株式会社鳥取大丸(鳥取市今町)
昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年5月15日号より、株式会社鳥取大丸をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。
【事業所めぐり19】株式会社鳥取大丸(鳥取市今町)
戦後間もない昭和24年、敗戦によるショックから市民がまだ十分に立ち直れないでいたころ、郷土にも一流の白貨店を―という故米原章三氏の熱意によって大丸デパートとして同年の12月に設立。以降、鳥取市の玄関口として、また駅前一幣をはじめとする商店街をリードする“核店舗”の役割を一貫して果たしてきた。
さらに50年9月には、駅前近代化事業に合わせて、33億円の巨費を投じて、現在地に他店よりいち早く改築。売り場面積を9000平方㍍に増やしながらも、初年度の売り上げを対前年36%伸ばすなど、大型百貨店として新たな一歩を踏み出した。米原穣社長は「企業均衡を考えた経営を図る」ことを基本に、①よい商品を適正価格で供給②従業員の生活の向上を目指す③株主への配当責任を果たす④利益を社会に還元していく―という理念のもとに企業努力を重ねていきたいと語る。
しかし、低成長時代を迎えて消費の伸び悩み、さらに金利負担、償却費の増大など百貨店業界を取り巻く環境は一段と厳しさを加えてきている。岡村吉太郎同社専務は、そのあたりのむずかしさを「まず、企業体質の改善ということだが、それには労使一体となった信頼関係が不可欠」と、従業員の理解を得ることが肝心と貨上げ交渉を控えて慎重な口振り。
同社では毎月一回、「労使経営協議会」を開いて意思の疎通を図っており、他企業のようなケタ違いのムチャな要求が出ることもなく「労使関係は円滑」と、不断からの接触の重要性を強調。
売り上げ見通しについては、この不況下でもあり、昨年度比15%増の77億円が目標、と意外と厳しいが「今後は、兵庫県方面などへの外商にも力を入れるほか、地域に密着した百貨店として販売戦略を強化していきたい」と、積極姿勢を見せる。(昭和52年5月15日号)