【レビュー】 映画 『ちゃりへん♪』
岡山の児島を舞台にした映画『ちゃりへん♪』(桑田浩一監督)を鑑賞した。
前作『石だん』に続き、監督の地元愛が詰まった作品だ。
寺の息子である隼人(西山隼人)が、幼馴染みのアリア(青木ありあ)の病気の回復を願い、愛犬と共に、タイトルの通り自転車でお遍路をするというストーリー。
隼人くんの素朴な感じや「自分とは真逆の役」を演じ切ったありあちゃんが良かった。
そして、脇を固める名優たちの演技がやはりすごかった。
桜井浩子さんや渡洋史さんが登場するサブストーリーが展開される。
短いシーンにもかかわらず、その世界観に一瞬で引き込まれ、ベテラン俳優のスキルの高さを思い知らされた。
さて、隼人がお遍路をするのは、前作でも舞台になった「児島八十八ヶ所霊場」。
お遍路と言えば四国が本場だが、江戸時代、四国に行くお金や体力がない人たちのために、四国八十八ヶ所の距離を短くしたミニ霊場として作られたのだという。
私も前作を鑑賞して以来興味が湧き、いくつかの寺を訪れているところである。
監督によると、前作上映後、児島霊場の参拝客が上映前の約5倍になったそうだ。
「誰かのために何かできますか?」とこの映画は問いかける。
ストーリーの中では、隼人がアリアのために行動した。
そして、監督自身地元のために行動した。
「映画を通して児島を活性化させたい」という監督の情熱の集大成にふさわしい作品であると言えるだろう。
前作『石だん』とあわせて鑑賞されることをおすすめしたい。
上映後の舞台挨拶で、監督は「今回の作品は、子どもたちに向けて作った」と述べた。
子どもたちが、友だちと「ねえ、今度『ちゃりへん』しようよ」と言い合っている。
そんな未来が楽しみである。
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