事業承継物語③
三寒四温がぴったりの春うららな季節ですね。
睡魔もほどよく誘ってきます。
高校生時代はとにかく昼間眠くて眠くて仕方なかったのですが、いつのころからか完全に朝型生活になってしまいました。
そんな高校生時代を乗り越えて夜間大学に通いながら精工パッキングで働き始めた私。
『働く』と言ってももっぱら雑用です。
父には怒られっぱなしです。
よくそんなことで怒れるな!とプロの怒り屋なんじゃないか?と思うほど毎日毎日私の行動の全てに怒りをぶつけてきました。
当然親子なので何度も衝突もしています。たぶん父は今の私と同じぐらいの年齢だったはずでそりゃ血気盛んな一番脂の乗った時代です。
私の行動の全てが気に入らなかったのだと思います。
実は私、最近それが少しわかるのです。
別に怒ったりはしませんが、『あぁ、これか』と思うことがあるのです。
それは『仕事に対する姿勢』です。
そもそも 仕事とは何か? がわかってないのです。
だから一生懸命仕事してるつもりでも傍から見たらそれは一生懸命やってるフリをしてるだけに見えてしまうのです。もちろん結果なんて出せません。
中にはいい歳のおっさんですら 仕事に対する姿勢 が酷い人はいます。
学生気分が抜けないと言われるのもこれに当てはまるんだと思います。
『楽しい仕事をする』と『楽しく仕事をする』は全くの別物ですからね。
そもそも23歳までは学生気分どころか本業は学生だったので、あの頃の私は仕事に対する姿勢は後ろ向きでした。
でもその時代って人には必要で、最初から何でもかんでもバリバリできてしまうと飽きると思うんですよ。しかも若いころに失敗しないとある程度歳取ってからの失敗は事故につながると思うのです。
そしてそうやってきた経験が身についてくるんだなーと考えています。
だから学生時代は一生懸命遊ぶことだけ考えていればいいんじゃないかと思うんです。その上で少しづつ成長して仕事を覚え、どこかで開眼するのです。
まぁこの過程を踏む人は大抵、不器用な人間です。私然り。
そんな感じで5年間大学に通いながら少しづつ『ビクトリア型抜』の技術を身に着けていきました。
最初の頃はとにかくダンボールの箱を何個も何個も作ることから始まります。
それぐらいしかできることがないからです。
その後、機械を動かし始めます。初めて動かすときはとても怖いです。
最近では時折、工場見学に来る方に機械を動かさせていますが皆さん一様に緊張しています。
でも、精工パッキングでは60年の間、機械動作中の大きな事故は1度もありません。それだけ安全面には気を使っていますし、安全な機械なのです。
そんな感じで1~2年は機械を動かしていたのですが、それはまだまだヨチヨチ歩きが出来るようになったぐらいの感じです。
続いて覚えたのは機械セッティングです。
型を機械にセットして生産体制を整えることを覚えます。これが多分一番長く経験を積まなくてはならないところで、今でもまだまだ未熟だなと感じる部分でもあります。
そしてここをじっくりじっくり時間をかけて経験を積んでいった未来が『極細輪ゴム』の発明に繋がります。
その後、私が覚えることは『段取り』です。
実は私は1日中機械動作作業をしていた期間は短いのです。25歳ぐらいまでだったと記憶しています。
その辺りから機械を動かすことよりも 裁断加工や型の作り方や材料の取り都合をよくしたりとか、とにかく現場の人間がいかに早く動けるか?いかに安全に動けるか?いかに納期を詰めることができるか?いかに無駄をなくすか?といった現場監督仕事のようないわゆる『段取り』を中心に動いていました。
恐らくその頃からです。仕事はチームプレーだなと気が付いたのは。
1人が100の仕事をする場合、1000の仕事があったら10人必要だとしますよね。
でもこれを5人でできる方法はないか?と考えるのです。
現場の職人さんは自分の仕事に誇りもあるし素人は手出しするな!が鉄則ですが私の現場改革があのころから始まっています。
そして30歳になるころには『考えて仕事をする』いわゆる 仕事に対する姿勢が変わってきた瞬間でもあります。
そもそも、仕事を教えてくれる人はいませんから、見て覚える、聞いて覚える、失敗しながら覚えるの繰り返しです。反省してる暇があったらさっさと 出来るようになる。これの繰り返しでした。
若かったこともあり、体力も人よりあったほうなのでまるで無双状態のようにあれもこれも取り組んでいました。
よく言えば小さい工場を一人で回している風雲児とも言えますが、今の私がみたらそれは独りよがりで、小さなお山の大将気取りだな、と感じます。
18歳で入社し、30歳まで。
実は23歳の時に実家を出て一人暮らしを始めています。
そして30歳の時に今住んでいる場所に引っ越します。
阪神淡路大震災はこの間に起きています。まだ大学生だったはずです。
私の小僧時代は30歳ぐらいまでです。
この先はまた次回になりますが、本格的に『経営者』としての資質のようなものが芽生え始めます。
感動のストーリー展開です。
お楽しみに。