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「画像所見は嘘をつかない。」#書く習慣154
日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。
先日改めて画像所見の大切さについて考えさせられることがあったのでシェアします。
「傘をさしながら自転車に乗り転倒しました。」
60代女性。
タイトル通り傘をさしながら自転車に乗っていて転倒してしまったとのこと。
XPを撮影して画像を確認してみると…
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上記画像のように明らかな骨折線を認めませんでした。
患者さんの訴えと所見
改めて患者さんの訴えをかき出してみると…
◻︎ あまり痛くはない
◻︎ 局在性はなく、全周に違和感がある
◻︎ 肘の屈伸ともに制限あり(屈曲100°/伸展−40°)
◻︎ 肘外側に若干の熱感がある
と問診や触診から肘外側に熱感があり、可動域制限があることがわかりました。
ドクター「エコー撮っといて」
画像所見や患者さんの動きから骨折は否定的でしたが、エコーを見ることを指示されました。
全周に違和感があるとのことで、どこをみるか悩みましたがこういう時こそ基本に戻って骨損傷の有無を確認するために前方と後方よりFat Padを確認しました。
すると…
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前方、後方ともにFat Padの所見を認めました。
これは骨折を示唆する所見となります。
検査に否定的だった先生と相談し、MRI撮影をしてみると…
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上腕骨小頭骨折が判明いたしました。
もちろん、最初のエコー検査で全てが分かるのが患者さんの負担としては少なくて済みますが、見落とさないことの方が重要ですよね。
これからも丁寧に所見を聞いて、拾っていこうと思った一症例でした。