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移民受け入れ拡大の是非①ー安い労働力補填目的なら長期的には失敗する
2024年、ユニクロ創業者の柳井氏が移民に関して日本も緩和していくべきだと提言し、大きな話題となった。
柳井氏は、知的労働者の導入を志向していると思われるが、日本においては一般的に移民を安い労働力として理解している人が多く、実際多くの企業が建築業や自動車整備業、介護関係などで外国人を雇用しているし、外国人技能実習生が想定と異なる「労働力搾取」という結果になってしまったのも、外国人をそういう目で見ていることの表れであろう。
いずれにせよ、多数の経営者は移民で安い労働力を得ようということで移民の緩和に賛成していると思われるが、それは結果的には日本を苦しめると思われる。
というのは、移民の最初の世代は安い労働力であるだろうが、その次世代は大学進学により安い労働力ではなくなるからだ。移民を国策として拡大するならばこれまでとは異なり、日本人となんらそん色ない教育費補助をすると思われる。日本では高校教育は半無償化、大学も授業料減免や奨学金があり、とりあえずは大学に行けるようになっている。しかも二世ともなれば日本語もできる。ならばもはや安く雇用することはできない。
すでに日本では大卒労働者があふれている状況で(これが就職氷河期や大卒者賃金の減少に拍車をかけた)、いまは団塊世代の退職で一時的に人手不足であるものの、それが解消したころに移民二世が大卒者として大量供給されれば、再び就職難となって社会は混乱するのではないか。そのとき移民は憎悪の対象となることを想像に難くない。
一方アメリカでは大学進学には相当な資金が必要で、移民が用意できるものではなく、移民の子はよほど優秀でない限り安い労働力にしかなりえない。なにせアメリカ人の白人ですら奨学金のために兵役に行くのである。
そういう社会環境が継続的な移民=安い労働力という構図を維持しているのである。日本ではそうはいかない。
つまり、移民を議論するときは数十年~100年先を見据えて議論すべきと思われる。
ただし、それでも近い将来多くの移民を受け入れる状況になりそうな気配がある。それについては次回。