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【常磐病院】〝快腸〟生活のポイント|耳寄り健康講座33
皆さん、こんにちは。常磐病院の新村です。早いもので、もうすぐ年末ですね。これからの時期は「忘年会」や「新年会」など、普段とは異なる食生活が続く方も多いと思います。生活習慣が乱れると胃腸の調子が悪くなり「便秘になりがち」という方も多いのではないでしょうか? 今回はそんな「便秘」についてお話していきたいと思います。
【便秘とは?】
便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」のことを言います。便秘は大きく4つに分類できます。
①機能性便秘……もっとも多いタイプの便秘で、腸の働きの異常が原因となります。
②器質性便秘……手術などの影響により、物理的に便通が妨げられてしまう便秘です。
③症候性便秘……内分泌疾患、神経疾患などの病気が原因となる便秘です。
④薬剤性便秘……薬剤の副作用により大腸の動きが鈍くなる便秘です。
普段と異なる食事や生活習慣によって起こる便秘は、①機能性便秘に該当します。
大腸は、水分を吸収する働きを持つほか、「ぜん動運動」と呼ばれる働きによって便を直腸へと運びます。ぜん動運動は、運動不足や加齢、ストレスなどの影響によって働きが鈍くなってしまいます。
便が大腸内に長時間留まると、便の水分量が減り、硬くなることでより排泄しにくくなる、という悪循環に陥ってしまう場合もあります。
また、女性に多い傾向として、便意を我慢してしまうことで便意を感じる直腸の神経が鈍くなり、便秘になりやすくなるというケースもあります。
【すっきりした排便をするために】
便秘に悩まず〝快腸〟な生活を送るためのポイントをご紹介します。
①食物繊維を積極的に摂取する……ごぼうやキャベツ、海藻類など「食物繊維」が豊富な食品を摂るようにしましょう。食物繊維は、腸を活発化させ、スムーズな排便を促します。
②こまめな水分補給……水分不足は便を硬くする原因にもなります。便秘気味の人は、1日に1・5㍑程度の水分をこまめに飲むようにすると良いでしょう。
③適度な運動……ウオーキングやストレッチなどの軽い運動は、腸のぜん動運動を促進させるほか、ストレスの解消にも◎。無理のない範囲で行いましょう。
【便秘が引き起こす病気】
前述の通り、大腸には便の水分を吸収する働きがあります。便が排泄されずに腸内に留まり続けると、便が硬くなってしまいます。
硬い便は、通常よりも排泄されにくくなるため、強くいきんだり、硬い便が肛門周辺を傷つけることで「痔」の原因にもなってしまいます。また、便が長期間体内に留まると、発がん性物質などが発生してしまい、がんリスクが高まることも知られています。
健康な生活を送るためにも、便の状態に気をつけるようにしましょう。
しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。
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