歳入庁構想をもう一度
皆さんは、税金を徴収しているのはどこか知っていますか?
そして、税金と同様の性質を持つと言われる社会保険料はどうですか?
こう言ったことについて、今回は解説していきたいと思います。
国税庁と社会保険庁
税金を徴収する国税庁
国税庁というのは、財務省の下にある、徴税のための官庁です。
税務署や国税局などは、国税庁の行政機関です。
ちなみに、ビールなどの酒類業の事業所管官庁は国税庁なのです。
一時期、ビールの振興などを国税庁が行なっていて、不思議に思われた方もいるかもしれません。
ただし、社会保険料などは国税に納めるわけではありません。
社会保険料を徴収する社会保険庁
社会保険料とは、何かをまず説明します。
社会保険料とは、その名のとおり保険料です。
皆さんは生命保険や火災保険などは加入していますか?
加入している方には、わかりやすいと思います。
社会保険も国が行う保険制度です。
健康保険は、被保険者が保険料を負担して、病気になったり怪我をして病院に受診した時、治療費の大半を国が負担してくれます。
年金は、20歳以上が被保険者になり、長く生きることになった人は、一定額の給付を毎月受けることができます。
介護保険や雇用保険も同様の制度です。
そして、これらの社会保険への加入は義務となっています。
そのため、社会保険料は税金と同じ性質なのです。
実際、海外ではsocial security tax(社会保障税)として徴収されています。
そして、この徴収を担っているのは、社会保険庁なのです。
社会保険庁は、厚生労働省の下にある官庁です。
社会保険庁と国税庁を統合しよう
社会保険庁の徴収には、問題があるのです。
それは、保険料の取りっぱぐれがあるということです。
例えば年金です。
国民年金は、20歳になると支払う義務は生じますが、払っていないという人は多いのです。
上の図を見ていただければわかるとおり、20%以上の人が国民年金を納めていません。
また、厚生年金についても、大企業などはないとは思いますが、中小企業などでは、従業員から徴収して、そのまま収めていないというケースもあります。
だから、国税庁と統合して、デジタル庁の力を借りながら保険料の取りっぱぐれのないようにるべきだと思います。
現状の問題点と解決策
問題点
社会保険庁と国税庁を統合して歳入庁をつくる時に問題になるのは、財務省の存在です。
まず、歳入庁が国税庁と同様に、財務省の下にあったとしたらどうでしょうか。
そもそも予算と徴税を握っている財務省です。そんな財務省が、さらにパワーアップすることは間違いないでしょう。
これでは、省庁間のバランスとしては悪すぎます。
では、歳入庁を内閣府に移管するというのはどうだろうか。
これが、第1次安倍内閣の時にあった歳入庁構想だ。
しかし、徴税権を手放したくない財務省からの徹底抗戦により頓挫してしまいました。
解決策(高橋洋一談)
歳入庁を作る方法を、数量政策学者の高橋洋一さんが解説しておられました。
詳しく理解したい方は、上の動画をご覧になってください。
以下では、私なりに噛み砕いて説明します。
現在の日本では、省庁それぞれに設置法というモノがあり、これによってそれぞれの省庁の役割が規定されています。
しかし、世界各国を見てみると、日本とは違うことがわかります。
それは、法律では政府の役割が規定されており、省庁の役割は政令によって規定されているのです。
それに倣って、政府(時の政権)が各省庁の役割を規定して、歳入庁を内閣府の下につければいいというものです。
これは、凄まじく強烈な改革だと思います。
しかし、第1次安倍政権は、これによって潰れてしまいました。
まとめ
現在の、社会保険料の徴収制度には問題があります。
そのため、社会保険庁と国税庁を統合した歳入庁を作るべきです。
そのためには、政治的に強烈なパワーを持った政権か、政権が倒れる覚悟を持った政権が必要です。
岸田内閣では当然無理ですが、これから先そんな政党が現れることを願います。