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「肩の挙上制限への治療戦略」#書く習慣144

日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。

先日初学者向けの肩の挙上制限の講義を受けました。
改めて、肩っていろんな側面を持っているなあと感じました。

「肩はセラピストの腕の見せ所だよ」

そういった先輩セラピストを思い出します。

勉強会の箇条書きの内容にはなりますが、良い内容だったのでシェアしていきます。


寿命延長に伴い人生の活動時間が延長することで機能障害が増大するはず

なぜ機能障害が生じてしまったのかを理解するためには機能解剖学が重要


肩関節の区画と治療対象

・可動性を出すためにGHに強く付着する靱帯は少ない

 → 関節包を補強するイメージ

・関節包のニュートラルポジション:水平内転45°/外転挙上45°

・関節包の区画分け:4分類(前上方、前下方、後上方、後下方)

・屈曲位での内旋(下部・後方の組織の伸長):棘下筋、小円筋


挙上運動の構成

3つのフェーズ(〜90°、〜130°、130°〜)に分類し、どの機能が必要なのか逆算する

肩甲上腕リズム:〜90°まではGH、90°〜はIST要素が入ってくる

GHが動かないと、肩甲骨の挙上で代償してしまう

①初期(〜90°):肩自体の影響

・関節包…後下方の伸長

・GH:⑴屈曲域での内旋が必要… 棘下筋、小円筋

     ⑵内転・下垂位での内外旋が必要… 三角筋、棘上筋、SAB

②中期(〜130°):肩+他関節の影響

・GHが炎症を起こしてしまうそもそもの問題点『骨頭と関節窩のズレ』であり、その逸脱により関節包にストレスが生じてしまう

・GH:骨頭を関節窩に引き寄せるように働く(求心位保持)

・肩甲骨:関節窩を骨頭に合わせるように運動する(上方回旋が必要)

・他関節の影響

 ⑴ 胸椎の伸展

 ⑵ 鎖骨下筋、小胸筋、広背筋、上腕三頭筋、横隔膜

 ⑶ 重さへ拮抗できる筋出力が必要(90°屈曲時)


③最終域(130°〜):他関節の影響(より遠位部からの影響

(前面)大腰筋、(後面)大臀筋


フェーズ別のテスト法

確認すること:①フェーズ ②ポジション ③痛み(圧痛)の部位

挙上初期:触診

 触診:肩峰下(棘上筋)、棘下筋、小円筋

 ポジション:1st内外旋、1st内転、軽度屈曲での内旋

  ⑴ 1st内外旋

  ⑵ 内転+伸展+外旋(前上方)/内転+屈曲+内旋(後上方)

  ⑶ 軽度屈曲位での内旋(後下方)

挙上中期:臥位での屈曲運動

 ポジション:3rdでの内旋、水平内転

 ①伏、側臥位:肩甲骨の運動を見る(動きが出ているか?)

 ②背臥位:90°以降の屈曲ができるか?
  →できない(ROM制限)/できる(筋収縮不足)

コンディショナルテスト(上半身由来)

 ①手指屈曲での挙上(前腕の柔軟性)

 ②肘屈曲での挙上(上二M、上三Mの柔軟性)

 ③胸椎伸展での挙上(菱形筋・僧帽筋の出力/骨頭求心位の作用)

  菱形:できなければ体幹を同側回旋させる

コンディショナルテスト(下半身由来:イスを用いる)筋をたゆませるイメージ

 ①股屈曲位での挙上(大腰筋〜下肢前面)

 ②股外転位での挙上(臀筋外側〜下肢外側)

 ③股関節伸展位での挙上(臀筋後面〜下肢後面)


治療

目的:①GHの可動域獲得 ②運動によるROM拡大、筋収縮の促進

触診:棘上筋、棘下筋、小円筋:圧迫して揺らす

 上二M(肘側):仰臥位で上腕骨から剥がす

 上三M(肘側):座位で上腕骨後方から剥がす

初期〜中期に行う運動

伏臥位での運動:3rd内旋位

 ①屈曲伸展、回旋運動

 ②抵抗運動(等尺性収縮):患者下垂位で位置を動かさないように多方向から圧

 ③引き寄せ運動(牽引):上肢を棒のようにして内転、徐々に屈曲角度増大

中期〜後期に行う運動

・肩甲骨の下制内転、胸椎の伸展が必要

 ①肩甲骨内転エクササイズ:壁に手背/肘をつけて背面を浮かす