フェムケアコンシェルジュの活動を始めた理由
ここ数年で広がりを見せているフェムテック領域。日本のフェムテック元年は2020年です。同年に『自民党フェムテック振興議員連盟』が立ち上がり、経済産業省が女性特有の月経付随症による労働損失は4911億円と試算したことは、当時大きなインパクトを生みました。
翌年2021年には、フェムテックが流行語大賞にノミネートされ、大手企業や異業種企業がフェムテック領域に参入。メディアで取り上げられる機会も増え、ムーブメントが起きたような雰囲気に……。
そもそもフェムテック(Female+Technology)とは、女性の健康課題に対してテクノロジーを用いて解決へと導く製品やサービスを指す言葉。テクノロジーを用いていない製品やサービスがフェムケアです。ドイツで2012年に誕生した生理周期管理アプリ『Clue/クルー』の共同創業者であるイダ・ティン氏が、「自分たちが取り組んでいる領域の産業ネームとして名付けた」とされています。それが2016年頃です。
10年前からフェムケア取材を本格始動
2016年頃の私といえば、フリーランスのエディター・ライターとして活動していました。当時はフェムテックという言葉は知らなかったのですが、独立直後からウィメンズヘルス領域の企画に携わり続けていたので、振り返ってみたら2011年には『産めるカラダ作り』という企画を担当していました。この企画タイトル、今では成立しないと思うので、時間の経過を感じます。
私が独立をしたのは2009年。その直後からウィメンズヘルス領域での取材を積み重ねてきたので、15年のキャリアがあります。そして、今でいうフェムテック・フェムケア領域に本格的に取り組み始めたのが約10年前から。積み重ねてきたこの経験がフェムケアコンシェルジュを始めるきっかけになっています。
メディアワークのなかでフェムケア企画を担当し続ける、という選択肢もあります。現に、今でも取材・執筆は続けています。ですが、それだけでは足りない。自分にかかわることであっても、女性の健康課題にまつわる知識や情報を知らない人は多いし、多くのフェムケアアイテムが誕生しても知られていない。
フェムケア領域には、医療従事者もフェムケアメーカーも必要です。だけど、その立場でしか発言することができない。その両者は協力し合ってこそ、正しい知識が届けられ、よりよいアイテムが誕生していくと思っていますが、なかなかつながりを持つことが難しいところがあります。その両者をつなぐ立場が必要だと考えたこと。さらには、正しい知識や情報をフラットな立場で届けられる存在が必要だと感じたことが、エディターやライターではなく、フェムケアコンシェルジュという肩書のもと活動を始めようと思った理由です。
こだわったのはフラットな立場
私が、フェムケアコンシェルジュと活動を始めたのは2023年です。その前年、2022年に株式会社k companyを設立し、いくつかのやらないことを決めました。そのひとつが、フェムケアアイテムを作らないこと。
フェムケアをより多くの人に知ってほしいと思っています。ですが、アイテムを作ってしまうと売るための活動のように見えてしまうだろうし、そうなると知ってほしい知識や情報が届きにくくなると考えました。
また、すでにすばらしいフェムケアアイテムが存在しています。ただ、そのひとつひとつを知ってもらうためのコンテンツが不足していると思いました。コンテンツを制作するためにはフェムケアの知識が必要で、私にはそれがあります。加えて、個人的に3000個以上のフェムケアアイテムを試している経験も活かせるとも考えました。
自社ブランドを持っていない。フェムケア知識は豊富に持っている。だから、よりフラットな状態でコンテンツを制作し、届けられる。それが、制作事業を行ううえでのk companyのメリットでもあり、フェムケアコンシェルジュとしての立場を作っています。
まだまだ知られていないフェムケア
先ほど、“ムーブメントが起きたような雰囲気に……。”と書きました。本当に雰囲気です。「意識高い人が取り入れていること」「言葉を聞いたことあるけど、取り入れていない」「そもそも知らない」……これが、2020年のフェムテック元年から4年経過した今のリアルです。
フェムケアは美容ではなりません。健康の話です。毎シーズンのトレンドにあわせて新製品が登場する美容アイテムとは異なり、ブランドローンチ時に作ったアイテムを売り続ける必要があります。つまり、フェムケア領域では、「新製品出ました!」というようなニュースが定期的には出せません。だからこそ、持続的なコンテンツ制作が必要なのです。そのために、フェムケアコンシェルジュとk companyが存在しています。
私は、目の前のひとりに伝えるために活動しています。もちろん、社会貢献、社会問題の解決という大きな視野も持っていますが、目の前のひとりに伝えていくことで社会が変わっていくと考えています。時間がかかるかもしれないけど、そのほうが行動変容は起きやすいと思っているので、これまでも、これからもこのスタンスで活動していきます。
フェムケアのことを知ってもらう場所のひとつとして、noteを始めました。よろしくお願いいたします!