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太平実業株式会社(鳥取市行徳)

昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年10月15日号より、太平実業株式会社の記事をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、事業内容・方針、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。



【事業所めぐり49】太平実業株式会社(鳥取市行徳)


国鉄鳥取駅前の「太平マーケット」は、鮮魚を中心とした小売り業者50店で構成され、26年間にわたって”鳥取市の台所“として市民に愛されているが、それらの店舗をテナントとして持っているのが太平実業。

大正9年、砂糖などの卸し業を営むほからくがんなど菓子の製造販売を手がける保木本商店として発足したのが始まり。11年には鳥取駅前に進出、順調に業績を伸ばし中国、台湾などにも菓子を輸出するほどに成長していった。しかし、昭和18年の鳥取大地震で菓子製造工場などをすべて焼失。

戦後、道端で商をしていた魚の小売り業者から再三にわたって、同店が駅前に所有している空地を市場にしてくれ、との依頼を受けた現社長は、「地域社会の振興に役立つなら」と、魚の統制が解けるのを待って昭和26年、「太平マーケット」をスタートさせた。

以来、「新鮮さとサービス」をモットーとする同マーケットは、生鮮食品市場として多くの買い物客を確保、同市商圏界の核になっていった。この結果、同商店は安定した地代を得て常に高額収益を維持、30年2月には法人化して現在の太平実業㈱に名称を変更し、その後太平冷蔵㈱、鳥取製餡㈱という別会社を設立、”太平グループ”の地歩を築いていった。

49年末には、同駅前土地区画整備事業により同マーケットは仮店舗に移転することになったが、同社はこれを契機に地下に広さ1250平方㍍の同マーケット、その地上には「ホテル太平」、「セブンモール」というビルを建設、ことし4月に貸し店舗として「セブンモール」、6月には同マーケットと同ホテルが前後してオープンした。

現在、保木本利治社長が高齢のため保木本一郎副社長が経営にたずさわっているが、同氏は国学院大学法学部の助教授を務め、東京と鳥取を往復している。「ホテル経営は索人だが…。設備には自信がある。料金を安くしているほか細かいサービスにも気を配っている。おかげでビジネス客を中心に日曜日以外はいつも満室状態」と、客入りは予想以上の様子で、ことし同社はテナント料など含め年商1億8000万円を見込んでいる。
(昭和52年10月15日号)




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