日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。
先日、交通事故の患者さんが来院されました。
膝をついて受傷したのですが、痛みが取れないためMRI撮影をすると、膝蓋骨下部に骨挫傷を認めました。
少し経過してから患者さんを担当することになり改めて評価をしてみると、可動域や筋力に関しては問題ないものの膝関節の表面にピリピリとした痛みと、ぶつけたことによる感覚鈍麻を認めました。
挫傷部の圧痛は落ち着いていたため、伏在神経の膝蓋下枝による問題かなと推察してリハビリに当たりました。
今後リハビリをするにあたって、伏在神経やHunter管についてもう少し知っておく必要があるなと感じたので、まとめて行きたいと思います。
神経分岐の整理
L2-4から出た大腿神経が筋枝と知覚枝に分岐する。
筋枝は腸腰筋と大腿四頭筋に分布。
知覚枝は伏在神経となり、Hunter管を通過し膝蓋下枝と内側下腿皮枝に分岐する。
①大腿神経
②伏在神経
③Hunter管
④膝蓋下枝
膝蓋下枝の走行
・縫工筋の下を通って前方に向かうタイプは少ない
・縫工筋を貫通したり、縫工筋の後縁から前方に回るタイプが多く、縫工筋の緊張で神経が影響を受けやすい解剖学的素因を有している
①松永らの報告
②Sirangによる研究
③Arthornthurasookによる研究
④黒部らの報告
膝蓋下枝の絞扼部位
・縫工筋と内側広筋の間に著明な圧痛とTinel signが認められた.同部位に対して超音波診断装置(以下,エコー)による観察を実施した結果,両筋の滑走不全により,筋間を走行しているIPB(膝蓋下枝)に圧迫が生じていた(*3)
・Houseは膝蓋下枝の分枝を縫工筋との関係に注目し、3つのパターンに分類し、絞扼性神経障害の機序を説明した。すなわち一般的には分枝は縫工筋を貫通するが、分枝が遠位で起こる場合に、縫工筋の後縁や,縫工筋前縁で絞扼される可能性があると述べている。(*1)
・我々の症例では、関節裂隙の近位約10cmで内側広筋の後縁付近に集中して おり,膝蓋下枝の分枝が必ずしも遠位以外のものでも神経障害が起こる可能性があると考えら れた(*1)
膝蓋下枝の評価
参考文献
*1)伏在神経膝蓋下枝絞扼性障害/広瀬一郎ら(東北労災病院)
*2)伏在神経膝蓋下枝の走行について/松永和剛ら(福岡大学病院)
*3)縫工筋と内側広筋間における伏在神経膝蓋下枝の絞扼性神経障害が疑われた1症例/吉井太希(さとう整形外科)
*4)伏在神経膝蓋下枝の走行バリエーションと絞扼部位
*5)~伏在神経・内転筋管(Hunter管)に注目して!~
*6)ハンター管症候群(伏在神経麻痺)