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仙腸関節の痛み 第4章

ついに、第4章まで来ることができました。ふう。

文字読んでると眠くなる病気どうにかなりませんかねえ。

さて、いきましょう。




第4章 仙腸関節の痛みの診断


⒈特徴的な疼痛域


・仙腸関節障害の特徴的な疼痛域といえば…以下3つ。

 ①PSIS周辺の殿部痛

 ②鼠径部痛

 ③坐骨結節部付近の痛み

・多くの例でデルマトームに一致しない大腿以下の痛みと痺れを生じる


⒉検査


 a.疼痛誘発テスト

 ・仙腸関節由来の疼痛を誘発する代表的な手技

 ①Newton  Test 変法(陽性率:95%)

  ▶︎ 伏臥位にて患側仙腸関節を圧迫する手技

 ②Gaenslen Test(陽性率:60%)

 ③Patrick Test(陽性率:45%)


 b.One Finger Test

 ・疼痛の最も強い部位を患者に一本指で示させるテスト

 ・PSIS〜近傍(約2cm以内)で腸骨側を指差す症例の多くが仙腸関節ブロック有効例であった

 ・腰痛患者でOne  Finger Test陽性の場合は仙腸関節由来の疼痛である可能性が高い


 c.圧痛点

 ・診断に有用な圧痛点は4つ

 ①PSIS

 ②長後仙腸靭帯

  ▶︎ PSISから尾側に下げるとある陥凹

 ③仙結節靭帯

  ▶︎ 伏臥位で下肢内旋、坐骨結節頭側の付着部

 ④腸骨筋


⒊診断


a.仙腸関節障害の診断の流れ

 ①自覚疼痛部位の確認:One  Finger

 ②疼痛誘発テスト:Newton Test変法

 ③圧痛点:4箇所の確認

 ④仙腸関節後方靭帯領域への仙腸関節ブロック

で、症状が消失、減退すれば仙腸関節障害の可能性が非常に高いと言える


⒋鑑別診断


a.腰椎疾患及びその周辺の痛みとの鑑別

・他疾患との鑑別に関しては、以下の3点が重要

①仙腸関節周辺に疼痛の中心があるか?

②特徴的圧痛点に圧痛が存在するか?

Newton Test変法にて疼痛が誘発されるか?


 1)疼痛域による腰椎疾患との鑑別

 ①腰椎椎間関節由来の痛み

 ・大腿に広がる関連痛を有するが、痛みは仙腸関節中心の痛みではないため鑑別は可能

 ②神経根障害由来の痛み

 ・仙腸関節中心ではない

  ▶︎S2:PSIS付近に限局した痛みを出すことがあり鑑別は困難

 ③椎間板由来の痛み

 ・仙腸関節中心ではない


 2)梨状筋症候群

 ・梨状筋による坐骨神経の絞扼、圧迫により下肢症状を出す疾患

 ・画像検査による診断は困難

 ・徒手検査

  ①Freiberg  Test、②Pace  Test

   ・①、②ともに感度は良くない

  ③梨状筋の圧痛、坐骨神経へのTinel

   ・梨状筋症候群だと4つの圧痛点は陰性であることが多い


b.股関節症候群と仙腸関節

・股関節の変性所見を有する症例で股関節の痛みに加えて多部位の痛みを合併している場合、腰仙部の神経根が痛みに関与している場合が7割もあるという報告もある


c.鑑別を要する多臓器疾患

 ①産婦人科系:子宮内膜症、卵巣嚢腫、子宮筋腫

 ②泌尿器科系:尿路結石、腎盂腎炎

 ③肺がん

 ④消化器系

 ⑤血液系:多発性骨髄腫、悪性リンパ腫の脊椎転移

 ⑥血管系:解離性大動脈瘤

 ⑦心因性


といったところで第4章は終わりです。

PSISを指差して、Newton  Test変法で反応して、圧痛確認すれば良いという当たり前のことを再確認できましたでしょうか?


当たり前のことを当たり前に(もちろん意義を理解しつつ)行える医療従事者でありたいと心がけるいい章であったなあと個人的には思いました。



さて次回は、お待ちかね 第5章 治療 について入っていきます。

これにて一旦仙腸関節の痛みについては終わりになるかと思います。


しばし、お待ちを!