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横田一の政界ウォッチ⑨

自民党と統一教会のズブズブ関係


 自民党と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)のズブズブの関係が連日報道される中、岸田政権の支持率が過去最低を記録し始めた。毎日新聞と社会調査研究センターの世論調査(8月20、21日)では16ポイント減の36%、産経新聞とフジニュースネットワークの同時期の調査でも8・1ポイント減の54・3%で、いずれも昨年10月の政権発足以降、最低となったのだ。 

 8月25日号(17日発売)の『週刊新潮』も「『萩生田政調会長』がつないだ『カルト』と『生稲晃子』」と銘打って、旧統一教会の選挙支援の実態を紹介。7月の参院選で安倍派幹部の萩生田光一政調会長(当時は経済産業大臣)が、生稲候補(東京選挙区で初当選)を伴って八王子市内の旧統一教会関連施設を訪ね、演説をしていたことをスクープしたのだ。

 ちなみに生稲氏の立川などでの街頭演説会には、萩生田氏はもちろん安倍晋三元首相や下村博文・元文科大臣も駆け付けてマイクを握り、自民党最大派閥の安倍派幹部が全面支援する形になっていたのだ。

 福島選挙区で初当選した星北斗氏も、生稲氏とよく似ていた。安倍元首相が現地入りして応援演説をする一方、本人も選挙期間前に福島市内であった教団のミニ集会であいさつしたことが発覚した。当落線上にある激戦区候補を安倍派幹部が応援、旧統一教会にも支持を訴えていたという共通点があったのだ。

 こうした自民党への選挙支援は、旧統一教会への便宜供与(名称変更や霊感商法の野放し)とギブ・アンド・テイクの関係になっている可能性が高い。選挙で世話になっている見返りに自民党は、旧統一教会の高額献金(金銭的搾取)を野放し状態にしてきたように見える。

 前川喜平・元文科事務次官は8月5日の野党合同ヒアリングで、旧統一教会名称変更問題について説明。担当の宗務課長だった1997年当時に前川氏は、旧統一教会に対して「当時の名称で信者を獲得しており、実態が変わっていないので名称変更は認められない」と拒否していた。しかし18年後の2015年8月、名称変更が認められてしまった。第二次安倍政権で抜擢された下村文科大臣時代のことで、前川氏が「下村さんの意思が働いていたことは100%間違いない」とヒアリングの場で述べたのはこのためだ。

 前川氏はヒアリング後に囲み取材にも応じ、私が「(下村氏は)第二次安倍政権で文科大臣に任命されたので安倍さんの意向を受けて名称変更を認めてしまおうと(したのか)」と聞くと、こう答えた。「確証はありませんが、そのストーリーは十分に成り立つような気がします」。

 続いて「(旧統一教会が自民党を)選挙で応援してくれるので、(文科大臣だった)下村さんは『(名称変更を)認めてしまおうかな』と。“アベ友政治”の一環のような気もするが」と聞くと、前川氏はこう答えた。

 「やはり政治家と教団の間に貸し借り関係があるだろうと。貸しがあれば、借りもあると。借りがあれば、借りを返すと。こういう関係は必ず出てくるでしょうから。だから(選挙で)ものすごくお世話になっているのなら、逆に同じくらいお世話をするでしょう。特に与党の政治家に多いパターンだと思う」

 「森友・加計・桜を見る会」との共通点が浮き彫りになる。いずれも、お友達や身内や支援者を優遇する“アベ友政治”の産物だったが、日本人の財産を韓国へと流出させる高額献金が野放し状態だった旧統一教会問題も、選挙支援でお世話になっている“アベ友教団”への恩返し(特別扱い)と考えられるのだ。

 自民党と旧統一教会のズブズブの関係が明らかになる中、岸田自民党が教団との関係断絶を宣言するのか。そして、野党が求めるフランスの反カルト法のような新たな立法措置に応じるのか否かが注目される。


よこた・はじめ フリージャーナリスト。1957年山口県生まれ。東工大卒。奄美の右翼襲撃事件を描いた『漂流者たちの楽園』で90年朝日ジャーナル大賞受賞。震災後は東電や復興関連記事を執筆。著作に『新潟県知事選では、どうして大逆転が起こったのか』『検証ー小池都政』など。


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