見出し画像

「足関節の底屈制限(筋肉篇)」#書く習慣32

日々の診療お疲れさまです。TROT(トロット)です。


昨日に引き続き足関節の底屈制限の第3弾として筋性拘縮についてまとめていきます。

本日もこの 足関節拘縮の運動療法 より抜粋引用させていただきたいと思います。



筋の評価と運動療法


・底屈制限の原因筋は背屈筋群である前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋、第3腓骨筋である

・これらの筋に対して伸長障害や滑走障害が生じているか評価する


⑴前脛骨筋


①前脛骨筋の評価

ⅰ)筋の触診

 ・下腿近位部から中央にかけて脛骨外側に付着する線維

 ・筋の触診では前側、外側を分けて触診すると良い



ⅱ)伸長操作

 ・下腿近位部で脛骨外側面や骨間膜や下腿筋膜に起始し、内側楔状骨と母趾中足骨底の足底面に付着する

 ・足関節の底屈と足部の回内運動により伸長操作が可能

 ・制限因子である筋線維を同定できたら、筋線維を遠位方向へ引き寄せた時に伸長感の軽減とROMが拡大するか評価する



ⅲ)滑走操作

 ・下腿近位部では脛骨外側面に付着した形態だが、下腿遠位部では骨膜上を滑走する形態

 ・下腿遠位部では脛骨と接する部位に徒手で剪断操作が必要

 ・脛骨と筋の間に剪断操作を行い、脛骨の前縁に沿って前側から行う操作と外側に隣接する筋を介した関節的な操作を組み合わせる

②前脛骨筋の運動療法

ⅰ)収縮運動と伸長操作

 ・収縮運動は足趾屈曲位にて足関節の自動背屈運動を行う

 ・セラピストは付着部である内側楔状骨と母趾中足骨底部を操作し、足部の背屈回外運動を誘導することがポイント

 ・伸長操作は足関節の底屈と共に足部の底屈及び回内運動を行う

 ・下腿近位部では筋幅が大きいため、内側と外側の線維束に分けて伸長操作を行うと良い



ⅱ)滑走操作

 ・前脛骨筋の内縁を脛骨前縁から外側面に沿うように捉える

 ・前脛骨筋の外縁は長母趾伸筋より捉える

 ・セラピストは前脛骨筋の前側か外側より脛骨と筋の間に剪断力を作用させるように操作し可動域の改善を図る

②前脛骨筋の運動療法

ⅰ)収縮運動と伸長操作

 ・収縮運動は足趾の屈曲位にて足関節の自動背屈運動を行う

 ・セラピストは付着部である内側楔状骨と母趾中足骨底部を操作し、足部の背屈回外運動を誘導することがポイント

 ・伸長操作は足関節の底屈と共に足部の底屈及び回内運動を行う

 ・下腿近位部では筋幅が大きいため、内側と外側の線維束に分けて伸長操作を行うと良い

ⅱ)滑走操作

 ・前脛骨筋の内縁を脛骨前縁から外側面に沿うように捉える

 ・前脛骨筋の外縁は長母趾伸筋より捉える

 ・セラピストは前脛骨筋の前側か外側より脛骨と筋の間に剪断力を作用させるように操作趾可動域の改善を図る


⑵長母趾伸筋


①長母趾伸筋の評価

ⅰ)筋の触診

 ・脛骨や腓骨骨折、脛腓間の骨間膜損傷を受傷すると深層に位置する長母趾伸筋に影響が生じる

 ・長母趾伸筋は…

下腿近位部から中央部までは前脛骨筋の外側で長趾伸筋の深部に位置し、脛骨内面から下腿骨間膜の深さまで筋線維がある

下腿中央部から遠位部では前脛骨筋と長趾伸筋あるいは第3腓骨筋との間に位置する

下腿遠位部では筋線維が脛骨上を滑走する


・長母趾伸筋の触診は…

前側から行う場合内側に位置する前脛骨筋の外縁と分け触診を進める

下腿近位部から中央部では長趾伸筋を介して触診を進める

外側から触診を進めることで長母趾伸筋の深層線維を捉えやすい

長母趾伸筋の筋線維は足関節を跨ぎ距骨前まで発達している

そのため筋線維の遠位部を触診する場合は距腿関節の前方までを目安に行う


ⅱ )伸長操作

 ・長母趾伸筋は下腿近位部から中央部にかけて下腿骨間膜や腓骨中央に起始し、第1基節骨及び末節骨に付着する

 ・長母趾伸筋は足関節底屈+足部の底屈、回外+第1趾の屈曲にて伸長が可能

 ・中足趾節関節から趾節間関節まで全体的な屈曲を行なうことがポイント

 ・第1趾を屈曲した場合の底屈可動域の左右差を比較する


ⅲ )滑走操作

 ・下腿遠位部では脛骨と筋線維との間に剪断操作を行う必要がある

 ・脛骨遠位端周辺(特に長母趾伸筋のおよそ内側半分の深層)では血管や神経に加え豊富な脂肪組織を有している

 ・そのため滑走操作では筋線維と脛骨/筋線維と脂肪組織の滑走性を同時に操作する

 ・筋の前側から操作する場合は、前脛骨筋の外縁と分けて行う

 ・筋の外側から操作を行う場合は、長趾伸筋及び第3腓骨筋を介した操作となる

②長母趾伸筋の運動療法

ⅰ)収縮操作と伸長操作

 ・長母趾伸筋の収縮運動は腱の付着位置である第1趾基節骨及び末節骨を操作し足関節背屈と共に足部の回内、第1趾伸展自動運動を行う

 ・長母趾伸筋の伸長操作は足関節の底屈+足部の回外+第1趾の屈曲多動運動を行う


ⅱ)滑走操作

 ・長母趾伸筋の内縁を前脛骨筋と分けて捉える

 ・長母趾伸筋の外縁は長趾伸筋及び第3腓骨筋を介して捉えていく

 ・筋を内側か外側より操作し、脛骨と筋との間に剪断力を繰り返し加える


⑶長趾伸筋


①長趾伸筋の評価

ⅰ)筋の触診

 ・脛骨や腓骨骨折、脛腓間の骨間膜損傷を受傷すると深層に位置する筋線維に影響が生じる

 ・筋線維は長母趾伸筋を覆うように足関節まで走行する

 ・長趾伸筋の内側には前脛骨筋が、外側には長短腓骨筋が、下腿遠位部では第3腓骨筋と隣接する



ⅱ)伸長操作

 ・長趾伸筋は下腿近位部から中央部にかけて腓骨内側面や脛骨外側面、下腿骨間膜、下腿筋膜〜第2から5趾の中節骨及び末節骨に付着

 ・足関節底屈+足部回外+第2〜5趾の屈曲他動運動により伸長される

 ・評価の際には2〜5趾屈曲時の底屈可動域の左右差を比較する



②長趾伸筋の運動療法

ⅰ)収縮操作と伸長操作

 ・収縮運動を行う場合は、第2〜5趾基節骨及び末節骨を操作し足関節背屈+足部の回内+第2〜5趾の伸展自動運動を行う

 ・伸長操作を行う場合は、足関節の底屈+足部の回外+第2〜5趾の屈曲他動運動を行う


⑷第3腓骨筋


①第3腓骨筋の評価

ⅰ )筋の触診

 ・腓骨骨折により腓骨に付着する筋線維に影響が生じる

 ・第3腓骨筋の筋線維は腓骨前縁〜長趾伸筋の外側に並走する形態を取る

 ・筋線維が脛骨の遠位部上を走行する際には、脛骨遠位部の外側付近を滑走する形態を有する

 ・筋線維は長趾伸筋や長母趾伸筋が隣接するためしっかりと選別する(脛骨遠位端ではEHLが第3腓骨筋の深層で筋繊維が重なる)



 ・筋の前側から触診をする場合

長趾伸筋の外側で長母趾伸筋の表層にある筋線維を捉えるように選別する

 ・筋の外側から触診を進める場合

長短腓骨筋が隣接するため選別をする

 ・第3腓骨筋の筋線維の遠位部を触診する場合は

距腿関節の前方を目安に行う

第3腓骨筋は欠損していることもあるため第3腓骨筋腱の確認を行う

長趾伸筋腱の存在を利用した自動運動による検査にて行う

足趾の伸展+足部回内+背屈運動を行う

第5趾の長趾伸筋腱の外側で第5中足骨へ向かう腱の確認が可能

第3腓骨筋腱が、第5趾の長趾伸筋腱の外側で不明瞭な場合は、長趾伸筋の一部として筋線維を捉え評価を行う

ⅱ )伸長操作

 ・腓骨遠位部に起始し、第5中足骨に付着する

 ・足関節底屈+足部の回外他動運動により伸長運動が可能

 ・伸長操作による評価では、第5中足骨を操作した場合の底屈可動域の左右差を比較する

ⅲ )滑走操作

 ・下腿遠位部では長母趾伸筋の外側に隣接し、脛骨前縁上にを滑走する

 ・滑走部は脛骨遠位部前結節の前縁付近を目安に滑走操作を行う

 ・骨縁に沿った形で脛骨と筋との間に剪断力を作用させる

 ・外側から操作すると第3腓骨筋とともに長母趾伸筋も同時に滑走させることが可能となる

②第3腓骨筋の運動療法

ⅰ )収縮操作と伸長操作

 ・第3腓骨筋の収縮運動を行う場合は、腱の付着位置である第5中足骨を操作し足関節背屈+足部の回内自動運動を行う

 ・第3腓骨筋の伸長操作を行う場合は足関節の底屈+足部の回外自動運動を行う

ⅱ)滑走操作

 ・第3腓骨筋の内縁を長趾伸筋及び長母趾伸筋の外縁と分けて捉える

 ・第3腓骨筋の外縁は、腓骨遠位部の前縁より捉える

 ・筋を内側あるいは外側より操作し脛骨つ筋の間に剪断力を作用させるように行う


以上です。


次回は「底屈制限」(脂肪組織篇)について書く予定です。

第1〜4弾の大きな話となってしまったので、書き終わったら「底屈制限」(まとめ篇)」というものを出していこうかなと考えています。

お付き合いよろしくお願いいたします〜。