【常磐病院】喫煙が身体に与える影響|耳寄り健康講座27
常磐病院の新村です。毎年5月31日は「世界禁煙デー」です。日本でも毎年5月31日~6月6日の期間を「禁煙週間」と定め、各地で禁煙啓発の活動がなされています。今月は「喫煙・禁煙」をテーマにお話をしていきます。
【たばこに含まれる有害物質】
たばこは、主にその煙を吸い込むことで身体に影響を及ぼします。たばこの煙には約7000種もの化学物質が含まれているとされ、そのうちの約200種類が有害物質であり、また約70種類が発がん性物質であると言われています。
たばこに含まれる代表的な化学物質は以下の通りです。
ニコチン=依存性が高い。血管を収縮させ、血圧を上昇させる。
タール=発がん性物質や発がんを促進する物質が数十種類以上含まれる。
一酸化炭素=酸素不足を引き起こし、動脈硬化を促進させてしまう。
その他、たばこには「シアン化水素」「ヒ素」「カドミウム」などの有毒物質も含まれています。
近年利用者が増えた「加熱式たばこ」は、「紙巻きたばこに比べ有害物質が少ない」と謳われているものの、有害物質はゼロではありません。ご注意ください。
【喫煙による病気のリスク】
喫煙による身体的悪影響は実にさまざまですが、特に注目すべき内容をピックアップします。
①発がんリスクを高める
喫煙者のがん死因の約3割が「肺がん」です。その他、喉頭がん・咽頭がん・口腔がん・食道がん・胃がんなど、さまざまながんを引き起こすリスクを高めてしまいます。
②循環器疾患
喫煙は「血管を収縮させる」、「血圧を上昇させる」、「血液中の酸素量を減少させる」などの身体的悪影響を及ぼします。これらの影響により、心筋梗塞・脳卒中・狭心症などの循環器疾患のリスクを高めます。
③呼吸器疾患
喫煙は肺の組織を傷つけてしまいます。長年喫煙によって有害物質を体内に取り込むことで、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・気管支炎・喘息などの呼吸器疾患のリスクを高めてしまいます。
【禁煙のススメ】
「百害あって一利なし」と言っても過言ではない喫煙という行為。常磐病院でも、禁煙の啓発活動として、毎年禁煙週間の期間中、夜間に外壁を禁煙週間のテーマカラーである「イエローグリーン」にライトアップし、禁煙の啓発活動を行っています。また昨年は、喫煙習慣のある職員に対し、オリジナルの「禁煙啓発マグネットシート」を作成し、禁煙啓発活動を実施しました。
喫煙者の中には「喫煙が体に悪いことは知っているが、何度も禁煙に失敗している」という人も多いのではないでしょうか。そのような方は、「禁煙外来」の受診をおすすめします。現在は禁煙補助薬などもあり、外来を利用することで約7~8割の方が禁煙に成功しています。
常磐病院でも禁煙外来を設置しています。もし禁煙でお困りの方がいらっしゃいましたら常磐病院☎0246(81)5522まで、お問い合わせください。
しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。
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