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女子の大学進学増は大卒の所得減を招いた。移民の増加はその再現になる恐れ

日本の正社員の給与がここ30年上がっていないことはよく言われることである。その実態は記事の中で紹介するが、原因のひとつにバブル崩壊後の不況が長引き、企業が人件費の抑制を図る一方で、比較的人口の多い団塊ジュニア世代~就職氷河期世代が就職市場へ供給されたため、需給バランスが大きく崩れたことが挙げられる。

しかし、それは単にその世代の人口規模が大きかったということではなく、女子の大学進学率が急上昇していたことも影響していると思われる。

男女共同参画局が発表しているグラフで確認してみよう。

出典:https://x.gd/iBQHj

男子の大学進学率は昭和50年前後ですでに40%あって、むしろその後低下する時期があり、バブル崩壊後に再度上昇を始めている。
一方、女子の大学進学率はバブル崩壊後に急上昇し続けており、その上昇率は男子を上回っている
バブル崩壊時の18歳人口は約200万人と多く、しかも女子の大卒が急増している。大卒が供給過多になっていたことは想像に難くない。

それはどのような結果をもたらしたか。就職難や非正規雇用の増加だけではなく、大卒者の給与抑制に作用したと思われる。
下記グラフをご覧いただきたい。

出典:https://magazine.sbiaruhi.co.jp/0000-5998/

大卒の初任給は1993年の19万円から2022年にいたるまでの30年間でたったの2万円しか上昇していない。しかもそのほとんどの期間は20万円で固定されている。
これは大卒が供給過多となり、給与を上げずとも人材確保が容易であったことを示唆している。

また、この状況は初任給にとどまらず、昇給にも影響した。労働力の供給過多は昇給抑制どころか年収減少すら容認し、1995年時点で550万円あった所得の中央値が2013年には415万円となんと25%も減少している。なお、2022年における男性の所得の中央値は484万円で、いまだに1995年よりも12%低い。
となれば当然共働きをしなければ家族は養えないし、少子化も加速するというものだ。

つまり、女性の大学進学と社会進出の増加によって、大卒労働力の過剰供給と給与の減少を招き、結果として社会進出を望んでいなかった女性をも巻き込んで日本総低賃金労働者化を引き起こした、可能性がある。


現在、少子化対策として移民の導入を唱える意見がある。その目的は簡潔に言って「安価な労働力の供給」にあると言ってよい。
きっと経済界が求めているのは移民がいつまでも安価で使える存在であることだろうが、そんなわけがない。
このご時世である。すぐに待遇の改善が世界から要求されるようになる。
また、彼らは日本で家族を形成し、子を産む。彼らが大学進学してしまえばそれはもはや安価な労働力ではない。それどころかまたしても大卒の過剰供給=第二次就職氷河期になる可能性もあるのだ。


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