【常磐病院】カフェインの適量|耳寄り健康講座29
近年、若者を中心に人気を博しているのが、カフェイン入りの「エナジードリンク」。栄養補給のほか、目が覚め集中力も高まるとして、試験勉強やネットゲームなどの際に飲む機会が増えていると耳にします。また、カフェインが含まれているコーヒーやお茶などは、古くから広い世代に愛飲されています。
今回はこれらの飲み物に含まれているカフェインについてお話ししていきます。
【カフェインとは?】
カフェインは、ドイツ語でコーヒーを意味する「カッフェ」が由来です。1800年代初頭、ドイツの科学者・ルンゲがコーヒー豆からその成分を発見しました。発見のきっかけとなったのが、同じくドイツの詩人で、戯曲「ファウスト」などの作品で知られるゲーテと言われています。政治家・自然科学者でもあったコーヒー好きのゲーテが、ルンゲにコーヒー豆の成分の分析依頼をおこなったことがきっかけでカフェインという成分の発見に至ったとされています。
【カフェインの良い点、悪い点】
カフェインは、適量を摂取すれば、覚醒作用や疲労感の軽減、脂肪燃焼効果、鎮痛効果、利尿作用による老廃物の排出などの身体に良い効果を得ることができます。
一方で、多量のカフェインを摂取してしまうと「中毒症状」を引き起こしてしまいます。軽度の中毒症状としては、心拍数の増加、頭痛、吐き気、不安感、イライラ感などがあります。重度の中毒症状としては、過呼吸や激しい動悸、吐き気と嘔吐を繰り返す、不整脈などが現れるようになってしまいます。
【カフェインの適量とは?】
カフェインに関して、日本では明確な基準や具体的な摂取量は示していないものの「世界保健機関(WHO)」他、海外における情報に基づき「農林水産省」、「厚生労働省」、「消費者庁」などのホームページで過剰摂取への注意喚起等が出されています。それらでは、健康な成人の1日当たりのカフェインの適量は概ね400㍉㌘(=0・4㌘)とされています。
食品に含まれるカフェイン量の参考数値をご紹介します。
●食品中のカフェイン(※内閣府 食品安全委員会ファクトシートより)
・コーヒー…100㍉㍑当たり約60㍉㌘
・紅茶…100㍉㍑当たり約30㍉㌘
・玉露…100㍉㍑当たり約160㍉㌘
・エナジードリンク…100㍉㍑当たり約30〜300㍉㌘
【多量摂取で命の危険も】
カフェインには依存性があり、カフェインを体内に取り込まないと頭痛や吐き気、イライラ感などに悩まされるようになる場合があります。 それらの症状を抑えようとよりカフェインを摂るようになり、摂取量が増加してしまうという悪循環に陥ることもあります。カフェインは、短時間に多量摂取してしまうと、命を落とす危険性があります。カフェインの致死量については個人差がありますが、一般的には5000〜1万㍉㌘(5〜10㌘)の摂取で死の危険があるとされています。
【適量の摂取で身体に良い効果を!】
カフェインは適量であれば、身体に良い効果をもたらします。摂り過ぎに注意しつつ、「集中力を高めたい!」というここぞのタイミングで飲むようにしてはいかがでしょうか。
しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。
月刊『政経東北』のホームページです↓