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岡本信彦『悪役の原点』


1.はじめに


「岡本信彦といえば悪役!」の皆さん、ようこそ!第2弾!

 前回の記事では『殺戮の天使』ザックについて取り上げたが、今回は満を持して、『とある魔術の禁書目録』に登場する一方通行について、岡本信彦氏の演技も交えてご紹介したい。この前の記事の道中で半分ぐらい話してしまったが、今回改めて語ろうと思うので、どうかお付き合いいただきたい。


2.『とある魔術の禁書目録』とは

 
 まずはこの一方通行が登場する作品『とある魔術の禁書目録』について少しだけおさらいだ。 

 『とある魔術の禁書目録』とは、鎌池和馬氏によるライトノベル作品である。2004年に電撃文庫より初刊行されてから20年間、今でも根強いファンが存在するライトノベル界の金字塔である。このシリーズは後に派生作品も制作され、それらは総じて『とある』シリーズと呼称されている。外伝作品『とある科学の超電磁砲』をご存じの方は多いだろう。

 ジャンルは異能力バトルアクション系であり、登場人物らが特殊な能力を行使して激突する物語である。内容はそこそこ複雑で、数多く登場する能力者や陣営、ストーリー構成を理解する必要がある。ここですべてを話すと長くなってしまうだろう。
 軽く概要に触れると、SF的要素である「科学サイド」と、ファンタジー的要素である「魔術サイド」が交錯する世界で、主人公:上条当麻と、彼がふと出会った少女:禁書目録(インデックス)が、それぞれの異能力を巡って様々な事件に巻き込まれる、といった感じだ。

「とあるシリーズ」公式サイト、貼っておきます↓↓


3.「一方通行」とは

 
 では本題、一方通行とは何者なのか?

 そもそも、一方通行というのは本名ではない。彼(彼女?)の持つ異能力の名前である。「一方通行」と書いて「アクセラレータ」と読むこの能力は、作中でも最強に等しい能力である。これについては後でまた解説しよう。

 白い髪に赤い瞳、中性的な顔立ちをしており、特徴的なストライプのシャツを着ている青年。物語の舞台「学園都市」を中心に活動している人物だ。原作単行本では第3巻、アニメではシーズン1の第10話で初登場した。
 
 学園都市に7人しか存在しない最高レベルの能力保持者「レベル5」の1人である一方通行は、それらの中でも最強、第一位として君臨しているのだが、それ故に事件やトラブル、陰謀に巻き込まれる日々を送っている。
 ちなみにめちゃくちゃ頭がいいぞ。

 一方通行の能力名は前述の通り、「一方通行(アクセラレータ)」そのままである。一言でいうと「ベクトル操作能力」あらゆるものの力の向きを操作・変換できる能力である。
 この能力について詳しく解説してしまうと止め処が無いので控えるが、つまりは大体なんでもかんでも反射・操作出来る能力なのだ。また、この能力を使いこなすには高い知能と演算能力が必要であり、頭の良い一方通行だからこそ扱える代物となっている。(更なる詳細が知りたい場合はググってください。割とややこしいので)
 
 つまるところ、学園都市最強と呼ぶに相応しい能力なのだ。

 

 一方通行のビジュアルとして、松葉杖を使っている姿が有名だが、これは作中にて彼(彼女?)が直面した事件の結果である。初登場時は普通に歩行していた。この事件で一方通行は脳を損傷し、言語機能や歩行能力、演算能力等の一切を失ってしまった。今では演算補助デバイス(首から頭の側面に繋がっている、イヤホンのようなアレ)が無くては生活も困難な状態に陥っている。これが自身の弱体化に繋がってしまった。 

 しかし、この事件を通じて一方通行は新たな人生観を見出し、それと同時に大切な存在も出来た。弱体化をものともせず、制限のかかった能力を行使しながら成長していくのだ。本編を要チェックしてほしい。  


 弱くなっても最強!これが一方通行の最大の魅力と言えよう。
 「俺が弱くなったところで、別にお前が強くなった訳じゃねェだろうがよ、アァ!?」という言葉に痺れた人は少なくないはずだ。


 ……ところで、先程から一方通行に対する三人称を意味深に「彼(彼女?)」としているわけだが、実はこの人物、性別が不明である。
 どう見ても男性の見た目で、一人称が俺で、岡本信彦氏が声を当てているのに、不明なのだ。これは公式の情報である。これには物語上の設定が関わっているため、詳しくは原作に触れてみてほしいところである。
 ちなみに本件について調べてみると、「鈴科百合子」という名前がヒットするのだが、果たして何者なのだろうか……?
 

アプリゲーム『とある魔術の禁書目録 幻想収束』にて突如実装された鈴科百合子(CV:岡本信彦)、を当てた筆者。正直この子、たまらん。ビジュアルが公開された瞬間、ガチャを引く決意をし、アプリを再インストールした。見た目はいかにも女バージョンの一方通行なのだが、元々身体の線が細いため、セーラー服がとてもよく似合っている。オリジナルの狂気性は見えないが、けだるげな雰囲気を醸し出しているのが実に素晴らしい。ミステリアスなオーラを持ちつつも、ぶっきらぼうという性格もなかなかに魅力的だ。口が悪いってのがまたイイのである。主人公:上条当麻に対して頬を赤らめる場面があるのだが、それはもう、ズルい。想像するだけでも素晴らしい情景。白い髪と赤い瞳も、その美しい容姿を引き立たせる最高のアクセントであり、個性としてぴたりと成立している。百合の花の髪留めも可愛らしくて素敵だ。このビジュアルイラストに限った話だが、窓際でこんな子が頬杖を突きながらこちらを見つめていたら、きっと虜になるだろう。そのミステリアスな女の子は、きっとクラスの注目を浴びること間違いなしだ。このビジュアルをそのまま1/7ハイクオリティフィギュアに仕上げてくれたら、間違いなく予約・購入する。正直、謎の存在のまま放置しておくにはもったいない、とてももったいない。今後また公式から何か新しい供給が来ないか、それを待ち望む日々である。

4.岡本信彦が演じる、一方通行の魅力


 筆者は、岡本信彦氏演じる一方通行が大好きである。
 
 一方通行とは最強の存在で、しかしどこか未熟な面も持ち合わせたキャラクターだ。物語の中で幾度となく実験や争いに巻き込まれ、成長していく中で摩耗し、やがて強烈な人格が形成されてしまった寂しい人物。筆者は一方通行のことをこのように解釈している。
 
 アニメで一方通行が初登場した時の衝撃は今でも覚えている。
 学園都市第一位の口から繰り出される強者の台詞。不気味で狂気的な声調から、時折見え隠れする幼さ。ヒロインの1人:御坂美琴の耳元で「よろしく」と囁くシーンからは、この人物の恐ろしさが際立っていた。
 
 岡本氏の迫真の演技は、一方通行の持つ個性を秀逸に具現化していた。あの乾いた笑い声は、一度耳にしたら二度と忘れることはないだろう。狂気的な青年キャラクターを演じることにおいて、彼の右に出る者は居ないのではないだろうか。一方通行の人物像を正確に捉えた、文句無しの名演技である。

 岡本氏本人も、一方通行を演じたことについては非常に心に残っているようで、『とある』出演以降のインタビューやトークで言及する場面も見られた。あの笑い声をステージで披露し、観客を沸かせることもあった。
 
 一方通行というキャラクターは、きっと彼の演技の幅を広げる大きなきっかけとなったのではないだろうか。あの独特で魅力的な掠れ声、いつまでも聞かせてほしいものである。


5.最後に

 
 今回の記事は以上だ。
 
 是非とも『とある魔術の禁書目録』を視聴し、岡本氏演じる一方通行を堪能してほしい。
 登場初期の演技を見たいならば『とある魔術の禁書目録』シーズン1だ。今よりも声が若い岡本信彦を味わうことが出来る。
 『とある科学の超電磁砲』シーズン2にも登場するので是非。シーズン1で起きた事件を、御坂美琴視点で楽しめるのがこのシーズンだ。より演技が定着した一方通行を拝むことが出来るだろう。
 加えて、あまりの人気からコミカライズが制作され、アニメ化した『とある科学の一方通行』という主役作品もあるので必見だ。正真正銘、一方通行が主人公なので、最初から最後まで岡本節てんこ盛りである。ファン必見の一作だ。

それでは、また。

(文章:和田)

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