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オンライン授業5週間終了

なぜ5週経過してからなのか

5/20が授業開始、5/22(金)が最初の授業だったので、今日で5週間経ちました。
本当は1週間経ったところでその徒然を書こうと思っていたのですが、書けませんでした。
さらに2週間経過したところで書こうとして書けませんでした。
なぜならば、

メチャクチャ疲労困憊していたから

はい、太字出ました。
明らかに第1週分のオンライン授業との格闘による寝不足と緊張が原因。
理由はズバリ

すべてに慣れていないから

何が慣れないかというと主に2点。

1. 授業準備が慣れない
2.実際のオンライン授業が慣れない

結局、こうして振り返りを書けるのは5週間が経ってからになったわけです。
では、慣れの分岐点となった最初の2週間について書きます。

授業準備に慣れない

最初の2週間のオンライン授業準備はとにかく時間がかかっていました。
私の場合は、オンライン授業準備が1つの科目につきだいたい8〜10時間ぐらい。
対面授業の時の授業準備は1科目4〜5時間ぐらいでしたから、ざっと倍ですね。(検証することがある場合はもう少しかかることも)

なんでそんなにかかるのか?

私自身も疑問だったので、2週間経ったところで2コマ続きの演習授業の準備を検証しました。
Processingの授業です。

・スライドのアップデート作業に2〜3時間。
・音声のテキスト化に4時間
・テクニカルな検証に3〜4時間

これで合計8〜10時間です。

スライドのアップデートという罠

過去のスライドをアップデートというのは、見れば直したくなるので、これだけの時間が発生します。もっとこうすれば良くなる、と気になってしまうところの修正に時間がかかっていました。

音声のテキスト化という鬼門

私は演習授業に Discord を使っているので、実際に授業をやっているかのような音声を文字に起こすということをしていました。
まるまる1回講義をリハーサルしてから、音声から文字起こしをしていきます。授業ではそのテキストからDiscord の授業チャンネルにリアルタイムでコピペしていきます。

テキスト部分が学生にとっては、授業内容の履歴になります。これは留学生にとってもわかりやすいですし、日本人の学生にとっても理解する上で助けになるようです。

試しに、第2週目の授業で一度授業でリアルタイムで喋っているものをGoogle 音声認識にかけてテキスト化→Discord にコピペをやってみました
これははっきり言って失敗でした。
このnoteの記事の冒頭の見出し画像は、その喋っている声をテキスト化したもののスクリーンキャプチャです。メチャクチャです。リアルタイムの授業の中ではっきりと文節を区切りながら喋っているということがないし、漢字も誤字だらけ。
授業後にDiscordにコピペしたメッセージを修正していくという余計な作業が増えました。
3週目以降はやめました。

テクニカルな検証は予想外

最初の2週間は技術検証の連続でした。
例えば第1週はDiscord自体の検証、google classroom の検証、zoomとgoogle mertの比較検証、Discord でアプリの音を流しながらマイクの音も流すということの検証、等々やっていました。音問題はやっと今日解決したくらいです。解決するまで日数がかかったので1日平均これくらい費やしていた、ということです。

実際のオンライン授業に慣れない

リアル対面授業と比較する意味があるのかどうかわからないのですが、とにかく顔が見えない、顔が遠い、存在感が遠いというのが、こんなに授業の進行に影響があるものとは始める前は考えていませんでした

私はDiscordで画面共有しながら、ボイスチャットでしゃべりながら、テキストもコピペするというのをやっていますが、最初の2週間は学生の顔が見えない状態でずっと喋るというのはかなりきついものでした。
Discord のおかげで、テキストでわかりましたか?わかったらリアクションくださいとやっているのでいくぶんかマシです。
けれどもずっとシャドーボクシングをやっているような気持ちになりました。

オンデマンドもやってみていた

サウンドデザイン論という音に関する講義系授業がひとつ担当しています。
それは最初の数回はラジオドラマ風にしてみよう、と音声ファイルのオンデマンドをやっていました。

準備は2〜3時間くらいで終わるだろう、とたかをくくっていたのが大間違いでした。

・読み上げるシナリオのテキストを書く(または音声から文字起こし)
・BGMを用意する
・声を録音する
・編集する

という作業をやると余裕で6時間かかりました。
早朝の雀の声を聞きました。

2週間経過時の猛烈な睡眠不足または睡眠障害

オンライン授業が始まって2週間が経った頃は、思いっきり睡眠不足でした。
週2日か3日は半分徹夜、土曜日も授業準備、日曜日の夜も授業準備というような形で、まるまる1日休めた日がありませんでした。
平均の睡眠時間は4〜5時間くらい。少ないときは2時間仮眠とってゴーです。
労働基準法なにそれ?状態です。

寝ているときも何かオンライン授業をしている夢を見ていました。
朝起きると、あー疲れた、と呟いてました。

ベッドに入っても、オンライン授業にまつわるいろいろ気がかりなことをあれこれ考えてしまって眠れないのです。
もう一回起きて確認するとかもありました。
なので、寝るためには仕事でくたくたになるまでになってから、気絶するように寝るしかないという状態にもなりました。
睡眠障害ってこれかしら状態です。

通勤の時間がなくなった=自由時間が増えるというのは、オンライン授業をやっている教員にとっては幻想です。
その分が丸々授業準備と検証に消えていきます。
昼も夜もありません。
これは教員以外の多くの人達には理解できないと思います。
真面目にオンライン授業で、対面授業とほぼ変わらない品質の授業をやろうと心がけて頑張っている教員ほど、どんどん時間が食われていくという状態です。
ひどい睡眠不足になると確実にパフォーマンスが落ちて、さらに時間が食われていくという悪循環に陥りました。
脳みそがはちみつのように回転している感覚です。

5週間経過したらどうなったか

5週間経過した現在は、週2〜3日だった徹夜が毎日1時までの作業で済むようになっています。時々3時くらいまで食い込みますが。
テクニカルな検証が減ってきたというのもありますが、あることがきっかけである種の「あきらめ」を受け入れた結果です。

実はオンライン授業開始から2週間経過したところで1回倒れました。
折しも今年初の全国的な夏日と言われていた時期です。でも、関東はそんなに暑くなかったのです。これが体調の変化を気づきにくくしていたのかもしれません。

最初は左手の親指が痙攣のような不随意運動を起こし始めました。次に右手のトラックボールを触る右手の親指も時々震えがきました。
これが2〜3日続いて、あれおかしいな?腱鞘炎だとやばいな、と思いました。
でも、授業が迫ってきているので授業準備の自転車操業状態でした。
手の震えが来たら少し休む、そして再開するを繰り返しながら、作業をしていた6/05金曜日の夕方になって、急に胃が気持ち悪くなり、頭痛がしてきました。
あれ?あれ?と思って体温を測ると36.8℃。平熱が36.0と低いのでこれは微熱か?と思って立ち上がったら一気に貧血みたいな感じになって部屋でしゃがみこみました。

これはなんだ?コロナか?全然外には出てないのに、なんで?

と焦ったのですが、すぐに原因が思い当たりました。
慢性的な睡眠不足と、その2〜3日は長時間作業の間に水分を摂るのを忘れてしまっていたのです。
考えてみればトイレの回数も減っていました。

どうやら脱水症状というのになったらしい。
もしかしたら軽い熱中症というのかも。

とにかく水分を摂取して頭痛薬を飲んで、そのまま倒れるように寝ました。目が覚めたら次の日の朝になってました。
ほんと、目が覚めて良かったです。
それでも眠くてまっすぐ立っていられないほどだったのでさらに寝て、やっと普通に起きれるようになったのが土曜日の夕方でした。
家族にあきれられましたが、本人だけは真剣でした。

すべてを7割にする

オンライン授業で質を落とさないようにと頑張ったことが、逆に不調と停止を招いてしまったわけです。

いつの間にか破綻のないことを目指す完璧主義に囚われてしまっていた。
これはもう、どうにもならないことがあるってことだ。

と反省して観念しました。
というわけで、そこからは

・スライドの改訂はそこそこにしておく。目をつぶる。再構成も控える(ように心がける)。
・音声のテキスト起こしはそこそこにして、リアルタイムのキー入力を併用する。学生を待たせることになっても仕方ない。
・テクニカルな検証は一気にやろうとしない。すきを見てやる。

を意識的にやるようにしました。
すべてを7割に、と心がけたところ、今週から1つの授業の準備は5時間くらいになり、週末は土曜日と日曜日の夕方までは休めるようになりました。

講義のラジオドラマ風音声オンデマンドは3週までやって作業時間が4時間半になりましたが、4週目からはDiscordで授業をやっています。こちらは3〜4時間くらいの準備時間になりました。

ちなみに2コマ続きの演習授業は週3日、講義は週1コマ、その他にゼミが週3コマです。

対面の情報量

対面授業であれば、学生の反応がダイレクトにわかります。
意識していなくても、教員はそれを受け止めながら授業の中で話すスピードや小ネタの取捨選択を瞬時にして授業を進めています。
それは一方的に話すような講義形式でもやっていて、インタラクションがあるのです。

しかし、オンライン授業はその学生の反応がわからないか、見えづらいか、違う形で返ってきます。
すると、

ここまでやったらわかってくれるか?
いや、こうしたら面白いかな?
こうすれば迷わないかな?

と、あらゆる想定を考えて気を回して入念に準備をしていくと、それだけ時間がかかります。
しかし、そこまで考えたことの効果を測る術が実はありません。
いくらアンケートをGoogleフォームでやっても身体が受けるダイレクトな反応には及ばないのです。

しかも、さらに混乱させるのは、学生は対面授業よりも出席率が良いのです。
それはまあ、そうでしょう。徒歩0分で出席できるわけですから。
そして、面白いと思って聞いてくれているかはわからないが、どうやら集中して授業を受けているらしい。
中には聞いてないで他のことをしている学生もいる可能性はありますが、それは対面授業でもあります。

どうやら、というのは提出課題やアンケートはちゃんと提出されるからです。それはもうこれまでにないくらいちゃんとです。

いや、授業に出席して集中しているのは良いことなんですよ。

でも、これまでは欠席したり遅刻したり寝ている学生は目に入ってそういう認識で捉えることができたので、混乱というのはありませんでした。

そんなこれまでの皮膚感覚とは違うズレも、こちらの脳内での処理が困る部分なのかもしれません。
そして疲労が溜まってオーバーワークが続き、下手をするとパンクするわけです。

授業準備に、そのこだわりは本当に必要なのか?

これを考えてみて7割に抑えた方が、結果的には長くオンライン授業ができることにつながるのかもしれません。
そして、教員も学生も双方がハッピーな状態になるのかも、と最近は思っています。

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