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【常磐病院】睡眠の役割と身体への影響|耳寄り健康講座32

 皆さん、こんにちは。常磐病院の新村です。だいぶ過ごしやすい季節になりましたね。スッキリ目覚めた朝は、とても気持ちが良いものです。今回は日々生活する上で大切な「睡眠」についてお話していきます。
 
 【睡眠が担う大切な役割】

 睡眠が果たす役割は多岐にわたります。特に重要な役割としては「脳の休息と回復」、「身体の修復」、「免疫力の向上」などが挙げられます。

 ○脳の休息と回復……睡眠不足の時に判断力が鈍ってしまうのは、脳の疲れが原因です。眠ることで脳の疲れを取ることができます。また睡眠中、脳は一日の間に得た情報を整理したり、記憶を定着させるなどの働きも行っています。

 ○身体の修復……睡眠中は成長ホルモンの分泌が盛んになります。これにより、日中に損傷した細胞が修復されたり、新しい細胞の生成が促進されるなどの働きが行われます。

 ○免疫力の向上……睡眠不足は免疫力の低下を招きます。十分な睡眠を取ることで免疫細胞が活性化し、身体の防御機能を高めてくれます。また、睡眠中にウイルスや細菌に対する抗体が生成されます。

 これら以外にも、食欲をコントロールするホルモンバランスを整えたり、日中に眠気が出にくくなることで仕事の効率向上、生活習慣病の改善などが期待できます。言い換えますと、十分な睡眠が取れていないと、身体に悪影響が現れるようになってしまいます。

 【上質な睡眠を取るポイント】

 ぐっすり眠り、気持ちよく目覚めるためのポイントをいくつかご紹介します。寝室の環境としては、できるだけ暗く、少し肌寒い程度の室温が良いでしょう。寝る前はスマートフォンなどの電子機器を操作しないほうが良いです。これは、画面から照射されるブルーライトが睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌を抑制したり、情報を処理するために脳が興奮状態となり、眠りに入りにくくなってしまうなどの理由が挙げられます。

 「寝返り」は身体のゆがみを改善したり、偏った負担を軽減する役割を果たしていると言われています。マットレスが柔らかすぎると寝返りしにくくなり、血行不良が原因で筋肉が固くなってしまい、目覚めた際に身体が痛くなることがあります。また、睡眠前の食事やカフェインの摂取は避ける、入浴は睡眠の2~3時間前を目安とすると良いでしょう。

 【睡眠中に呼吸が止まる病気「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」】

 睡眠に関わる病気として広く知られているのが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。SASは、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気で「寝ている時に大きないびきをかく」、「日中に強い眠気がくる」などの特徴があります。鼻詰まりや脂肪などで気道が圧迫され、呼吸ができなくなることが原因です。特に中高年の男性に多く、放っておくと高血圧・糖尿病・うつ症状、記憶力の低下などの健康被害や、車の運転中に急な睡魔に襲われ、交通事故を起こしてしまう危険性もあります。

 「眠っている時に呼吸が止まっていると家族に言われた」、「いびきが大きい」、「寝ても疲れが取れない」、「昼間に強い眠気が出る」などの症状がある方は「睡眠外来」がある医療機関へご相談ください。「常磐病院」でも診療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。

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