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鳥取ダイヤモンド電機株式会社(鳥取市布勢)

昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和53年3月25日号より鳥取ダイヤモンド電機株式会社の記事をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、事業内容・方針、各種表現や広告内容等記載内容は掲載当時のものです。一部数字を漢数字から英数字に変更。



【事業所めぐり77】鳥取ダイヤモンド電機株式会社(鳥取市布勢)


昭和43年5月、大阪市のダイヤモンド電機㈱が鳥取市の誘致企業として進出。自動車部品として欠かせない点火コイルと点火トランスの全国でも数少ない専門メーカーとして知られる。殊に点火コイルのメーカーは同社のほか日立、日本電装の3社しかないという特異な存在。

当初、630平方㍍の工場規模で発足したが、その後、48年には約6倍に当たる3500平方㍍に増築するとともに設備を拡張、”クルマ時代“を迎えて増える需要に対応すべく増産体制を整えた。

進出から現在までの約10年の間には、オイルショック、円高など産業界全体をおそった“難物”があったわけだが、いずれも同社は企業努力で切り抜けている。ただ、オイルショック時では、約20人の余剰人員が出たが、「人員整理はしない」という社長方針の下、外注を多くとることで切り抜けた。昨今の円高基調も、点火コイル部門で約20%を輸出に頼っているだけに影響も少なくない。が、再契約時に差損分を補充してもらうことで切り抜ける努力を続けている。

トランスとコイルの同社の生産比率はほぼ半々だが、なかでもセントラル・ヒーティング点火トランスは全国の占有率70%を占めるという驚くべき特異性を発揮している。

こうした特異性の下で着実な業績の歩みを見せているが、年々、20%前後の成長率で推移している。昨年の月商は2億5000万円、年商も約25億円を数えた。53年度は20%アップの30億円を目標に置いている。「好調だった自動車メーカーもことしは、予断を許さない情勢で、努力目標は年率20%増であっても実際にはゼロ成長まで予測した経営を行う必要がある」という池永社長の考えの下に、企業体質の改善を強化したいとしている。

改善の柱になるものは合理化だ。ムダの徹底的な排除、総合的な品質管理体制の強化など「ゼロ成長を念頭に」推進していくと意欲的だ。

同社の従業員は180人。うち130人が女子従業員ということで完全な女性上位だが、“品質管理”の勉強会を定期的に意欲的に開くなど“従業員教育”にも力を入れている。

「ことしは、改善努力にまい進するとともに、さらにキメ細かな経営が要求されてくると思う。当然、現場との一体化などますます重要になってくる」。ことしから57年をメドにした“中期計画”がスタートしており、計画完遂に向けて意欲を燃やす。(昭和53年3月25日号)



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