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急性アルコール中毒|耳寄り健康講座21
常磐病院の新村です。早いもので、そろそろ年末が近づいてきましたね。今年は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に引き下げられたということもあり、コロナ禍前のように、忘年会や友人同士での食事会などを計画している方も多いのではないでしょうか。
そのような楽しいお酒の席で注意しなければいけないのが「急性アルコール中毒」です。
今回は、これからの時期に気をつけたい急性アルコール中毒についてお話ししていきます。
【急性アルコール中毒とは?】
急性アルコール中毒の定義は、「アルコール飲料の摂取により生体が精神的・身体的影響を受け、主として一過性に意識障害を生じるものであり、通常は酩酊と称されるものである」とされています。
短時間で多量のアルコールを摂取してしまうと、酩酊状態に陥り、嘔吐や呼吸状態の悪化など危険な状態を引き起こしてしまいます。
通常、血中のアルコール濃度が0・02~0・15%程度では“ほろ酔い”の状態となりますが、0・31%を超えると、泥酔期と呼ばれる“もうろう”とした状態になります。
0・41%以上は昏睡期と呼ばれ、呼吸・循環中枢に異常をきたし、死に至るケースがあります。
【注意すべき人】
一般的に、若年層、女性、高齢の方は、アルコールの分解速度が遅いため急性アルコール中毒のリスクが高いとされています。また、飲酒後に顔が赤くなる方も注意が必要です。
急性アルコール中毒が原因の救急搬送患者は、20代の若者に多い傾向があります。アルコール耐性が低い上、自分にとっての適量が分からない若者が“一気飲み”や大量飲酒することで急性アルコール中毒に陥ってしまうケースが多いようです。
【急性アルコール中毒の対処方法】
もし一緒に会食している方が、急性アルコール中毒と思われる状態となってしまったら、以下の救護方法をとるようにしてください。
・吐瀉物による窒息を避けるため、横向きに寝かせる
・ベルトなどの衣類を緩め、楽な状態にさせる
・吐きそうな時は、身体を起こさず、横向きのまま吐かせる
・体温の低下を防ぐため、衣類などを掛けてあげる
・1人にせず、見守るようにする
なお、▼体を揺すったり声をかけても反応しない、▼口から泡を吐いている、▼体温が低下している、▼呼吸が弱くなっている――などの状態であれば、早急に救急車を呼ぶようにしてください。
これからの時期は、きっと会食の機会も増えることでしょう。軽いほろ酔いの状態であれば、気分も心地よいと思います。決して飲みすぎず、飲むことを強要せずに楽しい時間を過ごしてください。
なお年末年始は、救急車の出動回数が増える時期でもあります。急性アルコール中毒で救急車を出動させないよう、皆さんご協力をお願いいたします。
しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。
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