私の頭の中
初投稿でほんの少しだけ事業内容に触れただけで、いきなり私の頭の中を紹介するのはちょっと難しいと思うのですが、偶然面白い図面が流れてきましたのでご紹介します。
とは言え、正式図面はお見せすることが出来ませんので漫画図で紹介します。
このような形状のものを作って欲しいというお見積り依頼でした。
なんかパッと見、簡単そうですよね。
因みに業界的には図面の数字は全て㎜(ミリ)で表記してあります。
ところがこれ実際の大きさはと言うと
手のひらサイズより少し小さい感じのものが実際の大きさに書いてみると指先に乗る程度の大きさに小さくなります。
最初に図面を見てこれの感覚を秒で感じ取れる必要があるのです。
これがイメージできないと見積りは最初から間違った方向に進みます。
この辺は長年の勘ですね。
でもここまでは皆さん誰でも出来ます。問題はここから。
ここで図面の指定を見てみると 1.5Tのポリカーボ黒 という材料を使用と書いてありました。
1.5Tと言うのは厚みが1.5㎜という意味です。
皆さんにとって1.5㎜の厚みというのは 厚く感じますか?薄く感じますか?
普段生活していると㎜単位ってあまりイメージして生活してないと思います。1.5㎜と聞くと薄いイメージが湧くのではないでしょうか?
しかし、我々の業界では厚みが1.5Tと表記されていたらそれは厚いものの部類に入ります。
それからポリカーボという素材。これはまぁ分かりやすく言うとプラスチックを思い描いてください。
さらには『黒』これです。問題はこれです。
実は厳密に言うとこの色の違いで硬さが変わってくるのです。
もう少し細かく表現すると粘り気が変わってきます。
私たちは型抜き加工を専門に行っているのでこの硬さというのは打ち抜く際に重要な問題点になってくるのです。
最初に送られてきたこの図面
これを見た瞬間は 単純な形状だなぁと思ってからわずか30秒後には『ヤベェー図面が送られてきた!』『面白そう!』という思考回路に変わります。
この『面白そう!』は多分私の性格です。
では実際ここから私の頭の中でこの図面をどのように分解して簡単に製品化できる状態にするのか?ですよね。
まずこのような型をイメージします。
2個取ぐらいにしよう。そのまま並べるよりも同じ長さの辺をくっつけてみよう。。。
これぐらいを最初にサッと考えてから次に思いつくのがコレ
ん?となりますよね。
これが型の分解です。
ここがおもしろポイントになるのです。
普通の型抜き加工屋さんであれば図面通りの型を作り、機械のパワーで打ち抜いていきます。
恐らくそれなりの製品は出来上がります。
ところが私たちは『それなり』ではダメなのです。
・如何にして寸法精度を保つことができるのか?
・如何にして機械へのダメージを減らして加工するのか?
・如何にして作業者が簡単に作業できるのか?
・如何にして短時間で作業を終了させることができるのか?
・如何にしてわずかでも危険な状態を減らすのか?
この辺りを常に考えていると最後の型の形状に分解することに行きつくのです。
理由は凄く難しい話になるのでいづれまたということで。
型抜き加工の技術は実は抜く以前にどのように型を作るのか?が一番のポイントになっています。