることが出来ました。
神戸さん:私は少人数好きな性格で初めは地域の方との関わりが不安だったのですが、活動を始めると全く怖くありませんでした。さらに、人と関われるようになったことでいろんな人に自分の意見をまっすぐ伝えられるようにもなりました。
倉澤さん:私は活動を通して地域の人やいろんな人と支えあって生きていることを改めて実感しました。
清水さん:活動を通して意見を出すことの大切さを知ることが出来ました。ただ意見を聞くだけという受け身な姿勢ではなく自分の意見を素直に伝えたり、行動したりする大切さを学びました。アジサイを活用したハーバリウムボトルなども積極的に行動したからこそ完成したものです。一言でも沢山の可能性がうまれます。活動する中で「これやりたい」が現実になる驚きがありました。(一同うなずく)

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―――多様な視点から発想を飛ばし、さらに実行されている行動力に驚きました。活動を始めるきっかけが異なる皆さんの活動をする中で学んだことや気づいたことを知ることができ、とても勉強になります。お話の中でコミュニケーションが大切なのだということを改めて感じさせられました。また、いろんな人と支えあって生きているという言葉が印象的でした。地域の人と日頃から関わり合いながら活動されているからこその気づきであると思います。最後に皆さんが口をそろえておっしゃっていた、意見を出すことで可能性が生まれるという言葉には非常に勇気をもらうことが出来ました。
活動を始めても続かなかったり、気持ちが途切れてしまったり。活動をどう継続させていくのかは、若者サミットでもしばしば話題になります。このあたりどのようにお考えですか。
神戸さん:情熱と楽しそうと思わせることが大切だと思います。私たちが活動するときは、常にまちを良くしたい気持ちが前のめりであったことも、受け入れてもらう際のポイントだったと思います。また、地域の人がやってほしいと思っていることをするために、地域の人の声を積極的に取り入れました。
本川さん:みんなが楽しく活動し、笑顔と元気とやる気があれば周りの人にも温かく受け入れてもらえると思います。(一同笑)

信頼関係が一番大切

―――地域の人のために活動する姿勢がとても素敵だと感じました。コロナ禍で地域連帯活動を自粛しなければならないという難しい状況もあったといいます。
本川さん:コロナ禍で交流の場が減少したことで集まる機会が減ったことは大変でしたが私達が出した意見が否定されることは少なく、応援してくださる地域の方がほとんどでした。私たちの学校では生産から流通までを学ぶ過程があり、学校に販売所があるため普段から地域の人に接客したりお話をしたりするなど日常の中でも地域の方との信頼関係をつくれていると思います。
―――地域で新しいことを始めるには、受け入れてもらうまで難しい場面があるのではないかと考えていました。しかし、お話を聞いているとそのようなことはなく、とても応援されている印象を受けました。地域の人との信頼関係をしっかり築きながら、高校生ならではの発想で新しいことに次々と取り組んでいる美濃加茂アジサイ俱楽部の皆さんのエネルギーは、地域になくてはならない宝物だと思いました。
本川さん:このような活動を継続する上では、後輩に活動を引き継ぐことと信頼関係がとても重要だと思っています。
神戸さん:確かに。分からなくなったら終わりだもんね(全員うなづく)。あとは信頼関係ですね。
本川さん:地域の人から加茂農林ならいいよと言われるような関係を築き続けていきたいです。
清水さん:アジサイロードのような活動を美濃加茂市全体に広げていきたいです。
本川さん:このような活動を続けていくためには、資金援助なども必要になってくると思います。後輩に活動を引継ぐとともに、宣伝をしながら活動を知ってもらうことが重要だと考えます。

―――これからどんなことに挑戦したいですか。
神戸さん:流しそうめんをしてみたいです。竹の群生があるため活用できるのではないかと思います。森や木に詳しい森林科学科と協力し、流しそうめんの台だけでなく、器や箸まで全部竹の流しそうめんができたらいいなと思っています。
本川さん:近所にある小学校の子と一緒に竹馬づくりがしてみたいです。
清水さん:金谷地区だけでなくアジサイロードを美濃加茂市中に広げていきたいです。
倉澤さん:やきそばづくりは麺が命。製麵所を金谷地区につくりたいです。製麺所をつくることで地区盛り上げる効果があり、卒業生の就職先にもなるので地域活性につながるのではないかと思います。(つづく

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【取材した人】
池田明日香(いけだあすか):神奈川県川崎市在住の高校三年生

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