株式会社清水商店(鳥取市古海)
昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年11月15日号より、株式会社清水商店の記事をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、事業内容・方針、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。
【事業所めぐり55】株式会社清水商店(鳥取市古海)
大阪から仕入れる普通鋼、特殊鋼、非鉄金属、銅管などを県東部一円の得意先約350社に卸すほか、それら鉄鋼資材のシャーリング、ガス溶断、鋸盤切断など加工も手がけ、オイルショック以降の厳しい業界にあっても毎年、対前年比約25%の売り上げ増を続けている安定企業。
昭和24年に創業。現社長の父親が祖々父、祖父と二代続いた鍛冶屋だったのを鉄鋼資材の販売も手がけ始めた。以来、33年に資本金30万円で法人化するなど順調に推移、43年には現今町営業所にあった本社を現在地に移転し、倉庫など1485平方㍍に整備していった。その後、高度経済成長の波に乗り、工場規模を拡大(現在1万1220平方㍍)していく一方、増資を繰り返し、年商も48年の石油ショック時まで毎年、前年比30%アップで推移。
しかし、49年から、鉄鋼の流通業界は不況業種といわれるほど環境は厳しくなり、全国的にみても、適正工銭がとれないため採算に合わぬ経営を続けている会社が、ほとんどを占めている。同社も同様で、原則成長下の現在、需給のバランスが一定になり、利ザヤが少なくなっているのが実情。
それでも同社は、対外的には計画的に得意先を回り、客の実態を的確に掌握してニーズを考慮し、どのようなサービスで対応していくかを考え、対内的には資材の原価と労力の意識を従業員に徹底させ、一人ひとりがいかに効率よく仕事をしていくかなどで少人数でも付加価値を高めるよう努力している。そのため、現在も一カ月に70~80時間も残業しなければならない従業員もいるほどで、仕事量は減っていない。前年度の年商実績は4億4000万円を計上、ことしも月商4150万円程度で推移しており、年商5億円は超える見込みだ。
清水社長は「現在の業務比率は販売65%、加工販売35%だが、今後は利益率の高い加工販売の比率を伸ばしていく方針だ。そのため一次加工から二次加工の分野に力を入れていきたい」と、同社の歩むべき方向を示し、さらに「このような時期こそ、ねばりと知恵と勉強が大切で、国の施策に応じた対応策を講じるとともに、あらゆる努力をしていく」と意欲的。(昭和52年11月15日号)