2024年東京、同性パートナーシップの現在地
前書き
私は東京の端に住むひとりのレズビアンです。
レズビアンとはいえ恋の多いほうでもなく、パートナーシップ志向でもなく、本を読んだり絵を描いたり菓子を焼いたり美術館に行ったり、一人で楽しい人生を送る前提で生きて30年を過ぎた大人。
そんな私も「かわいい恋人がいたらそれも楽しそう」と女性専用マッチングアプリをずるずると続けており、そこで共に人生を歩みたいと思える恋人を得て、この度パートナーシップ宣誓の届出が受理されたので、時代の記録として残しておきたいと思う。
パートナーシップ制度について
日本で初めて同性同士のパートナー関係を公に認めるものとして、渋谷区と世田谷区でパートナーシップ証明の交付が開始されたのは2015年11月。
このニュースが駆け巡った当時の私は20代前半。まだ自身がレズビアンであると認め切れてはいなかったものの、マイノリティの自覚は明確にあり、純粋にうれしいニュースとして涙した記憶がある。婚姻届なら無料なのに結構な金額がかかるとか、引っ越したら無効とか、婚姻と同等の法的保証はないとか、いろいろ思うところはあれど存在が認められたような気がしたのだった。
それ以降、日本中の様々な自治体でパートナーシップの制度導入が進み、個別の区ではなく東京都内ならどこに引っ越しても(居住地が都外でも都内に在勤/在学ならOK)対象となる制度として、東京都パートナーシップ宣誓制度が導入されたのは2022年11月1日。え?まだ2年経ってないんだ?
パートナーシップに至った経緯
恋人とお付き合いに至るまでの経緯は割愛して、パートナーシップ宣誓に至った経緯について。
これはもうシンプルに同棲開始のため。
まず、一緒に暮らしたいねという話はお付き合い1年前後からしていたけれど、会社員同士のカップルゆえ互いの通勤距離や住宅補助の適用範囲などなど現実的な理由で足踏みをする。
その後、幸運にも異動希望が叶ったことで互いの勤務地が近づき、同棲へ急展開。ありがたいことにパートナーの奔走により、勤務先の住宅補助がパートナーシップ宣誓で妻帯者扱い可能ということに。
こうなったらもう、苗字も変わることなく妻帯扱いだなんて何の不満も無しじゃないですか?(健康で経済的に自立していられるうちはね)(ていうか"妻帯"ってなんだこのワードは)
東京都パートナーシップ宣誓の流れ
このあたりは東京都総務局のWebページを見ていただくのが一番正しいわけだけど、私たちの作業の流れをご参考までに。
オンライン上で相談しにくし、いろいろ書類も取得必要だし、役所らしいみっちりした説明資料だし、けっこうしっかりした手続きでちょっとプレッシャーは感じたけど、わからないことはシステムから問合せ入れると優しく答えてくれるので頼っていきましょう。
①届出日をいつにするか?
東京都パートナーシップ宣誓制度の受領証明書には「届出日」と「受理日」が記載されるので、記念日やきれいな数字を残したい方は「届出日」で狙う方向になる。引越し前の日付がきれいだったのでその日に届出をしたけど、引越し後に住所変更の手続きをしても届出日が更新されてしまうことはないとのこと(問合せで確認した)。
②「在住」か「在勤/在学」か?自分と相手どちらのものを使うか?
私たちは東京から少し出たエリアも引越し先の候補に入れていたので、私の「在勤」の条件で申請することに決定。しばらく転職もしなさそうだし、転職したとして次も東京だろうし。2人で相談して決めることはここまで。
③パートナーシップ宣誓制度届出等管理システムにユーザー登録
ここから手続きが始まる。
東京都パートナーシップ宣誓制度は、パートナーシップを結びたい2人それぞれがシステムで届けを出し、その申請を東京都側で確認して紐づけが完了すれば受理、という形。
まずは2人がそれぞれ「パートナーシップ宣誓制度届出等管理システム」にユーザー登録して、お互いの「東京都パートナーシップID」を教え合っておく。あとなぜかこのシステムがmetro.tokyoのドメインなので東京メトロのログイン情報をうっかり入れてしまわないように注意。
④必要書類集め
怒涛の必要書類集め、時間がかかりそうなものから順にご紹介。
1.在勤証明書(届出の3ヶ月以内):会社に作ってもらう必要あり。人事か総務にお願いをする。私は「保険の契約で必要で~」などてきとうなことを言いました。在住条件なら住民票、在学条件なら在学証明書など。これはどちらか1人でOK。
2.戸籍抄本(届出の3ヶ月以内):婚姻していないことを証明する書類。マイナンバーカードを持っていて本籍地がコンビニ交付に対応していればコンビニで取得できるけど(それでも事前にコンビニでシステムの利用登録したりと少し時間はかかった)、そうでない場合は郵送取り寄せや本籍地に住んでいる家族に頼んだりとなかなか大変。
3.顔写真付きの本人確認書類:運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、在留カードなど。顔写真付きの証明書限定ってなかなか厳しい。
4.顔写真データ:本人確認書類と比較確認用なのでスマホでサクッと撮影すればOK。
5.その他:通称名やお子さんの名前を記載したい場合などは別途書類必要。
以上、1~5の書類をシステムにアップロードするので、スキャンか写真に撮ってデータを用意しておく(拡張子はpdf、jpg、jpeg、gif、png。1ファイルあたり7MBまで)。
⑤パートナーシップ宣誓制度届出等管理システムから届出
管理システムにログインして「新規届出」から入力画面に入る。
「届出者に関すること」として氏名とふりがな、場合によってはお子さんの名前を入力。「パートナーシップ関係の相手方に関すること」として③で教え合った相手方のパートナーシップID、氏名とふりがなを入力。
それから④で用意したデータをアップロードして届出を行う。
片方が届出をしてから14日以内に相手方も同様の届出をする必要あり。届出が揃った日が「届出日」として証明書に記載される。私たちは印字したい日付当日の朝に2人とも届出を行いました。
⑥手続き完了の連絡を待つ
届出が問題なく受理されると登録メールアドレスに通知が来る。2人の届出が不備なく揃ってから原則10営業日以内に受理されるとのこと。私たちは届出の5日後に手続き完了メールが届いた。
⑦受理証明書を発行する
東京都パートナーシップ宣誓制度では紙やカードなど実物での証明書発行はしてくれないので、管理システムから証明書のPDFデータをダウンロードすることになる。2024年4月1日からカードサイズのデータもダウンロードできるようになったので、印刷してちまちまカットして100均のカードラミネートシールでパウチして財布に入れて持ち歩いてます。
その他、指輪選びや賃貸物件探し
実はパートナーシップ宣誓の準備とほぼ同時にマリッジリングと引越し先の物件探しもしていて、この時期はだいぶ忙しかった。
指輪選びはLGBTQ+フレンドリーなブランドを検索して、銀座のブライダル丸出しのサロンに3ブランドほど事前予約して1日でぐるっと訪問。予約時の備考欄に「女性同士の同性カップルです」と書いておいたので、訪問当日は全く違和感なくお祝いムード満点で接客してもらえた印象。都会だからというのも大きそうだけど。
あーあというところが出てきたのは賃貸物件探し。不動産店は予約時に伝えておいたこともありかなりフラットに接客してくれたけど、崩れていない最後の砦が物件のオーナーだった。まあ順番にだね。ちなみに、今回の物件探しでは、パートナー関係をオープンにしたほうが選べる物件は増える印象でした。同性パートナーはOKだけどルームシェアはNGという物件が出てきている。
最後に
というわけで2024年現在のパートナーシップ宣誓のリアル手続きのお話でした。
仕事柄、書類の扱いやスケジュール立てがある程度できるほうなのもあって、それなりにスムーズに手続きできたけど、とっても簡単!という感じではなかったかな。これは婚姻届も似たようなものかもしれない。
役所に直接行って届出をするメモリアル感がほしいカップルだと、オンライン限定じゃ物足りないという意見もあるかも。私たちは別途で区のパートナーシップ制度も届出しようかなと思ってます。私たちはここにいる!というアピールも込めて。
結婚の平等と選択的別姓が実現することを祈って。
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