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【エッセイ】 第4話 人と人
「ガッシャーーーン!」
現在のマンションに引っ越してまだ日が浅いある日の明け方。
寝室ですやすや寝ていたら、けたたましい音がして思わず飛び起きた。
何か近くで事件でも起きたのかと思ったくらい。
なんてことはない、リビングの壁掛け時計が落下した音だった。
自分の掛け方が甘かったのだろう。
当然時計は破損してしまった。
事件じゃなくてほっとした反面、買ったばかりだったのでショックだった。
やっぱり同じものがほしくて、お店に事情を説明するメールを送った。
「お怪我はなかったですか?」
程なくお店から返ってきたメールは、自分を心配する内容で始まっていた。
こんな丁寧に返してくれるなんて思ってもみなかったし、うれしかったなあ。
しかも、時計を割引してくれるという。
最近やれ自動なんちゃらだ、生成なんちゃらだとかまびすしいけど、こういう対応はやっぱり人ならではと思う。
リビングでエッジを効かせるレッドの掛け時計。
ずっと気に入っている。