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【常磐病院】能登半島地震「JMAT」報告|耳寄り健康講座25

 ときわ会常磐病院では、2024年2月19日から22日、そして3月4日から6日の2回、福島県医師会からの依頼で、日本医師会災害医療チーム(JMAT)として、私、新村も含むスタッフが能登半島地震被災者への医療支援に行ってまいりました。今回はその活動報告をお届けしたいと思います。

 【JMATとは?】

 JMATとは、日本医師会災害医療チーム(Japan Medical Associat
ion Team)の略称で、災害時における医療支援活動を行うためのチームです。日本医師会が主導し、災害が発生した際に迅速に対応することを目的としています。JMATは、医師、看護師とロジスティクスといわれる業務調整員から成るチームで構成され、地震、津波、台風など自然災害が発生した場合に被災地域へ派遣され、急性期の医療支援から、被災地の医療体制が正常に機能するまでの中・長期的なサポートを行います。

 常磐病院のJMATは、医師1名、看護師2名、ロジスティクス1名で構成され、医師は新村が2回とも担当し、看護師、ロジスティクスは別の職員を派遣しました。能登半島地震の被災者は、二次避難として、金沢市やそれ以南の市町村のホテル、旅館、福祉施設に避難しており、われわれは被災者の健康管理を行うことが主な役割でした。

 【被災者の方々の状況】

 被災者は、慣れない環境で長期の避難生活を強いられるため、体調を崩される方が多く、冬場のため新型コロナやインフルエンザに罹患される方も多くいらっしゃいました。また、ホテルの食事は総じて塩分量が多く、持病のある方には適切とは言えず、高血圧となっている方もいらっしゃいました。さらに、中学生は親元を離れ集団避難しており、体調不良を訴える生徒が常にいる状態でした。こういった被災者を、地元医師会や保健所と密に連携をとり、JMATとして適切な医療につなげられるように、お手伝いしてまいりました。一つの部隊は3日間という短い活動期間ですので、次に来るJMATへのスムーズな申し送りが重要になってきます。申し送りなどを通して、普段交流することのない全国のJMATと活動できたことはとても貴重な経験でした。そして、JMAT隊員の被災者支援への熱い情熱がとても印象的でした。


JMAT第1陣のメンバー(左から2番目が筆者)

 【JMAT活動所感】

 今回の派遣で、特に心に深く刻まれたのは2月22日に訪れた輪島市での経験です。輪島市の被害の甚大さは、想像をはるかに超えるものであり、その現実に直面した時の衝撃は今も忘れることができません。多くの建物が揺さぶられ、倒壊し、あるいは火災による損傷を受けていました。

 道路は亀裂が入り、一部地域では土砂崩れが発生し、交通の障害となっていました。このような状況下では、二次避難者が地元に帰還するには相当な時間を要すると考えられ、被災者への医療支援はまだまだ必要と考えられました。

 今回の活動を振り返り、災害医療における迅速な対応、そしてチームワークの重要性を再確認しました。今後もこの体験を胸に、常磐病院では災害医療の分野での貢献を続けていきたいと思います。

しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。



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