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すぐつくることの大切さ

事業承継のお話も面白いのですが、今日は少し違う視点のお話です。

先週金曜日の朝のことです。

医療従事者の友達からこんな連絡が入りました。

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友達『平井さん、ワクチンを容れる梱包材を作れるところ知りませんか?穴がたくさん開いていてワクチンの容器を差し込む部分なのですが。。。』


私はすぐに返事を書きまして

私『そんなのうちで作れるよっ!』

 

少しびっくりしていましたが、我々にとってはむしろ超専門分野になります。

すると、、、

友達『実は来週木曜日から使うのですが。。。』


なんと!金曜日の朝に連絡が入り使い始めるのが来週の木曜日とは!

はい、本日4月22日(木)にこのブログを書いていますが、今日から使い始めるというのです。

ということは納入は21日の夕方。

実質月曜日から水曜日夕方までの丸3日間で作るわけです。


金曜日の朝の時点では情報は何もありません。とにかく金曜日中に集められるだけの情報を集めました。

まずはどんな素材か写真で送ってもらいました。

穴は何個必要なのか?何ミリの穴が開いてれば良いのか?

そして私が試したのはこれです。

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16φ~20φまでの穴を開けたものを即座に作りサンプルとして渡して穴径を決めてもらうということでした。


それから価格も決めなくてはいけません。あまり高すぎても使えないとおもうのでそこは適正価格で対応しました。

とはいっても材料費がわからないので勘です。過去の材料から試算してこれぐらいだろうという感じでした。

そのあとは量産に向けて型の手配です。

型製作所さんには月曜日に発注して”手切り”で良いのでお願いします!いつできるでしょうか?と問い合わせたところ忙しいにも関わらず、ワクチンの容器なら必要だ!すぐ作るよっ!と快く回答してもらいました。

我々、零細企業の強みはこの連係プレーです。これがなくして対応はできないのです。

型については改めて詳しく書きたいのですが触りだけお話しすると、現在のビク型というのは基本的にレーザーでベニヤ板を切ってから刃を埋め込んでいくのです。

ところが精工パッキングでお願いしている型製作所では ”手切り”と言っていわゆる電動のこぎりでベニヤを切って型を作る技法がまだ健在なのです。

むしろ私からするとこちらのほうが丈夫な型が出来ていると感じるぐらいです。

 

そのあとは材料の調達です。一番の問題はここでした。

21日の朝から加工に入れば間に合うと感じていた私は20日までに材料が入手したいところでした。材料がメーカーにあれば19日出荷20日着で大丈夫だろうと考えていたのですが問い合わせてみると20日出荷になってしまうということでした。

それであれば21日AM必着便でお願いしました。

と、ここまでが金曜朝から夕方までのやりとりです。


まずは

①形状の把握

②穴径の試作作り

③材料決定

④価格の決定

⑤型の手配

⑥材料調達

実はこれはどんな仕事をするにも最低限するべきことなのです。ただ今回はそれを緊急を要するということで1日でやってしまっただけです。

そしてここからがドラマチックなのです!

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19日。月曜日、午前中に友達に精工パッキングの工場にサンプルを持って来てもらい形状を本決定しました。そのまま型製作所へ走り型の発注です。

20日の夕方までには作っておくよ!と気持ちの良いお返事をいただきました。

21日に材料が入ってくるのでそこからその日は何もできなくなるのがわかっていたので月曜日は前もってできる仕事をこなしていました。

そして20日火曜日。今日、材料が出荷されて明日AMに届く予定。


ここで長年の勘というか匂いというか鼻が利くっていうんですかね?

今日、ちゃんと材料は出荷されるのだろうか?という別に誰も疑っていませんが妙な違和感を感じました。

そこで朝一番に材料問屋へ電話連絡。すると本日は休暇をもらっているのだとか。。。ふ~ん。まぁ。。仕方ないか。。。と思いつつも事務の方に例の資材の出荷状況って確認できますか?と聞いてみると、わかりました。後ほどご連絡します。という回答で午後になりました。


まぁ、問題はないはずです。ただの確認です。出荷したらその送り状を送ってもらえればそれで充分なのです。

ところが13時半過ぎ材料問屋からの電話。

『社長、申し訳ございません。例の資材は23日着になってしまうようです』

『え?え?え?23日???違う違う、納期の確認ではなくて、今日出荷する資材がちゃんと出荷されているかどうかの確認です!!!!!!』

血の気が引くとはこのことです。何の間違いが起きているのだ?しかも担当営業は今日は休暇中。これはなんだ???


とにかくもう一度確認してもらいました。今日出荷予定のものがちゃんと出荷できているかどうかの確認です。

それから10分後、やはりどんなに早くても22日夕方着になってしまうということでした。。。


最悪です。本当に最悪です。こんな状況はなかなかありません。さぁ、どうする?考えろ!

私はこういう時にまず行動を起こします。とにかく出荷されていない材料を待っていたって絶対に入ってきません。時間は14時。今日中に出荷してもらうには現場の工場でこの材料を持っているところを探し出すしかありません。もしくは直接取りに行くか、これしかありません。

考えられるところに全部電話しました。

それから1時間。他の方法は?他の持っていそうなところは?うちにある他の材料何かで代用できないか?とにかく頭の中はそれだけでした。

すると奇跡はおきます。

偶然、同じ材料を持っているという会社が見つかったのです。

見つけてくれたのはこれまた精工パッキングとは40年来の材料調達を担当してくれている今では個人で経営している方。

『社長!あるって!みつかったよ!』

腰から崩れそうになりました。よかった、間に合う!

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無事に翌日21日AM着で届きまして。

午後から社員総出で加工→仕上げ→梱包をし、16時過ぎに私が責任をもって葛飾区医師会へ納品に上がりました。

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これです。

たったこれを350個作るだけのことです。

それにこれだけの人が動き、援け合う。


『すぐつくる』

『すぐ動く』

とにかくまずはやってみることです。できないときは早めに伝える。

でもすぐにやらないとどんどん遅れていきます。

今回もどこかで何かが遅れたらすべて間に合いませんでした。

もちろん他にもたくさん仕事は溜まっています。

それでも緊急事態であるなら我々町工場の機動力を生かすこと。

それをやらずには精工パッキングではないのです。


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