#tanka
短歌人2018年4月号 同人1欄(3)
江東区内循環バスの「しおかぜ」は都バスとおなじ車体走らす
「雪降る街で」/柏木進二
わたしだけにわかる匂いの記憶撒く風はわたしの知っているひと
「雨でよかった」/高田薫
ことばといふあなたがいなくなつたならわたしもいなくなるのだらうか
「といふ」/西村美佐子
アマゾンでCDひと組買いたるを近頃最大の贅沢として
「さぼうる」/西勝洋一
草を踏んだ感触のこる足裏のどこだらう夢で歩いた土手は
「
短歌人2018年4月号 同人1欄(2)
浅草にかつてありたる大塔の基礎がみつかる 第一報はさへづり
「二月の六日間」/花笠海月
こめかみに眼鏡のつるを沈ませて核のボタンをまさぐりやまず
「酒、雪」/栗明純生
はねられしイタチの前にかがみゐる鼻にピアスのをとこ三人
「黙祷」/原野久仁子
耳に蓋はないはずだけどとある午後みんなの声が遠ざかりゆく
「耳に蓋」/砺波湊
望月がのぼりて月蝕たのしみと待つ間に雪のおそいて終る
「雪の緞道」/
短歌人2018年4月号 同人2欄(2)
南天の目を入れやるに雪うさぎ汝がふるさとの空をあふげよ
「十日目の雪」/池田弓子
初春の富士の頂きつやめきてめうにうれしいね ともかく生きろ
「とにかく生きろ」/田上起一郎
栓をするのを忘れてしまい排水口に金魚をすべて流した記憶
「厳冬の日日」/桑原憂太郎
ふたをあけたグランドピアノから音は降る 風雪の中にゐるやうに酔ふ
「ポーランドにて 2」/如月佳
京都府から葉書来ており漢字ばかり十八
短歌人2018年4月号 会員1欄(2)
にんげんがいない よ みちにめがね屋のナイロン製のはたのはためき/鈴木杏龍
「目的地が見つかりません」冷たくてはっきり喋るカーナビの人/鈴掛真
『真砂集』の兎が二十二羽をりて四十四の瞳でありぬ/ 萩島篤
文字は打つものではなくして書くものだペン無き部屋に苛立ち募り/黒田英雄
入浴をしたくない訳たずねると「誰も褒めてくれないんだもの」/笠原宏美
春は相撲、冬はアルペンにクロカンと義務教育時
短歌人2018年4月号 会員1欄(1)
真夜の空先ずオリオンを見上げればかたくするどく瞬いており/籠房代
いつだつて無断欠席するくせに要求するときだけ電話くる/さつき明紫
住職と話しながらの拝観は試されているような緊迫/上村駿介
全身で婆娑羅(ばさら)の如く入浴を拒否していたり米寿の母は/芦田一子
チョコボール好きでエンゼルも集めつつ机にチョコボールの箱の山/來宮有人
落日は半熟卵の黄身みたい大きくゆがみ溶