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安田精工株式会社(鳥取市正蓮寺)

昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和53年1月25日号より、安田精工株式会社の記事をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、事業内容・方針、各種表現や広告内容等記載内容は掲載当時のものです。一部数字を漢数字から英数字に変更。



【事業所めぐり66】安田精工株式会社(鳥取市正蓮寺)


昭和42年2月に鳥取市の誘致企業として、本社のある大阪から進出。その前年に進出した鳥取三洋電機㈱の協力工場として三洋家電製品の金属プレス部品を主に生産、出荷している。

したがって同社製品の90%は三洋電機からの受注であり、三洋の景況が同社の売り上げを大きく左右するのは当然で、同社の安田晴雄取締役総務部長も「急激な円高による弱電業界の不振は、わが社にもシワ寄せが来ている。企業努力による合理化といっても1ドル240円前後で推移する現在の為替相場は、そうした限界を超えるもの―」と厳しさを隠せない様子である。

特に目立つのは48年の石油ショック以来、製品納入のタイムサイクルが非常に短くなってきていること。「当時に比べると2分の1くらい」というように、業界の競争がそれだけ激しさを増してきていることを裏づけている。

金属用プレスの金型設計・製作という山陰ではちょっと特殊な業種だが、大阪や長野などでは同業者が多い。「従業員15人以上の工場だけでも全国で600社近くある。家内工業的な所も合わせると1500社近いのではないか―」と安田敏雄社長。明らかに乱立気味だが「しかし、昨年実績では全国でおよそ4000億円の年商を記録し、精密工作機械を追い抜いた。大型プロジェクトに伴って生まれた比較的新しい業界ではあるが、全体の年商は伸びており悲観はしていない」と技術では全国でも「トップクラス」と自負するだけあって製品には絶対の自信をみせる。

しかし、発注先の三洋電機もこの円高と国内需要の落ち込みでやや業績悪化の傾向がみえる現在、製品価格競争を強めている。それだけに同社も厳しい環境に置かれており、「セットメーカーからのコストダウン要求が円高以後、特に厳しくなっている。したがって、ウチでは合理化努力のほかに部品の買い入れをできるだけ安くすることを心がけると同時に、業界競争に打ち勝つために他社より常に一歩進んだテクニカルなものを追求したい」と意欲的であり、進出当時からおよそ二倍に増えた社員の奮闘に期待する。(昭和53年1月25日号)



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