大山証券株式会社(鳥取市吉岡温泉)
昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年12月5日号より、大山証券株式会社の記事をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、事業内容・方針、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。
【事業所めぐり59】大山証券株式会社(鳥取市吉岡温泉)
鳥取市の本店のほか倉吉市に支店を持ち、株の売買を主体に国債、公社債にも力を入れるなど、この不況の中にあっても毎年大幅な黒字を計上している優良企業の一つで、設立20周年を機にさらに大きく飛躍しようとしている。
昭和32年、資本金500万円で現会長が設立。当時は証券業界は不況の真っただ中にあり、鳥取市も一業者が倒産に陥ったほど厳しい環境にあった。しかし、景気も34、35年と回復していき、36年には最高潮に。同社も業況が活発化するとともに順調に業績を伸ばし、現在の地歩を築いていった。
37年ごろから再び業界は下向するなど浮き沈みの激しい証券界にあって、40年1月には倉吉市に支店を設置。さらに資本金とともに増資を繰り返して現在2000万円に達するなど、確実に発展の歩みを続けている。
オイルショック以降の厳しい不況も、証券界にはあまり影響を及ぼさず、相変わらず着実な伸びを示しているが、同社は昨年の決算で12億円程度だった流動資産が、今期は16億2000万円と大幅増を成し遂げ、銀行からの借入金がゼロという優良ぶりを発揮。
同社はさらに大きな成長を遂げるため20周年を契機に、大手の遠山証券に18年も勤めていた田中道郎氏(鳥取市出身)を営業部長として迎えいれたほか、前社長を会長、前専務を社長にするなど役員変更を行って人心を一新し、企業の体質強化に踏み切った。
最近の証券界は、若いサラリーマンや婦人層にも投資家が増えるなど一段と大衆化してきており、公社債などにも一般大衆の認識と関心が深まってきているが、株の売買が中心の同社も遂次公社債など債券を伸ばしていき、積極的に業界の新時代に対応していく方針だ。「これからは客の来るのをのんびり待っていてもダメ。厳しい時代に入っているため、投資家を保護していく一方、積極的に業績を伸ばすよう地道に足で投資家層を拡大していく」と社長に就任したばかりの今井邦典氏は意欲的な姿勢をみせている。
さらに、「一くぎりついたので初心に帰り、ゼロからスタートしたつもりで、勉強しながら一歩一歩前進していき、証券を通じて鳥取市の発展に貢献するよう努力する」と語る。営業計画としては、株の手数料の今期の伸び率2.1%、債券の伸び率25.9%を来年度はさらに伸ばして行く方針。(昭和52年12月5日号)