REVUENON 55mm f1.2
この富岡光学製の55ミリf1.2にはいくつかのバリエーションがあるらしいが、入手したのはペンタックスのKマウント、フジのX用マウントアダプターを確保してから決めました。
手元に届いたレンズは汚れが酷く、絞りバネは張り付いて動かないし、アダプターにもうまく装着できない。半ば諦めかけたが、アダプターとレンズを手で固定ながら数枚撮ってみると、これは諦めるわけにはいかないと思ったのです。
こんな時はこの道の名人に聞くより他に方法はありません。しかし電話先の名人はいいよとは言ってくれないのです、現物をみて出来そうならなどと言うのです。兎にも角にも見てもらうことをお願いして、早々に持参すると、本当に使うのでしたらと釘を刺された上で、オーバーホールを引き受けてもらえました。
数日後引き取りに行くと、あの汚かったレンズはまるで新しくなったように塵一つ無し、最短60センチまでのヘリコイドもウルトラスムース。いつもの事とはいえいや〜もう感動ものの仕上がりです。
富岡レンズ
富岡光学というレンズメーカーを最初に知ったのは、70年代のアサヒカメラで木村伊兵衛氏が言及されていた記事に依ると思う。それからしばらくして80年代ヤシカのいわゆるヤシコンを自分でも使うようになってからは、そのレンズ群の中に富岡製があるらしいことは耳にしていました。
自分が使ったヤシコンレンズの中で特に印象に残っているのは、50ミリプラナーでもf1.4ではなくてf1.7のプラナーです。その頃からf1.4のプラナーは我も我もというという売れっ子、臍曲がりの自分はこういう時は弟分で小さい方につい気が引かれてしまうのですが、今思うとあのレンズもきっと富岡製ではなかったのかと、懐かしくあの頃を思い出します。
写り
その50ミリf1.7のプラナーは、色ノリも良く、開放でも申し分なく50ミリレンズとしては十分な性能でした。
あれから40年後の今、敢えて古いレンズにアダプターを介して使ってみたいのは、レンズに対するもう少し違う期待感を持つからですが、何かはっきりとしているわけではありません。今のレンズにないものがあれば覗いて見たいのです。
マネキンの鼻筋に合わせてピント面は、f1.2のレンズとしては申し分ない描写だと思いますが、少し意外に思ったのは背景の光源、いわゆるボケボールの形状です。ここはもう少し綺麗な描写を期待していたのですが、これは距離にも依るので、少し使って覚えていく必要があるのだろうと思います。
これは明るい日中のなんでもない陽だまり、なんとなく焦点外の写りが見たくてシャッターを押しました。結果はこのレンズの良さをひとつ見つけたように思うのですが、どうでしょうか、、、。
手前の枝葉に焦点を合わせて、あとはバックのボケ次第で可否が決まる場面ですが、この場合は自分の期待に応えてくれそうという感触の上がりです。
これはもうこれ一枚でもこのレンズを入手した価値があると、内心ではニンマリしている一枚です。
平凡な被写体、ごく当たり前の構図、なんで撮ってんのと言われてもその通りですが、背景の光を受けた木の葉を、こんなふうに描写できるレンズを知りません。今はもう名人に無理やりでもお願いして本当に良かったと、心から思っています。名人にもこれを見せてお礼をとも思うのですが、カラー写真は俺嫌いだからと言われそうなので、しばらく内緒にします。
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