医療者・介護者の”予後予測”について~高齢者に関わる仕事をしている人に知ってほしいこと~
「〇〇さんは、最近歩くのが遅くなったね。」
この気付きに対して、
「しょうがないね。(年齢的にも・・・)」
となるか
「なんで急に遅くなったんだろう??」
と介護者や医療者が考えることは、その後のケアに大きく関わってきます。
今日は高齢者や障害をお持ちの方本人ではなく、その周辺の方々の意識が成果に大きく関わってくるという話です。
医療や介護の専門職は予後予測をする必要があります。これは非常に重要なスキルで例えば、これから麻痺が回復してくるから今はちょっと難しいけどこういう環境で練習しましょうとか、このままの生活をしていたら、半年後にはこうなるから今からこのように取り組みましょうとか。
しかしながら、この予後予測というのは例えば専門職の養成校で習うものでもなければ、就職してから体系的に教えられるものでもなく、専門職が経験的に学んでいくものであることが多いのです。(もしかしたら、教えているところもあるかもしれませんが、筆者は習ったこと有りません。)
つまり経験ベースの知識ということになります。また医療系の予後予測であれば、かなりの論文で予後に関する情報があるのでそういったものも活用されているでしょう。
ただやはり一番大きいのは医療者や介護者などの経験です。
経験に左右されるというのは怖いことです。
例えば、多くの難手術を成功させてきた医師は中程度の難易度の手術に対して、問題ないと考えますが、通常軽症の手術ばかりを担当している医師は中程度の難易度の手術に対して、リスクが有ると捉えるでしょう。
つまりこれまで多くの麻痺のある方を担当した理学療法士は、改善の道筋が見えますが、担当したことがないとどのように改善していくのかすら見えないのです。
そのため重要なことは、患者さんや高齢者の正しい予後予測をするためには、ただ単に経験を積むだけではなく、ひとりひとりの方の問題点に対して全力で取り組んだ結果、どうなったのかをしっかり確認しながら、予後予測の精度を高めていかなければならないのです。
安易に高齢者だからとか回復期病棟で6ヶ月もリハビリしたあとだからとか何もしない段階で結論をつけることは予後予測ではなく、できない言い訳にしかなりません。
安全に配慮しながら、最善の策を常に練りながら、改善に向けて取り組む。その結果予後予測のスキルが身につくのです。
次のコラムでは予後予測と目標設定についてです☆