鶯
年に何度かお手紙でやりとりをする友人がいます。
友人だけでなく、その娘さん達までいつも絵とお手紙をくれることをとても嬉しく思います。
直接会えたのは彼女たちがまだ幼い時分のたった1回だけ。
子どもの頃の数年は目まぐるしく変化し、そんな日々の中で「お母さんの友達」なんて存在は、普通ならば掻き消えてしまうはず。
それなのに今もなお交流を続けてくれることに、お手紙をもらうたび感動するのです。
だんだんと大人びてきた文章に、会えていない年月を感じます。
娘さんの内の1人は本が好きで、このごろは手紙の中で小説のオススメをし合うのがとても楽しいです。
その子がある日お手紙に和歌とイラストを添えてくれたことがありました。
なんて風流な…!
と感激したのは言うまでもありません。
私も好きな歌を添えてお返事をするようになりました。
"雪のうちに 春は来にけり鶯の
こぼれる涙 今やとくらむ"
(古今和歌集/藤原高子)
これは今年になって初めて送ったお手紙に添えた歌です。
切ない思いの込められた歌ですが、季節があまりにもぴったりだったので…
10代の頃から、百人一首もフルコンプできていないながらも古文や和歌の世界は好きでした。
彼女のおかげで小説などで和歌が登場すると書き留めたり、これまでぼんやりとした「好き」だった分野にアンテナを張るようになりました。
いい刺激をもらっているなぁ〜としみじみ思います。
もちろん、折に触れて連絡をくれる友人も、絵を描くことが大好きで「今年こそは会いたい」と言ってくれるもう1人の娘さんも、本当に大事なつながりです。
情勢が落ち着いたら、ゆっくり会いたいですね。
想いばかりが募るこの頃です。
手前が「鶯餅」、お饅頭が「メジロ」
この和菓子屋さんの御菓子は大好きなものばかりですが、この「鶯餅」もその中のひとつ。
上品なこし餡に、しっとりやわらかなお餅でとてもおいしいのです。
春が恋しい今宵。
あなたの夜があたたかでありますように。
今日も読んでくださりありがとうございました。