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中年男性が発症しやすい痛風|耳寄り健康講座18
【痛風について】
常磐病院の新村です。まだ残暑の厳しさを感じますが、これから徐々に涼しくなっていくことでしょう。夏が過ぎ、秋になるとおいしい魚や野菜、果物などがお店に並びますね。「おいしいから、ついつい食べ過ぎてしまう」という人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな方々に知っていただきたい、美味しい食事に関連する痛い病気「痛風」についてお話していきます。
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【痛風の原因】
「風が当たっただけでも痛みが走る」とも言われる「痛風」。この病気は、「高尿酸血症性関節炎」とも呼ばれ、尿酸の過剰な蓄積により関節が炎症を起こし、激しい痛みを発生させます。肉・魚・アルコールなどに多く含まれる「プリン体」の多量摂取が関係しており、体内に取り込まれたプリン体の一部は代謝の工程で尿酸に変換されます。通常、尿酸は尿や汗などとともに排出されますが、排出されずに過剰に蓄積されると関節部分に尿酸の結晶が堆積し、これにより激しい痛み(痛風発作)が発症します。
プリン体は、レバーなどの肉類、ビール、魚卵などに多く含まれています。これらをよく食しているという方は、注意が必要です。
【痛風の予防方法】
痛風は以下の点に注意しましょう。
・プリン体の摂取を控える
・水分を十分に摂取する
・適度な運動をする
・アルコールを控える
・肥満を解消する
プリン体の摂取については前述の通りですが、水分を十分に摂取することでも血中の尿酸値が薄まり、体外への排出も促されます。また肥満になるとインスリンの抵抗性が高くなり、体内での尿酸の生成が促進されてしまいます。肥満の解消も痛風予防に効果的です。
【痛風の治療法】
関節部分に激しい痛み(痛風発作)があるなど痛風と思われる症状が出た場合は、「内科」や「リウマチ科」の受診をおすすめします。
痛風の治療は、大きく分けると「痛みを取り除く」、「尿酸値を下げる」の2点になります。いずれも内服薬が処方されますので、医師の指示のもと適切にお薬を服用するようにしましょう。
その他、食事療法としてプリン体の摂取を控えること、運動療法としてはウオーキングや水泳などの有酸素運動を継続することで症状の改善が図られます。
【まとめ】
男性ホルモンには、尿酸の生成を促進する働きがあるとされ、一般的に女性よりも男性のほうが約4倍も発症リスクが高いとされています。年代的には40代から50代にかけて発症することが多いです。
尿酸値は血液検査でチェックします。通常、正常値は男女ともに1デ シ㍑当たり7・0㍉㌘以下と言われています。毎年、健康診断を受け、ご自身の健康状態を管理するようにしましょう。
しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。
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