「足関節の底屈制限(伸筋支帯篇)」#書く習慣31
日々の診療お疲れさまです。TROT(トロット)です。
昨日に引き続き足関節の底屈制限の第2弾として伸筋支帯性拘縮についてまとめていく。
本日もこの 足関節拘縮の運動療法 より抜粋引用させていただきたいと思います。
伸筋支帯の評価と運動療法
・伸筋支帯内は…
⑴伸筋支帯内癒着について
・外傷により伸筋支帯内は腱の腫脹や浮腫の影響により局所的な内圧が上昇し、痛みの出現や腱の滑走性が制限される
・伸筋支帯内の腱の滑走性が低下すると底背屈に伴う腱の移動により摩擦刺激が生じ疼痛やROM制限を起こす
・伸筋支帯内の癒着により腱の滑走性が消失すると腱性拘縮となる
⑵伸筋支帯の評価
①伸筋支帯の病態
・伸筋支帯は、下腿遠位部から距腿関節前方に張る深筋膜組織である
・距腿関節の位置で上下の伸筋支帯に分けられる
(脛骨遠位端前縁を上伸筋支帯、内果前縁を下伸筋支帯として区別する)
・周辺組織との癒着(滑走障害)が可動域制限につながりやすい
・癒着の好発部位としては、支帯が付着する脛骨遠位部前縁から脛骨内果あるいは、腓骨遠位部前縁から腓骨外果の部位が挙げられる
・同部での癒着が生じた場合は、足関節の底屈運動時に足関節前方の内外側に伸張感や疼痛が生じ、関節可動域制限を認める
・この疼痛は前脛骨筋や第3腓骨筋などの背屈筋群の骨縁からの浮き上がりにより生じる伸筋支帯の伸長が癒着部位に作用したことによるもの
・伸筋支帯が癒着すると伸筋支帯の伸長性を低下させるだけでなく、背屈筋群の滑走性も制限する
・特に前脛骨筋腱は影響を受けやすく、前脛骨筋の運動に影響が出ると背屈ラグが生じる
・特に背屈自動運動時に足部回外位での背屈が困難となり、足部回内位での背屈運動となる
・エコー下での伸筋支帯の動態
②伸筋支帯の評価
・伸筋支帯の癒着が疑われる腓骨、脛骨上にてその滑走を触診する
・伸筋支帯は筋の収縮により体表に浮き上がるが、癒着が生じると浮き上がるだけのゆとりがなくなるので、背屈自動運動に伴う伸筋支帯の浮き上がりや硬さを評価する
・腓骨側では、腓骨遠位端から外果に至る前縁と第3腓骨筋の外縁との間が触診のポイント
・脛骨側では脛骨遠位端から内果に至る前縁と前脛骨筋の内縁との間が触診のポイント
・上伸筋支帯の癒着が強い時は、前脛骨筋腱を徒手的に外側へ押した際の移動性の低下も評価する
・下伸筋支帯は、前脛骨筋の深層から長母趾伸筋を覆うように位置しているため、母趾の伸展運動に伴う長母趾伸筋腱の体表方向への浮き上がりを評価する
⑶伸筋支帯の運動療法
①癒着部位への徒手操作
・骨折部や術後侵襲が加わった部位では、脛骨または腓骨上で伸筋支帯が癒着することが多く治療対象となる
・脛骨側で行う徒手操作は前脛骨筋腱を目安として前脛骨筋腱の内側、あるいは外側から徒手操作を行う
・腓骨側で行う徒手操作は長趾伸筋や第3腓骨筋を目安として筋の内側あるいは外側から徒手操作を行う
②背屈筋群の運動
・背屈筋群の自動運動は、伸筋支帯内を通過する腱の浮き上がりを利用することで伸筋支帯の滑走性を促し、癒着予防や改善を図ることができる
・支帯の外側部を対象とする場合…
・支帯の内側部を対象とする場合
③関節運動による伸長操作
・伸筋支帯の癒着が疑われる腓骨あるいは脛骨上への伸長操作を、足関節及び足部関節の他動運動を用いて行なう
・どちらの操作も伸長だけでなく、弛緩も十分に行うことが大切
(重要なのは弛緩と伸長の張力差を組織に加えること)
・脛骨前縁から腓骨外果にわたる部位への伸長操作
・脛骨前縁から脛骨内果にわたる部位への伸長操作
それでは今日はこの辺で!
明日はついに足関節底屈運動制限の筋篇についてまとめていきます!