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常に一番手を目指し事業を柔軟に転換する産業・自動車部品製造販売業(後編)

 現・北栄町出身で、現在は大阪で自動車用品の製造販売会社を営む山下社長。常に一番手を目指しながら、リビルトバンパーから新品バッテリーやカメラシステムと事業を転換してきた。そんな山下社長の価値観の背景はどのようなものだろうか。(前編はこちら)


アールアンドピー株式会社
代表取締役社長 山下満
聞き手:北村真吾/中小企業診断士
取材:2019年6月25日 掲載:旬刊政経レポート2019年7月25日号)


これまで御社は事業内容をいくつか転換してきました。御社が存続してこられた要因は何だったのでしょうか。


 安くていいものを提供すること。販売協力者や最終ユーザーの利益を大事にすることを心がけてきたことでしょう。私たちは日々、ライバルの動向を注視しています。どんな商品をどんな価格で提供しているのか。品質はどうなのか。取り付けやアフターメンテナンスはどうしているのか。これらを敏感に情報収集し当社の事業開発に生かしています。

 当社には創業当初から営業マンがいません。それは、営業のために費用を使うぐらいなら品質を高めるために使いたいと思っているからです。販売代理店の人たちは利益の出る商品を取り扱いと思っています。最終ユーザーも高品質ものが安く手に入ると助かります。これらが実現できている当社のリピート率は、業界の中でも高い方でしょう。
 また、世の中にまだない商売を当社が一番手として始めることを心がけてきたことも要因です。創業時の自家用車バンパーリビルト事業は当初から順調でした。しかしその順調な時から、私は次の商売のネタをいくつも考えていました。

 仮に、新しい商売の情報があったとしても、さらにそれを実現するに十分な資金があったとしても、実際に事業化するのは千人に一人でしょう。「この商売は誰もやっていないから自分もやらない」「誰かがやって成功したら自分もやろう」という意識ではいけないと、私は思います。商売で大切なのは、世の中で最初にすることです。二番手、三番手ではマーケットが少なくなっているばかりか、最初の取引先は余程の事が無い限り変更する可能性は低いのが現実です。全て完璧でなくていいから恐れることなく一番手のグループ内で始めることに価値があるのです。


一番手グループならではの苦労はありましたか


 私は19歳の時から自動車業界に関わってきました。排気ガスを出さない電動フォークリフトのニーズが高まることも、純正品バッテリーの割高さも分かっていました。だからこそ安価なバッテリーを提供しようと思ったのです。
 しかし実際にやってみると最終ユーザーは思いの外、社外品、しかも輸入品のバッテリーに対して悪いイメージを持っていることに気づかされました。私たちのバッテリーはいわゆる純正品ではないので、ディーラーや大手電装店・整備工場ではなかなか扱ってもらえません。実際に使ってもらい納得を得るため当社と販売代理店は、最終ユーザーとの信頼関係の構築に苦労したものでした。

 あとは模倣の問題です。トレーラー用のバックカメラシステムを開発する時、当社が考案し設計図も書きました。しかし実際の開発は1社に頼ることなく、複数の会社と共同で進めました。1社に全て任せることも可能だったのですが、面倒であっても複数社に敢えて分散させることで模倣されにくくするのです。

 一番手を目指しながらいくつも事業を展開されてきた山下社長ですが、どんな青年時代を過ごされましたか。

 私は北条町(当時)の生まれで、倉吉北高校に通っていました。学校の勉強はほとんどしなかったので成績は悪く、いつも追試を受けさせられていました。
 高校を卒業してすぐ大阪に出て、自動車部品販売店に営業マンとして就職しました。初めは仕事が終わると、ダンスホールやディスコに行ったりナンパをしたり、大型バイクを乗り回したりしていました。高校の友人に加え、ここ大阪でたくさん友人ができ、とても楽しい時間を過ごしたものです。仕事に慣れてくると営業の楽しさやお客様との関係も深まり、トップ営業マンとして充実していました。そんな時期に今の仕事を起業しようと決心したのです。当時の友人には、遊んでばかりだった私が今は会社経営をしていることに驚かれます。特に英語がまったくできなかった私が海外貿易をしていることにびっくりします。

アールアンドピー4

事務所に掲げられる「鐡牛(てつぎゅう=堅固不屈の人や物の例え)」の書。地元書道家の友人から贈られたものだ。


 あとはギャンブルです。その中でも麻雀が好きでした。私の麻雀は自分から勝負を仕掛けることが多く、引いて守ることがめったにありません。二倍負けてでも三倍勝つつもりでいます。我ながら大勝ちするか大負けするか極端なタイプですね。
 ただ、多様な人との付き合いを通じて世の中が少し分かってきた気がします。鳥取に比べると大阪は人口密度がまったく違います。人口が多いと様々な考えを持った人がいると実感します。これは日本に限らず海外でもそうです。これまでの事業を通じて国内外の取引も増えました。だまされる人も見てきましたし、私自身もいろいろな経験をしました。世の中、正直な人とそうでない人の割合は半々である。そして、収入の割に派手な生活をしている人には注意せねばならないと、身をもって学びました。


この4月に入社した新社会人にメッセージをお願いします。


 社会人になったからには当然仕事はせねばなりません。しかし一方で、皆さん自身の夢もおありでしょう。自分がやりたいことを貫くには勇気が必要です。実現に向けての努力はつらいでしょうが、でも頑張ることは楽しいことです。失敗するにしても若い時がいいですよ。ただ、社会のルールや法律は守りましょうね。

 あとは英語と麻雀を覚えるべきです。英語の必要性についてはお分かりでしょうから、ここでは私がなぜ麻雀をお勧めするのか理由を説明させてください。商売にしても為替相場にしてもそう。誰かが勝てば誰かが損するように、経済は麻雀ルールとよく似ています。いかに勝負を自分の能力でコントロールするかの訓練に麻雀が向いているのです。


ありがとうございました。


アールアンドピー株式会社
代表取締役社長:山下満

事業内容:産業・自動車部品の製造及び卸売販売
所在地:大阪府大東市御供田3丁目13番26号
従業員数:3人
資本金:3000万円


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