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肩関節拘縮の評価と運動療法 第1章 ②解剖学的関節と機能学的関節
では、前回の続きから始めていきましょう。
今回は前回お伝えした通り解剖学的関節と機能学的関節についてまとめていきたいと思います。
レッツ、スタデー📗
解剖学的関節
解剖学的関節とは凹凸の関節構造を形成する滑膜性の関節であり、運動に伴い、滑り、転がり、回旋などの運動が行われる
⑴肩甲上腕関節
・狭義の肩関節であり、第1肩関節とも呼ばれる
・小さなソケットが、大きなボールを支えるような構造になっているため可動域は大きいが骨性の安定性は少ない
⑵肩鎖関節
・鎖骨肩峰端と肩峰で構成された関節であり、関節内に関節円板が存在する
・肩甲骨運動の中心軸として機能している
・棘鎖角と運動制限
a.肩挙上時…
棘鎖角が増大して肩鎖靭帯の後方線維が緊張して運動を制限する
b.肩下制時…
棘鎖角が減少して肩鎖靭帯の前方線維が緊張して運動を制限する
⑶胸鎖関節
・鎖骨胸骨端と胸骨柄により構成される関節
・関節内には関節円板、前後の胸鎖靭帯、鎖骨間靭帯、肋鎖靭帯が存在する
・胸鎖関節は鎖骨運動の中心軸として機能している
・可動範囲は前額軸で後方回旋が約50°の運動を可能としている(前方回旋はほぼしない)
機能学的関節
機能学的関節とは非滑膜性の関節であり、解剖学的関節の補助を行ない、機能の効率化、安定性、支持性に関与する
⑴CーCメカニズム
・烏口突起(coracoid)ー鎖骨(clavicula)間メカニズムの略
・烏口鎖骨靭帯によって肩鎖関節と胸鎖関節の関節運動を調節する機能のこと
・烏口鎖骨靭帯は2パートに分かれる
a.円錐靭帯
烏口鎖骨靭帯の内側に存在し、棘鎖角の増大(肩甲骨の外転、上方回旋)を制動する
b.菱形靭帯
烏口鎖骨靭帯の外側に存在し、棘鎖角の減少(肩甲骨の内転、下方回旋)を制動する
⑵第2肩関節
・腱板、烏口肩峰アーチ、肩峰下滑液包、大結節にて構成される
・烏口肩峰アーチは烏口突起と肩峰をつなぐ烏口肩峰靭帯によって構成される
・直下には肩峰下滑液包が存在し、腱板の滑動性に対して機能する
・役割
a.GHの機能向上
b.腱板上昇に対する抑え込み(Depressor)
c.支点形成力の向上
d. 挙上時に大結節がアーチ下を円滑に通過するのを促す
⑶肩甲胸郭関節
・肩甲骨と肋骨面によって構成される関節
・滑膜組織は存在しない
腱板疎部周辺の解剖
・棘上筋腱と肩甲下筋腱の間にある隙間のこと
・その隙間をLHB(上腕二頭筋長頭腱)が走行し、その上面をCHL(烏口上腕靭帯)が張っている。
⑴腱板疎部
・構成は棘上筋の前部線維、肩甲下筋の上部線維、CHL、SIGHL
・役割は適度な柔らかさを持つことで、腱板の緊張や歪みを緩衝する働き
⑵LHB
・長軸方向への高い自由度を有している関節内から結節間溝までの間は走行が変わるため、障害が起きやすい
a.pulley system
①上腕骨頭レベル…
CHL、SGHL、棘上筋の前部線維、肩甲下筋の上部線維によって包囲されることにより、LHBは支持されている
②結節間溝レベル…
関節腔を貫いたLHBを結節間溝と表層の横靭帯が包囲し支持している
③それよりも遠位では…
LHBを支持する組織は存在しない
さて、今日はここまでと致します。
解剖学的な話が続きますが、確実に必要な情報だと思いますので、頑張って勉強していきましょう✊
それでは✋
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