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太陽光パネルの真実!電気代が2倍に跳ね上がる衝撃の理由 2025年2月10日放送分

# 太陽光パネル、電気代
(ゲスト)杉山大志氏:キヤノングローバル戦略研究所の研究主幹

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(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、IT ビジネスアナリストの深田萌絵です。今回はキヤノングローバル戦略研究所の研究主幹、杉山大志先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。

2025年になって電気代は一体どうなるのかというのが、我々一般庶民の心配事です。まだまだ上がるのだろうか、それとも補助金でもつけてくれるのだろうか、電気代は一体いくらになるのだろうかというところですが、どうでしょうか。

(杉山)
「エネルギー基本計画」という政府案ができていて、それが今パブリックコメントにかかっています。どうせパブリックコメントなどは全部無視して閣議決定ということになりそうですが、その閣議決定が一月の末頃です。それを見るとこれから電気料金が爆上がりするとしか思えません。

(深田)
爆上がりですか。どれぐらいになるのでしょうか。

(杉山)
今より(1KWあたり)20円ぐらい上がるのではないでしょうか。

<スライド電気料金を震災前の産業14円、家庭21円に>

この政府の資料によると、家庭だと1KW1時間で34円になっています。これがあと20円ぐらい上がるという勢いではないでしょうか。

(深田)
もともと2010年で21円だったのが、今34円です。

(杉山)
今政府がやろうとしていることを見ると、もっと上がります。

(深田)
何をやろうとしているのですか。

(杉山)
再エネです。そもそもここまで上がった理由は、原子力を動かさなかったのと再エネ、太陽光とかを大量導入したというのがすごく大きかった。

(深田)
再エネ賦課金が上乗せされていることもですね。

(杉山)
再エネ賦課金も大きいのですが、他にもあれこれ色々な補助金が入っていたりして、とにかくお金がかさみます。もうすぐ閣議決定されてしまうと思いますが、再エネをどうしようかという計画案が出ていています。

<スライドエネルギー基本計画>
2040年の発電のうち再エネを4割から5割にすると言っています。
一番下のこの2割です。2割と言っていますが、現状は実はこれは水力発電が半分で、太陽光発電・風力発電は1割ぐらいです。
2040年に水力発電は増えませんので、要は太陽・風力が1割のところを3割から4割にする、3倍から4倍にすると言っています。

(深田)
太陽光パネルの方が私たち国民の負担が重たいという状態ですが。

(杉山)
もちろんそうです。電気の量にして全体の3割から4割を太陽光か風力にすると言っている。太陽光発電ではパネル1個は1年のうちの13%ぐらいの時間しか発電しない。つまり、半分が夜ですから、それで50%になる。さらに雨の日とか曇りの日も太陽パネルは全く発電しない。 薄日がさしていても発電量は0です。直接太陽の光が当たっていないと発電しません。雲を通したらもうダメです。

(深田)
北海道とかに大規模なメガソーラーがありますが。

(杉山)
北海道のように日照の良くないところだと、もちろん雪かぶっても発電しませんから、そういうことを考えると、パネル1枚が1年のうちで発電する時間は13%しかありません。それで日本の電気の3割、4割を賄うというと莫大な量の太陽光パネルを敷き詰めないといけません。

(深田)
日本の国土だけでは足りなくありませんか。

(杉山)
私の知り合いが計算したのですが、愛知県の全面積に匹敵するほどの広さが必要だということです。風力発電でも話は同じようなもので、よく洋上風力とか言っていますが、風はいつも吹いているわけではありませんから、よく見ていると結構止まっています。一番条件の良い所でも全体の時間の3割ぐらいしか発電しません。そういうものをたくさん増やしますというのがこの計画です。

(深田)
これを見ると恐ろしいです。こんなことをやられたら電気代が2倍とかになってしまいます。

(杉山)
本当に2倍になると思います。その話をこれからしていきますが、まず太陽光発電が今や1番安いとか運動家の人は言います。

(深田)
彼らは嘘を言っていますね。

(杉山)
1番ひどいのは「太陽光パネルを導入して電気代0円生活」とかいう広告です。あれは要は補助金とかがたくさん付くからその人は儲かるというだけのことです。実際は太陽光を入れても、さっき申し上げたように1年のうち13%しか発電しない。残りの87%は何のことはない、火力発電とか他の電気が必要なのです。

(深田)
ということはバックアップ電力も必要ですね。

(杉山)
だから本質的に二重投資になる。太陽光パネルを置いても火力発電所は必要になります。これをバックアップと言えるかどうか、というのも13%しかパネルは発電しない、それなのに87%を供給している方をバックアップと呼ぶのは何だか失礼な気がします。(笑)ですから、太陽光発電や風力発電を入れれば入れるほど電気料金は高くなるのです。

<スライド欧州における太陽・風力発電の普及率と電力価格>

これはヨーロッパの国の比較です。横軸が太陽光と風力の発電の全体のシェアで、縦軸が家庭の電気料金です。デンマークやドイツは、運動家の人は大好きのようですが、再エネのシェアはすごく大きくて30%とか60%とかあるものの、実のところ電気料金も1番高い。

(深田)
やはり太陽光とか洋上風力とかは要りません。

(杉山)
本当に要りません。しかし政府はそれを入れようとしている。政府の資料を見るとしっかりと「高い」と書いてあります。

<スライド発電コスト(政府資料①)>

政府の資料では分かりにくいのでここでは説明しません。

<スライド発電コスト(政府資料②)>

これも政府の資料だから分かりにくいので、私が分かりやすくまとめてみました。

<スライド本当の発電コスト>

これが私がまとめたグラフです。2040年に電力を供給するならどうすれば1番安いか。1番 安いのは当然原子力の再稼働です。 なぜならもう建っているのですから、再稼働が1番安い。稼働させるためには燃料のウランは使うけれども、ウランは安いし、しかもたくさん使わなくていいから、燃料費が安い。原子力発電を再稼働するだけであれば、1KW1時間の電気を得るために1.9円しかかからない。お金のことを考えるなら、色々な意見の人がいるのは分かりますが、これをやらない手はありません。

(深田)
あと私は火力発電の復活が必要だと思っています。

(杉山)
おっしゃる通りです。火力発電所も、すでに今建っている石炭火力発電所というものがあるわけです。これも発電するために必要なのは燃料費だけなので、これがいくらかかるかと言うと4.2円です。ですから、今ある石炭火力を活用して電気を供給すれば、2040年時点でも4.2円で電気を作れる。それなのに今日本政府は石炭火力発電はCO2が出て怪しからん、これを潰していきましょうと言っているわけです。

(深田)
バカらしいですね。誰が電気代を払うのか、政府は払わない、払うのは国民です。

(杉山)
それで、似たような話ではありますが、ガス火力発電の方は石炭より多少値段が高い。それでも1KW1時間で6.6円です。ガスに関してはさすがにもう目の敵にするのはやめたようです。今、すでに火力発電所はたくさんありますから、潰したりしないできちんと維持して15年でも20年でも使えばいい。
その次に安いのは全然再エネではなくて、どうしても電気が必要なのであれば火力発電所を作るとか原子力発電所を作るとかすればいい。

(深田)
でも原子力発電は立ち上がりに15年から20年とかかります。火力でいいではないでしょうか。

(杉山)
火力でいいです。特に今電力が急増するかもしれないと言われているのは、データセンターとか、半導体製造のためだということです。

(深田)
どちらもやめればいいと思います。

(杉山)
え?

(深田)
AIデータセンターと半導体の製造をやめたら別に電気は不要ですから。(笑)

(杉山)
(笑)いやいや、そういうわけにはいかないでしょう。電気が安くないと誰も工場など作らないしデータセンターも作りません。アメリカなどでは今もうすぐ増える電気の量が30GWと言っている。3000万KWです。半導体工場とかデータセンターとかです。今アメリカは電気代が安いし、アメリカの中でも州によって異なっていて、特に電気代の安いところにそういうのがバンバン建つ。日本もそれをやらないといけないでしょう、本当は。

(深田)
本当にそうです。AIデータセンターは普通のデータセンターの10倍ぐらい電力を使います。それが本当に必要なのかというところがあります。

(杉山)
それはまた1段難しい話です。ただ私が思うのは少なくとも電気は安定して安く供給しておくべしということです。それなくして他のどんな産業もありえません。

(深田)
そうですよね。火力発電は欲しいです。

(杉山)
データセンターやAIというのはたまたま新しい電力多消費産業です。これまでの電力多消費産業というと金属の精錬とかアルミニウムの精錬とかありました。しかし、日本は石油ショックの後もうなくなってしまいました。電気代が高くなったからです。それから、かつて九州とか半導体工場がたくさんありましたが、その後半導体工場もみんな台湾に持っていかれました。その原因の1つは日本のエネルギーが高かったこともあった。

(深田)
台湾はもう電気代とかいろんなものを国がサポートしていますから。

(杉山)
国のサポートもありますが、選択した技術が正しかった。石炭火力を大いに使ったわけです。台湾も石炭は輸入ですが、大量に輸入して強大な石炭火力発電所を作ってそこで電気を作ったから安くできた。それを優先的に大企業に供給していたというのはもちろんありました。
それで、「グリーン」の話ですが、これは政府の数字です。

<スライド本当の発電コスト>

今、アンモニア発電とかしていたり、CCS石炭火力と言って、これは火力発電で出てきたCO2を地中に埋めるというもの、そして事業用太陽光発電、この試算だと36.9円で1番高い。洋上風力も25.2円です。なぜこんなに高くなるのかと言うと、日本中の3割から4割を太陽光・風力でまかなうというと、もう多すぎるのです。一斉に太陽が照ったら、一斉に発電するけれども、そうするともう中央よりはかに多くなってしまうので行場がない。そうすると電気を捨てるか、バッテリーにためて夜に使うか、あるいは余った時に足りないところに送るための送電線をその時だけのために作るとか、そういうことをするとコストがとんでもなく跳ね上がるわけです。これが政府の数字で出ているわけです。
そして政府が気合を入れて再エネを増やすと言っているのは太陽光・風力でしょう。しかもこれはみんな机上の計算です。大体机上の計算というのはこうだったらいいといった願望も入っている。実際にはずっと高くなるというのが普通だと思います。
こんなことばかり1番やろうとしているから、これから電気代はますます爆上がりするとしか思えません。

(深田)
いやもう本当それだけは勘弁してもらいたいです。

(杉山)
どうしますか、経営者として。日本に工場を建てますか。

(深田)
いや無理ですね。ドイツなどはロシアのウクライナ侵攻の後ガスが止まって電気代が爆上がりしたので、企業が一斉に工場を移転して脱産業化が進んだと言われているぐらいです。

(杉山)
いよいよフォルクスワーゲンまで大リストラが始まったというので、ドイツ人もこれは大変だと、今頃かという気もしますが、緑の党の支持率がもうがた落ちです。

(深田)
爆下がりで若い人たちはもう、脱炭素がいかに「アホ」なことかということに気がついて保守派に投票しているそうですから、日本の皆さんも是非とも目覚めてもらいたい。

(杉山)
そうですね、こういう数字が一応ありますから。「エネルギー基本計画」というのは基本、役所、行政で閣議決定なので国会の議論を通りません。

(深田)
ですから、議員がやりたい放題やっています。

(杉山)
再生エネ議連とかいう人たちですね。

(深田)
そうですね。菅義偉氏の周りの人たちが作った利権です。

(杉山)
しかし、自分たちの利権は儲かるかも知れませんが、国全体としたらこれは本当に経済がガタガタになる話です。

(深田)
でも彼らは全然そういうことは考えません。

(杉山)
ドイツとか素晴らしいお手本を見せてくれているのに絶対に見習ってはいけないような感じです。

(深田)
そうです。だから私たちはもう太陽光パネルを推進している議員に投票してはいけないというルールを作らないといけません。半導体利権議連も80人くらいいるはずですが、やはり利権が絡むと議連は大きくなります。

(杉山)
半導体を推進することは私は悪いことではないと思います。

(深田)
半導体を推進することはいいことですけれども、その補助金を全部外資にあげるという「アホ」なことはやめろということです。

(杉山)
グリーン、再エネの推進よりはまだいいのではないですか。(笑)

(深田)
いや、どっちもどっちですけれど。

ということで、今回は、まだまだ上がる電気代、下手すると2倍になるぞ、ということをキヤノングローバル戦略研究所の研究主幹、杉山大志先生に教えていただきました。
先生、どうもありがとう ございました。

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