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有限会社渡辺造園(鳥取市吉成)

 昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年4月15日号より、有限会社渡辺造園を紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。

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【事業所めぐり14】有限会社渡辺造園(鳥取市吉成)


現社長の祖父の代から、八頭郡河原町で果樹苗木の生産、販売を行っており、国道53号線沿いの現在地に本店を構えたのは今から17、8年前。

45年に法人化し、果樹苗木のほか、植木、緑化用の樹木、芝生、銘石の販売、造園業など手がけている。

果樹苗木の生産、供給では、やはり鳥取県の名産、二十世紀梨が主流。県外から注文があっても、「果樹振興のために」と県内を優先。農協を通すなどして県内全般の農家に苗木を供給している。

ただ、その年のナシの市場相場によって、翌年の各農家の苗木需要にかなりの変動があり、同業界にしてみばバクチ的な要素が怖い。同社の場合も、全体の売り上げ実績のうち、ナシの苗木生産、販売は五分の一程度。

取引の大きいものとしては、庭石、公共的な緑化事業など。大阪の万国博覧会の時、同社は松のほか庭石2000トンを取り扱った。またシンガポールで日本庭園が造られた際、しぶさに定評のある県内石に指名がかかり、これも同社が手がけた。

このほか、公害防止の緑化事業、住宅・道路のグリーンベルト敷設の際など、サクラ、イチョウ、ケヤキ、トチといった街路樹を販売。北は北海道から、南は九州まで、業者間の連けいを取りながら、流通網を確保している。
植木の栽培については、”連作”を避けるために八頭郡河原町の本園のほか、15年ほど前から一般農家、農協に栽培を委託。契約金を支払う方式で、植木の栽培面積を広げている。

石油ショック以来、公共事業が自粛され、公共団体の緑化事業は滅ってきている。しかし同業界、わけても鳥取県の場合は好、不況に左右される率は少ない、といい、同社でも新築家庭の造園など一般需要に支えられて業績も順調。

渡辺信義社長は「この業界は、業者間での信用を得るのが第一。緑化事業の仕事は、今後の公共事業回復に期待したいが、もともとせまい鳥取県内だけでは商売にならない。生産の幅を広くして、積極的に販売面に力を入れながら、県外の仕事もどんどん取るようにしたい。年商二億円に達成するよう努力する」とはりきっている。(昭和52年4月15日号)


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