軟部腫瘍のエコー所見と良悪性鑑別
こんにちは、TROT(トロット)です。
皆さんの病院や、治療院では超音波エコー導入していますか?
僕らのクリニックでは、数年前に導入して以降、最高な相棒として活躍してもらっております。
これから先は超音波エコーを使えないと…
なんてことはないと思いたいですが、あれば万人力。頼もしいやつです。
もちろん、整形外科ですので運動器のエコーを見ることが多いのですがしばしば腫瘍が紛れ込んでくることもあります。
そこでまたまた先輩からお借りした本の中から為になるお話が記載してあったので抜粋してまとめていきたいとおもいます。
軟部腫瘍のエコー所見と良悪性鑑別
・軟部腫瘍の初期診断にはエコーのドプラパターンが良悪性判定に有用であると報告
・MORIIらの報告…
①腫瘍の最長径、②ドプラパターン、③周囲組織との境界性状の3項目で有意差があり特に最長径は46mm以上が悪性のカットオフとして適していた
・軟部腫瘍として送られエコーができた100症例を対象に軟部腫瘍の初期診断、良悪性鑑別におけるエコーの有用性とその所見を検討した
◽️検討項目(5項目)
①腫瘍の最長径(大きさ)
悪性平均92.8mm、良性平均41.6mmであり、悪性は良性に比較して優位に高値であった
②ドプラパターン(Glovagnorio分類:パワードプラ)
TypeⅠ:血流なし
TypeⅡ:周辺に単一の血流あり
TypeⅢ:周辺に多数の血流あり
TypeⅣ:内部に多数の血流あり
悪性の89%がTypeⅢ or Ⅳであった
③境界性状
境界明瞭:腫瘤周囲の境界が薄く、明瞭でカプセル様なもの
境界不明瞭:周囲組織との境界が不整なものや、周囲組織との境界線が曖昧で幅広いもの
境界性状が明瞭なものが悪性39%、良性88%であった
④内部性状
内部が均一 or 不均一
内部性状が不均一なものは悪性94%、良性22%であった
⑤表在
主流の存在部位が筋膜よりも浅い or 深い
表在には有意差を認めなかった
◽️結果
本研究でもの項目で①最長径、②ドプラパターン、③境界性状、④内面性状の項目で有意差を認めた
・まとめると…
◽️悪性の可能性が高い項目は…
①5CM以上の大きい腫瘍の場合
②パワードプラで内部や周辺に血流がある場合
③内部性状が不均一である場合
◽️良性の可能性が高い項目は…
④腫瘍の境界がカプセル上に明瞭である場合
診察に紛れ込んでいる異常をしっかりと見つけて患者さんの笑顔につなげていきたいものです。
今日もお読みいただきありがとうございました。