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脱炭素利権は特別会計!? 大手外資はSDGs投資から続々逃亡! 2025年2月3日放送分
# 脱炭素利権、SDGs、グリーン利権
(ゲスト)杉山大志氏:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
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【目次】
1. オープニング
2. やめられない儲かるグリーン利権
3. 根拠がないCO2削減数値目標
4. 御用シンクタンクは大丈夫と言う
5. CO2ゼロにしたら経済は死ぬ
6. 誰もが止めたがっている脱炭素
7. 脱炭素はそろそろオワコン
(深田)
政経プラットフォーム ITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回は、キャノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。
私、毎年年末年始になると必ず各経済誌の予測を買っています。今年も2025年の予測を見ていると、日経も東洋経済も『今こそ日本は脱炭素を目指すべきだ』『グリーン投資をするべきだ』みたいなことを言っていますが、いかがでしょうか?
(杉山)
私は「脱炭素はオワコンだ」と言っています。
(深田)
オワコンになりそうですか?
(杉山)
今年かどうかは分からないけれど、どんどん終わっていくでしょう。特に、1月にトランプ政権がアメリカで誕生し、ガラッと変わると思います。ただ、日本政府とかその界隈は、全然情勢の変化を分かっていないのは間違いないですね。
(深田)
分かっているのだけれども、グリーン利権組が身動き取れない状態じゃないでしょうか。
(杉山)
グリーン利権とは何なのだろうね?別に分かっている・分かってないは関係なくて、利権に縛られているのかもしれない。
(深田)
分かっているのだけれどもやめられない。それだけ美味しいグリーン利権だと思います。付加金とかも、結局「天下り」ですよね?
(杉山)
GX機構という。
(深田)
グリーントランスフォーメーション(GX)
(杉山)
何回言っても恥ずかしいのですが(笑)。GX推進機構(脱炭素成長型経済構造移行推進機構)という外郭団体ができました。そこが累積20兆円の国債を発行して、それで補助金をあちこちにばら撒きますと。その国債の償還のために企業には排出権を売り付けて、大企業以外にはエネルギーに課徴金を課しています。それをみんな特別会計で回しています。
(深田)
なんと悪どい!
(杉山)
もう役人天国みたいなGX法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)というのが通りました。2023年の5月だったと思います。とにかくこの1~2年でGX法ができて、そういう「役人天国」ができました。これ特別会計で回すでしょ? だから、これも国会で精査しない。
(深田)
議会を通さない。
(杉山)
そこで課徴金とか排出権の売上というのは、これまた税金ではないので、議会の審査というのはすごく甘いわけです。そんなような仕組みができて、どんどん突き進んでいます。
一度「役人天国」を作ってしまうと、役人はもちろん自分たちの権限を膨らませるようなことばかりやるわけです。
(深田)
天下り先でも、何千万円もらい、それに付随する利権絡みの会社から年間何千万円ずつもらって、全部合わせると10社で年収4億円。それを10年、20年やって、80億円貯めるという。
(杉山)
その仕組みはまずいでしょ? とそれなりに批判もあったと思います。しかし今回のグリーンに関しては、そういうオールドファッションな仕組みが出来上がってしまって、もうすでに結構役人も天下りをしています。そういう人たちがエネルギー基本計画というのを作るわけです。官邸は官邸で、菅元総理、岸田前総理、石破総理だから、その路線の人たちです。そういう人たちがエネルギー基本計画の案をまとめ、2040年のCO₂の目標を作りました。それが2013年と比較して73%CO₂削減という風になりました。これは何かというと、2050年まで一直線に2013年からCO₂削減したら、2040年のところで73%になっているという、ただこれだけです。
(深田)
具体的な計画ではなく、数値目標ありきで直線引いてみただけということですね。
(杉山)
2030年が46%というのは小泉環境大臣だった時で、なんで46なのですか?と聞いたら、おぼろげにシルエットが浮かんできたからと言っていました(笑)。
(深田)
名言ですよね。
(杉山)
だけど実際は、これも直線引いて読んだだけでした。まだごまかそうというつもりが政府にはあったわけです。
(深田)
そういう意味では、別に小泉さんはバカじゃないんですよね。隠そうとしたちょっと小ズルいところがあるということですよね。
(杉山)
それはよく分かんないけど(笑)。でも、今回隠そうともしないのですよ。説明を見ると下の方に「直線にしたらどうか」と書いてあります。これがバカみたいに審議会で、直線じゃなくもっと頑張らねばならんのだ!とか、そんな話を延々とやって結局直線になりました。しかしこのCO₂の目標を決めるって、日本のエネルギー消費量を決めるようなものじゃないですか。それを直線で決めましたと、何それ? という感じす。これが我が国のエネルギー基本計画です。
(深田)
ヤバいですね。なんか維新の大阪万博と同じ匂いがします(笑)。
(杉山)
大阪万博はなんだかんだ言って開催はすると思いますが、エネルギーについてはできるはずがありません。
(深田)
大阪万博開催はするけれども、中身はなくなっていますから。パビリオンとかも外国政府が逃げています。エネルギー基本計画については、実現不可能というか、CO₂に反対する議員、お前が息を吐くのをやめろと思います(笑)。
(杉山)
息を吐くなとは、さすがに言わないですけど(笑)。日本のエネルギーは、なんだかんだ言ってまだ8割以上は化石燃料です。石油、石炭、天然ガスです。工場でモノを作るというのは、エネルギーを使わないでできるはずがありません。お家で料理する時だって、ガスコンロでモノを温めたりして作るわけです。工場でも例えば鉄を熱して曲げたり、ボイラーで蒸気を作ったりしているわけです。そういうことを工場ではやっているわけですが、これを考えている人は工場をおよそ知らない人間なんじゃないかと思えます。
(深田)
縄文時代に戻ろうという政策ではないですか?
(杉山)
そういう感じです(笑)。CO₂73%削減するのに技術的な根拠があるのかと言ったら、水素だとか再エネだとか言っています。そんなものでモノを作ったら、一体いくらになるのかと。
(深田)
国際競争力を失いますよね。
(杉山)
みんながコストを削るのにどれだけ真剣に頑張っているのかというのを、何にも考えてないように思えます。
(深田)
日本政府は、いかに中小企業を潰すかということを一生懸命考えているとしか思えません。
(杉山)
ただでさえ中小企業の工場なんてどんどん減っていて、この間調べたら東京都のCO₂排出量が何年か前に比べて半分になりましたと言っていました。しかし何のことはない、工場の数が半分になっただけです。小さい工場なんて、どこも必ずボイラーがあって、石油を焚いたり、最近はガスを焚いたりしているところも多いようです。それで加熱しない限りモノなんかできない。でも、CO₂出すなと言われたら、どうするの? と。
(深田)
家内制手工業に戻るみたいな政策ですよね(笑)。
(杉山)
本当に論外なことをやっているわけです。こんなことをやったら、日本の経済ガタガタになると思うわけです。政府は7つものシンクタンクに外注を出して、この経済性について検討をさせています。
(深田)
その中に、キャノングローバル戦略研究所は入ってないのですか?
(杉山)
私のところは入ってないです。御用学者のところと、政府お抱えのシンクタンクにしか出さないですよね。
(深田)
そんなのシンクタンクじゃないじゃないですか。頭使ってないですよね。
(杉山)
シンクタンクって、そんなもんばかりだと思います。しかもその外注の時の依頼内容というのがすごくて、そこに「経済活動量を過度に損なわないこと」と書いてあります。それを心配するから、シンクタンクで分析するんじゃなかったの? というのが普通の考え方です。さらにシンクタンクがまた揃いも揃って、経済成長しながらCO₂ゼロになります!と答えを返しています。
(深田)
日本の御用学者って、すごいですよね。本当に、政権変わったら御用学者全員入れ替わります。
(杉山)
リニアの話とかもそうですよ。入れ替わってもいないのに、結論だけ変わったと。
(深田)
同じメンバーなのに、政権変わったら結論が全部変わるという。NTT法もそうです。同じメンバーが廃止に賛成と言っていたのに、政権変わった瞬間に満場一致で廃止しなくていいという。
(杉山)
これ「安定供給・経済成長・脱炭素を同時に実現するという我が国のGXの基本理念に基づき
経済活動量を過度に損なわないこと」と、言っている意味がよく分かりません。理念が何だろうと、CO₂ゼロにしたら経済活動なくなるだろう。戦争やれば必ず勝つから、負けるなんて答えを書くな!みたいな話です。
(深田)
戦争も脱炭素と言われています。戦争も脱炭素を目指さないといけません。
(杉山)
ウクライナ戦争が始まったばかりの頃に言っていた人はいましたけど、最近はそうでもないでしょう。
(深田)
でも論文はまだ出ています。兵器も電動化が進められています。脱炭素のために、電池切れたらどうするの?と。そういうのをやっているのはアメリカですが、日本はまだそこまでじゃないです。
(杉山)
腐り切った話ばかりで、まともに文句言う人がいません。国の審議会というのは、御用学者ばかりだから何にも言わないのだろうけど。
(深田)
審議会も本当は外部の人が見られるようになっているはずなのですが、私も審議会に参加してやろうと思って、そのページをずっと見ていたのです。その審議会の申し込みが始まりました! みたいな瞬間にクリックしたら、もう締め切り終わっていました(笑)。
(杉山)
割と審議会はオープンにはやっていますけど、見ても全然しょうもない話しかしてないですけど。
(深田)
ずっと私、総務省に電話して、通信の審議会はいつやるんですか?と毎日毎日チェックしていました。
(杉山)
その点エネルギーの方は見てもつまんないからほとんど誰も見てないですが、ウェブ中継とかやっています。何の話しているかと思ったら、この直線じゃ気合が足りないからもっと早めに減らすべきだ!と、そんな話は意味ないだろうと(笑)。
(深田)
日本の政治・政策って、理論がないです。そこに論理的構造が一切ないですよね。戦争と同じです。精神力でなんとかなるっていう(笑)。
(杉山)
戦争もそうだけど、これも経済の一大事です。もっと政治家は関心を持ってやってほしいなと思います。
(深田)
世界的にはもう脱炭素やめようと話になっていますよね。
(杉山)
パリ協定というのは、世界全体で協力して2050年CO₂ゼロを頑張るぞというだけ言っただけなのですが、もともとそんなのやるはずないし。そんな技術もないし、お金だってかかります。特にロシアがウクライナに攻め込んだ後の世界の情勢を見たら、どこの誰がそんな身銭を切って自分の国の産業を崩壊させてまでCO₂を減らすのですか? 誰がロシアに石油を掘るのをやめさせるのかと。石炭とガスは、ロシアの唯一の財源です。それを掘って売るのをやめるはずがない。日本がお願いと言えば、ロシアがそれをやめてくれるならCO₂削減できるかもしれないけど、ありえないです(笑)。中国とインドは何をやっているかと言ったら、ロシアから石油をバンバン買っています。両方とも日量200万バレル。両方足すと、日本の石油の全輸入量よりも、中国とインドがロシアから買っている量の方が多いです。
(深田)
しかも中東なんかはロシアから石油を買って、安い石油を自分たちで使って、その分自国で採れた石油は高く外国に売っています。
(杉山)
UAEがね、それをやっています。ロンダリングです。インドもそうです。インドもロシアから石油を買って、ディーゼル燃料にしています。結局、UAEもインドも、それをEUに売っています。だからEUは生きていられると(笑)。だから馬鹿みたいなことをやっていて、直接ロシアから買えばすごく安いのに、わざわざインドやEUを迂回して高いのを買っています。
(深田)
お付き合いがありますから。
(杉山)
エネルギーがないと本当に困っちゃうので、それでもいいから買っているというのは、EUです。
(深田)
最近ヨーロッパもウクライナ疲れみたいな感じです。
(杉山)
もうウクライナの負けですよね。トランプが出てきて、悪者になりたくないから、それを言ってくれるのをヨーロッパも実は待っていると。アメリカが来たからしょうがないと風になるのではないでしょうか。
(深田)
そういう体裁ですよね。
(杉山)
中国もインドも、ロシアから石油を買っているぐらいです。しかも石炭火力発電所をバンバン建てています。
(深田)
しかも投資銀行系の証券会社もみんなもう、脱炭素投資とかESG投資とかやーめたみたいな感じですよね。
(杉山)
それはトランプの影響ですよね。共和党はとにかくESG投資が大嫌いです。それをやっている金融機関は政府機関への出入り禁止と言われて、もうみんな金融機関はビビっちゃって(笑)。金融機関も実はやめたがっていたのだと思います。ESGって実は儲からんというのがバレていた。あと環境団体からも、そんなの環境に優しくないと色々言われていたわけです。これまで環境に優しいとか言っていたのも、実は排出権を買いましたとか、そういうのでごまかしていただけです。もともと後ろめたい部分があったけど、うるさいことを言われ始めたから「もういい、やめやめやめ」と感じになっているいのだと思います。
(深田)
本当に脱炭素オワコンなのだから、日本もそろそろやめようよ、ということでいいですよね。
(杉山)
もうイギリスは、最後の航路がなくなるというし。
(深田)
イギリスのエネルギーって何ですか?フランスから原発の電気を輸入していますよね。
(杉山)
イギリスについては、ガスは算出しているのでガスはあります。今の労働党政権はそのガスの開発もやめるのだとか言っちゃっていますが、そのうち行き詰まるでしょう。ドイツはもう行き詰まりがはっきりしていて、2月の総選挙で、緑の党消滅という話になりそうです。
(深田)
消滅しちゃうのですか?
(杉山)
ドイツって5%の得票率がないと議席が1個も取れません。それが州議会でもそうで、昨年あった州選挙のうち、2つの州で緑の党の議席ゼロというのがありました。連邦レベルでも下手すると消滅近い感じになるでしょう。ドイツは産業が崩壊して、フォルクスワーゲンはリストラ、名門の化学工場も潰れています。日本も工場が全部潰れて、逃げる力がある人は逃げ出しています。
(深田)
日産はEV推進でボロボロです。脱炭素オワコンなので、東洋経済や日経あたりからそろそろ目覚めてほしいなと思います。
本日はキャノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志先生に、「脱炭素はオワコンだ」ということを教えていただきました。先生、どうもありがとうございました!